今回はCanonのAPS機用レンズ「EF-S17-55mm F2.8 IS USM」を使いました。比較的大柄なレンズではありますが、テスト用に使ったEOS 60Dとのバランスは決して悪くありませんでした(女性の手にはちょっと大きいかも知れませんが)。
比較的貧弱な体格・標準的な掌の私の体格でも安定したホールディングが出来まして、メーカー公表の手ブレ補正能力をほぼ発揮できていると感じます。
正直な話、1/2Sec.は成功したり失敗したり・・・確率五分五分でした。も少し「ピシっ」とした画もあったのですが、通行人の残像がどうしても欲しかったので上の写真を選びました。ところで35判換算ではこの焦点距離は約28mm相当なのですが、そこはそれ17mmですから。少しカメラを下に振った分、背後のパースがなかなか大きく出てますね。
では今度は明るい世界へ移動しましょう。
まずは周辺光量の具合を試してみました。カメラ側の周辺光量補正は今回すべてOFFにしています。
はい、特に落ち方が大きいとは思いませんが、それでもはっきりと落ちてます。では1段絞って・・・
一段絞ると減光が減ってきました。ではお次はF5.6。
ほぼ均質となりました。
55mm側でも光量落ちは同じ傾向ですが、周辺の落ち方はもう少しだけ小さくなっていました。
ところで後日レモン社から撮影した「17mm・F2.8(開放)」で周辺光量補正アリの画像が次です。
個人的には「普通過ぎ」とも感じますが、ま、皆様TPOで宜しくお願いします。
逆光耐性はどんな?と思って試しましたら・・・ここがちょっと弱点かも知れませんねぇ。
結構厚手のカーテン越しなんですが、はっきりと出ちゃいました・・・敢えて弁護するなら・・・円形の綺麗なゴーストですよね!画面に太陽を入れられるのは苦手そうです。
直接太陽が入らないようにしても、開放側では条件によってはハロっぽくもなる事がありました。
かなり厳しい条件での撮影ではありましたが・・・
ところで上の写真、かなり寄っての撮影でしたがなんだか甘いんですよ。拡大すると右下にいるサンタ帽のカンガルーにちゃんと合焦してるんですが・・・背景は正体不明な位とろけてくれました。
こちらは望遠側での近接、開放。柔らかい、と云うより緩い印象です。
窓辺での撮影なのですが、こちらも背後のボケはAPS機用標準ズームとしては上々だと感じました。
少し距離を取っての開放では・・・
近接時よりは「使える」具合となり、「緩い」→「柔らかい」に昇格した感じでした。
ちょっと厳しいお話が続きましたが、本来の画質は上々のモノでして・・・ここらでヨイショしときましょうかね。
元画像を部分拡大すると、惚れ惚れする上出来の画質でした。色滲みも少なく、まず問題になる事は無いでしょう。画質だけで云うならばEF-S17-55mmF2.8 IS USMの末尾に「L」付けてあげたいくらいですが、鏡体の造作は「普及版」なんですね、これが。
F8前後での画質は際だって安定しているようです。
ボケ具合を改めて・・・
手前の合焦部の甘さはさて置いて・・・被写体のせいとは思いますが、ちょっと不思議なボケ具合になりました。
所を変えて再挑戦。
ハイライトのボケが周辺では少し変形していますが、個人的には気にするレベルでは無いと思います。画面右下付近の樅の枝、松ぼっくりはごく滑らかにボケてくれました。
流れでスナップを続けてましたが、17mm側で時折気になったのが垂直線の歪みでした。安易に撮ると、結構気になる歪み具合でした・・・
広角端では注意深くフレーミングして「誤魔化して」あげたいかな、と。
可能な限り水平に近いアングルで、画面端に長い直線が入らないように・・・今回は左端、カーテンで誤魔化しました!
一通り使ってみましたが、F8付近の画質が良いのは当然なのですが発売から随分経っているのに「立派」と云える画質を発揮するのにビックリでした。近接時の開放側は独特の甘さがあるようで、もう少し時間を掛けてクセを呑み込みたいと感じます。
良いレンズなのは間違い無い所ですが、残念な事にこのレンズと組み合わせるべき丁度良い「本気」望遠ズームがラインナップに見当たりません。70-200mmクラスでは中抜けになりますし・・・本気で使うEF-Sレンズ(もしくはAPS機)を標榜するには、現在のレンズラインナップにちょっと疑問符で~す!
何はともあれ、いよいよクリスマスです。皆様、メリークリスマス!
Canon EF-S17-55mmF2.8 IS USM
レンズ構成:12群19枚(非球面x3・UDx2)
絞り羽根:7枚
最小絞り:F22
最短撮影距離:0.35m
寸法:φ83.5x110.6mm
質量:645g
フィルター径:φ77mm
担当:松浦