今回はパナソニックのフォーサーズ用ライカレンズ「D ズミルックス25mmF1.4ASPH.」を(又してもMMF-2を介して)E-M1で使ってみました。マイクロフォーサーズ用のDG ズミルックス25mmF1.4ASPH.より一回り大きいレンズでして、比較するとこんな具合です。(DG ズミルックス25mmF1.4ASPH.は10月3日にレビューアップしています)
結構インパクトありますね・・・ところでこのD ズミルックス25mmF1.4ASPH.、レンズ先端に絞りリングを装備しておりますが、OM-D系では作動しないようです。もっとも、OM-Dのダブルダイヤル式に馴染んだ(使い易いので初心者さんもすぐに慣れます)方にはどうでも良い事ですね。
取り敢えず出歩きつつ撮影を開始しましたが、まずは初心者さんに「回折現象」なるモノのご説明を。
光の不思議な性質として、「何かにぶつかると回り込もうとしちゃう」のです(らしいのです。済みません、私は文系なので・・・)。で、撮影時に絞り込み過ぎるますと、絞り羽根を通過した光が変に回り込もうとするもので、被写界深度は深くなっても画像が甘~くなってしまう、と云った現象が起きます。以上。で、下の写真をF1.4・F5.6とF16で撮影した局部アップの比較サンプルを用意したのですが・・・web上で見るとあまり差異が出なかったので掲載を見送ります・・・とほほ。ですが、元データで見ると明確に差が出ますのでそこんところ覚えておいて下さいね!
まずは曇り空の部。時折小雨の混じる曇天です。距離もあり、標準と云えども25mmという短い焦点域なのでF5.6で充分精細に写せました。遠近効果のパースは当然ありますが、妙な歪みはほぼ皆無です。周辺光量落ちもこの絞り値ではほぼ影響無しのようです。
大口径ならではのボケやすさ&短い焦点距離ならではのボケにくさを見ますと・・・
ギリギリまで寄りましたので、AF合焦後に部分拡大してMFで微調整です。E-M1が位相差対応機とは云っても、MMF-2等を介して使う場合(特にAFターゲトを中央から外す・被写体に接近する・開放付近で撮影する場合)この作業はやっておいた方が精度が良さそうです。結構個体差もある、なんて話も聞きますけどね。
AF作動自体は比較的速くてスムーズですが、ちょっと作動音が耳につくかも知れません。一度ピントを外すと「ギュ~ン」と音を立てながらヘリコイドが迷走し、「あ、こいつ迷ってる迷ってる・・・」と少しだけ応援してあげたい心持に。
今度はちょっとだけ絞って。
柔らかい描写ですが、元データでの解像感はとても良好。絞って使うタイプのレンズでは無さそうです。
標準レンズなのでスナップにも対応しますが、ちょっと重いのが難点ですね。DG ズミルックス25mmF1.4ASPH.の方が軽量で、機動性があります。(重量比較:510g/200g)
’天つ風 雲の通ひ路吹き閉ぢよ 乙女のすがた しばしとどめむ (僧正遍昭)
これは五節舞に参加する美しき乙女を見た立派な坊さまが詠んだ歌です・・・エロ坊主ですね。でもまぁ、百人一首にも採られている有名な和歌ですのでご容赦を。
ここ湯島天神には修学旅行らしき学生さん達が大勢訪れていました。ちょっと距離がありますが、画面隅に見える菊の花や彫像は元データ上ではF2.8の時点できっちり再現できています。
今度は晴れの部です。
今回は諸事情によりフード無しで撮影しておりまして、画面から太陽を外していますがフレア発生です。「別売ならフード使わない派」の方、是非ともフードを使いましょう!とは云え、フードがかなり大きいのも事実です・・・
遠景のボケのエッジにごく僅かな色滲みが見えました。この点は雰囲気次第でしょうか。主題以外ボカすのであれば気にならないと思います。マイクロフォーサーズ用のDG ズミルックス25mmF1.4ASPH.では、多分もう少し色滲みが出てくると思います(個人機材使用上の感想)。
ところでカタログスペックでの最短撮影距離は0.38m。最近の25mmクラスとしてはちょっと長いですね。
