普段撮りレビュー:ZUIKO DIGITAL ED14-42mmF3.5-5.6

「マイクロフォーサーズ」規格の拡充とともに、オリジナルの「フォーサーズ」は衰退しました。

なんて認めたくはないのですが、これはほぼ事実かと。「E-5」以降、フォーサーズ機使いにとって明るいニュースは何もありません・・・そう、私もフォーサーズ使いでした。今では「E-M5」「E-P5」の出番ばかりで、単なる「フォーサーズ オーナー」に成り下がってしまいましたが。ここらで改めてフォーサーズ機/フォーサーズレンズのレビューに手を着けたいと思います。

今回使用したのは「ZUIKO DIGITAL ED14-42mmF3.5-5.6」、いわゆるキットレンズと呼ばれる標準ズーム。

オリンパスファンには「小梅ちゃん」等と呼ばれるグレードの機材です(オリンパスZUIKO DIGITALレンズは3段階のグレードがあり、俗に「松・竹・梅」と呼び慣わされていました)。使用ボディは「E-510」、2007年登場のカメラです。上記2点、いずれも私物です。

小型・軽量・低価格でありながら侮れない画を見せる(事がある)のが「小梅ちゃん」レンズの特徴で・・・

1/500sec.F5.6 42mm。 最短25cmの近接能力も魅力。

出し抜けに近接撮影。本当はもう少し寄れるのですが、まぁこの程度にしておきましょう。花の中心部を拡大すると。

中央部に関しては、普段着マクロとして実用に充分でした。

中古相場¥5~6,000-程度のレンズとは思えない画になりました。望遠側42mmは35判換算で84mm、ズーム全域で25cmまでの近接撮影が可能です。開放F値5.6って事に目を瞑れば、日常の散歩カメラにマクロ能力があると云う大きな魅力になりますね。
問題は、一旦近接モードに(自分の気持ちが)入ってしまうと、ただひたすら小さなモノ達の世界にのめり込んでしまう事でして・・・今回もついついやってしまいました。

1/320sec F5.6 42mm ASA200                  夢中になって花粉まみれになってます。

脚の位置が・・・あられも無い姿に。

撮影日は9月30日、軽く汗ばむ陽気の中でハチさん達は早くも今年の空き冬に向けてせっせと活動中でした。時々そよぐ風に花は揺れ、E-510での捕捉は中々に骨の折れる作業となりました・・・測距点、中央付近に3つです。
この花は私の膝丈位の高さでしたが、接近しているうちにいっそローアングルで撮りたくなりました。ハチさん達も忙しさにかまけて、まるで私に警戒を払いません・・・どれ、地面に這いつくばってよっこらせっと・・・

1/1250sec.F5.6 42mm                            この日見た花の名前を私はまだ知らない・・・

「ZUIKO DIGITAL ED14-42mmF3.5-5.6」は7枚羽根円形絞りを採用しています。背後の木々の煌きもなかなか綺麗な形となりました。もっとも、個人的にはいわゆる「玉ボケ」に興味ありませんが・・・

結構無理な姿勢からの撮影でしたが、昨今のカメラであればティルトorバリアングルモニタで撮影出来る場合が多いですよね。

E-510、ライブビューは可能ですがモニタ固定です。

ハチさんやらクモさんやらチョウチョやらの近接撮影にはまって数十分、すっかりトリガーハッピー状態になっていたので、しばしクールダウン。
今度は「小梅ちゃん」のフレア傾向を様子見です。意地悪く太陽を目指してフレーミング。

1/320sec.F8 14mm

今回はこの位置に太陽を置いた状態が一番フレアっぽくなりました。ゴーストフレアはやや控えめな感じ。厳しい条件なのでハイライトは飛び、シャドーは潰れてしまいましたが、これはレンズ性能と云うよりはボディの限界かと思います。

