馬に曳かれて最前線…

ジオラマ模型入荷のお知らせです。

旧ドイツ軍の対戦車自走砲「マルダーⅡ」のジオラマ&対戦車砲「7.5cm Pak40」のジオラマ、委託品が入荷しました。

数名、のけ反ってます。とんでもない命令をもらったのでしょうか?

この「マルダーⅡ」、「Ⅱ」と云うからには「Ⅰ」があり、また「Ⅲ」もあるのですがいずれもオリジナル設計で生み出されたわけではありません。

プロパガンダの成功により、現在でも当時のドイツ軍が「機動戦力が豊富な精強な軍隊」と思われがちではありますが、実は第二次大戦全期間を通じて慢性的な車両不足に悩まされていました。そんな事情から、「マルダーⅠ」は占領したフランスで調達した車体をベースにし、上の写真の「マルダーⅡ」は「そろそろ用済み」となったドイツ軍の「Ⅱ号戦車」の車体をベースにしています。ちなみに「マルダーⅢ」は、これまた侵略していたチェコの「38(t)戦車」の車体を流用しています(旧ドイツは徹底的にこの「38(t)」の車体を流用し続けました)。

ところで自走砲って何?と云う方に簡単に説明しますと、単純に「機動力のある大砲」とお考え頂ければよろしいかと思います。普通、各種火砲はトラックや馬匹で牽引し、現場で重労働の設営をしてやっと準備OK!となるのですが、自走砲の場合は自分と敵の位置関係さえ判るなら停車して短時間に攻撃が開始できるわけです。また、無限軌道を装備しているのであれば、不整地での運用も容易となります。単体の火砲ではトラックで行けるところまで運んでも、そこから先は体力・気合い次第となってしまいます…

では、お次は単体の火砲をば。対戦車砲「7.5cm Pak40」と働く男たち!

女っ気の無い職場ですね…

なかなかに優秀な対戦車砲だったようですが、重量1.4tを越えます。弾薬だって馬鹿にならない重さです。トラックで運んでもらっても、そこからどれだけ運べば良いのでしょうか…そうそう、見つかりにくいようにしっかりと地面も掘り込んで…土嚢も運びましょうね…

実の所、トラックで運べるのは恵まれた一部の部隊だけで、多くの部隊は馬匹で運搬せざるを得なかったようです。

腰、大丈夫ですか?

この「7.5cm Pak40」、大抵の敵は撃破できる能力を持っていたようですが、敵に視認されたならもう悲惨な事になるのは必定。砲兵は通常、大した個人装備の火器も持っていません。

現在、こういった対戦車砲を実際に運用しているのはごく一部の国に限られています。威力増強を望んだところで対戦車砲の重量増加には現実的な限界がありますし、成形炸薬弾を使用する軽便な個人装備火器、または対戦車ミサイル等の武器が現在は豊富にあります。

いかなる理由があるにせよ、戦争は無慈悲で悲惨であり、無駄に疲れる作業であることに変わりは無いのでしょう。それでも尚、各国の知性/工業技術の粋である兵器には、エンジンやカメラ等の機械と同じように不思議な魅力を感じてしまうのを禁じえません…