周辺光量落ちを嫌がる方、好まれる方両方いらっしゃると思いますが、このD ズミルックス25mmF1.4ASPH.でははっきりと光量落ちが起きました。も少し絞って見ますと・・・
ちょっとだけ目立たなくなりましたが、やっぱり発生。個人的には光量落ちが好きなので問題ありませんが、人によっては向かないレンズかも。先程の洋館の写真から考えて(状況にもよりましょうが)F5.6前後で解消する問題かと思います。
こんな雲だと、もはや光量落ちなのかどうか判りません・・・まぁ、のっぺりした環境では光量落ちが味付けになる事もあります。きっとあります・・・多分。
流しながらスナップを続けます。この日は14mmF2.5との2本同時撮影でして・・・ちょっとだけ、重いかな。
全般的にパキパキ感の出ない上品なレンズと感じますが、背面液晶で判る事ではありませぬ。それは帰って画像整理してから判る事ですね。その時やっと、一日中カメラ2台体制で歩き回った苦労が報われます。
ただし、ある程度絞ったドライな感触の写真が好みであれば他のレンズの方が向いているかも知れません・・・
そして大口径の本領、夜の部です。
レモン社の近所でまとめました。小雨もよいのかはたれ時でした。
ファインダ越しに「ハロってる・・・雨の滴かね?」と思ってレンズを拭いて再びトライしますが、それでもこの状況ではハロが消えませんでした。そもそも、傘に気を取られて「合焦後に部分拡大して・・・」の段取りを抜かしておりまして、ピントも今一つなのです・・・
これくらい距離があると、絞り開放・MMF-2を介してでも無造作に合焦OK!ちょっとレンズが重いので、念の為に感度は640~800に設定。
ガラス越しの撮影、映り込みを排除する?ガッツリ利用する?う~ん、今回はこれが精一杯。ウィンドゥ越しである程度の距離があるので、絞り開放ながらトロける様なボケとはなりませんでした。
樅の木っぽい作り物が明るいカットをセレクトしました。この手の撮影って、露出でイメージがあまりにも大きく変わるんですよね・・・かなり寄っての撮影でして、F2ではかなり浅い被写界深度です。
人物等のボケ方は良好ですが、背景の車のバックライトがちょっと不思議な形に?
こちらもウィンドゥに写り込んだ灯りがちょいと変形しています。世に云う口径食のようです。玉ボケ教の信者さんは気にする点かも知れませんね。雰囲気優先の方には全く問題無し、と思います。
折角の大口径レンズなので、イルミネーションではない夜も試したいところです。
四隅が少し甘いのですが、画面中央の飲み屋さんがメインなのでこの状況では全く問題無し。
こうなると周辺考量落ちも四隅の画質も関係無し。シャドー部の程よい再現性はボディによるのか、レンズによるのか・・・あ、E-M1って搭載センサーは「P社」さんでしたっけ?
あれこれ撮ってみましたが、ピント精度維持の為に「AF合焦後、MFで微調整」推奨と云う手間を孕みつつ、落ち着いた質感表現とか良好なボケだけど口径食っぽくなるとか絞らなくても気持ち良い解像力(それでいてパキパキ感が無い)とかやっぱり重たくね?と云った「ちょっと面倒くさいタイプ」のレンズかも知れませんが、描写性能については結構好みにハマってしまう方も多そうでオススメしてみたいレンズではありました。
はい、私も楽しみました・・・
パナソニック ライカD ズミルックス25mmF1.4ASPH.
レンズ構成:9群10枚(非球面1枚・スーパーEDガラス1枚・EDガラス3枚)
最小絞り:F16
絞り構成:7枚羽根円形光彩絞り
最短撮影距離:0.38m
フィルター径:φ62mm
寸法:φ77.7x75mm
重量:510g?
*マイクロフォーサーズ用のDG ズミルックス25mmF1.4ASPH.とは光学系が違います。
DG ズミルックス25mmF1.4ASPH.は7群9枚(非球面2枚・UHRガラス1枚)、ナノサーフェースコーティング、最短撮影距離0.3m。何より重量200g!
P.S.ひょっとすると、D ズミルックス25mmF1.4ASPH.はDG ズミルックス25mmF1.4ASPH.より少し画角が狭いかも、なんて感じました。
担当:松浦