今度は広い景色で。もう少し周辺光量落ちしても良い、と云うのが個人的な好みです。

1/1000sec.F8 14mm                             鳩が飛ぶのを見た瞬間、ジョン・ウー監督が頭に浮かびました・・・

私は±0.7EVでブラケットを利用する習慣があるのですが、こう云ったシチュエーションでは「+じゃ白っ飛び」「-じゃ真っ黒け」なんて事が多発しました。勿論レンズではなくカメラ側の問題なのですが、このカットもそんな具合でして、改めて主力機として現在使っている「E-M5」「E-P5」と比べて隔世の念を抱きました。

1/400sec.F8 19mm                    こんなシーンでは青が気持ち良い色になるE-510。

この時は焦点距離19mm。好みの問題もありましょ うが、周辺光量落ちも問題となるレベルではないでしょう。
理屈的には「フォーサーズ」規格は「マイクロフォーサーズ」よりもフランジバックが長くなり、よりテレセントリック性能の向上が期待出来る筈だったのですが・・・実際にはその点が仇となり、「センサーサイズの割にボディの小型化が為されていない」なんて印象を持たれてしまったんでしょうかね・・・

あまり極端な明暗差でない限りは十分に階調再現でき、色調も安定しています。±に大きくシフトすると、しばしば不思議な色気が出てくる事がありますが・・・って、ついつい「ZUIKO DIGITAL ED14-42mmF3.5-5.6」ではなくE-510レビューになってしまいそうですね。

1/640sec.F8 14mm

画質は価格以上の物が得られますが、比較的軽量ボディのE-510に対するバランスも良好です。勿論、410等の小型機とも相性は良好。
一日ブラ提げて負担にならないのは散歩カメラとして大切な点です。よそ見して、ちょくちょく振り向いて、見逃してた何かに気を取られてまた戻る・・・なんてやってると、結構歩く事になりますからね。

1/1000sec.F8 39mm

裏葉を明るく仕上げようとしたら、雲は見事に白っ飛びしました・・・


1/1600sec.F7.1 14mm

今回もまた、レモン社銀座店への通勤途中にある「多摩川台公園」での撮影が中心でしたが、すぐ脇が神社なので、今回もまた顔出ししておこうかな、などと考えて・・・ここからは本題であるレビューから脱線します。ごめんなさい!

1/125sec. F9 14mm

参道の階段を上り詰めて鳥居を越えると、右脇には明確な山岳信仰の証が。奥の赤鳥居前の札を見ますと

こんな内容です。三峯様は狼信仰でつとに著名でした。実は参道階段脇にもこんな山岳信仰の痕跡が・・・

削り取られた部分は一体・・・

一部、意図的に削除されていますが・・・明治の神仏分離令あたりと関係あるんでしょうかね?
かつてはここ多摩川浅間神社では富士講が行われておりました。そう云えばレモン社秋葉原店近くの柳森神社も富士講とご縁があったはずですね。
しかし、今回改めて感じたのは・・・

先ほどの右手の鳥居の奥には、ご眷属様、山犬様等々がおわしますが。

改めて振り向きますと、今潜って来た鳥居の向こうに見えまするのは・・・

注連縄越しに富士山。

一直線に富士山が見えました。先程の赤鳥居の札に名前の見えていました阿夫利神社さん(大山講で名高い)も、概ねこの方角になります。ちょっと感動しました。いつも、振り向いてまっしぐらに喫煙コーナーへと向かってたもので気が付きませんでした・・・

あぁ、これなら江戸時代には盛況だったろうな、などと感じ入ってしまいました。
柳森神社に関しては、現在の配置から考えるに富士山と鳥居が直線にはならないようですが、この点は改めて江戸時代の柳森神社の姿を調べてみたいと思います。

はい、完全脱線しましたが、、以上オリンパス「ZUIKO DIGITAL ED14-42mmF3.5-5.6」レビューでした。

オリンパス ZUIKO DIGITAL ED14-42mmF3.5-5.6(2007年4月発売)
35判換算焦点距離:28-84mm
8群10枚構成・7枚羽根 円形絞り
最少絞り:22
最短撮影距離:25cm
フィルターサイズ:φ58
寸法:φ65.5x61mm
重量:190g

担当:松浦

1/640sec.F5.6 29mm       いつまでこの風鈴が飾られてるか気になります。