ライカ親爺のうんちく(2)

フィルム

ライカに使うフィルムの箱を見ると、135-36と書いてある。135とはなんだろうか?実は、コダックのフィルム型番である。ポケットフィルムは110、ブロニーフィルムは120、ベスト判は127、インスタマチックカートリッジは126の番号が振られている。数字はコダックが発売した、フィルムの順番に振られており、110は同一番号の別サイズが存在するが、ワンテンあるいはポケットフィルムと言うことが多く、間違える事はまず無い。古いカメラ雑誌や取扱説明書を見ると、J135と書いてあることが多いが、JISにもフィルムの規格があり、そのJを取っている。時々ご年配の方が、135フィルムの事を、ライカ判のフィルムと言われることがあるが、135サイズのフィルムの事だ。35ミリ判は他にも使われたが、ライカの成功を見たツアイスが距離計連動コンタックスを、安く手に入るカメラという事で、ドイツコダックがレチナを発売した。初期のコダクロームのパッケージには、for retinaの文字だけだったのが、途中からfor retina,contax,leicaに代わっている。

いまは、27枚撮りだが、以前は20枚撮りであった。24枚撮りは小西六写真工業(現コニカミノルタ)が、萩本欽一を使ったCMで“4枚増えて値段はおんなじ、でどっちが得かよく考えてみよー!”のフレーズでヒットした。あまり時間をおかずに、フジフィルムやコダックも24枚撮りを発売した。27枚撮りは、独アグファが国内再参入の際に、導入した記憶がある。27枚撮りに関しては、詳しく御存知な方が居られればお教えいただけると幸いである。

135の表

レンズ

ライツ社製Mマウントの沈胴レンズは、エルマー50ミリの2.8と3.5、ズミクロン50ミリ、エルマー90ミリの3種しかない。沈胴しているのは、鏡筒(レンズユニットがある部分)のみで、レンズそのものが小さくなるわけではない。ミラーレスデジタルカメラのレンズで、広角ズームが伸び縮みするのと同じである。ライカは、鏡筒に3本の爪があり、ヘリコイド部のすきまにはめ込むようになる。正しい位置にはめ込んで初めてピントが出るようになっているので、必ず、止まるまで引きだしたらねじって、爪を合わせる事が必要だ。距離計のピントは合うが、写真はピンボケになる。ホンダF1初代監督の故中村良夫氏が、著書の中でライカでの失敗談を書かれている。太平洋戦争中、陸軍航空技術将校だった中村氏が、撃墜されたB29爆撃機の写真を撮りに行くことになり、同僚からライカを借りた。多分Ⅲa以前のバルナックタイプと思われる。沈胴レンズだったために引きだすことを忘れて、ピンボケを作ってしまい何も意味をなさなかったという。第2次ホンダF1参戦時に鈴鹿へ見に行った。正面ゲートから入場したら、どこかで見た覚えのあるご年配が歩かれており、それが中村氏だった。ちょうどセナプロ時代で、ちょっとでもお話しできればと思ったが、後の祭りとなった。確か、翌年に亡くなられた。そのレースは、最終コーナーで2人がぶつかったレースだった。

ピントがぼけていないイメージ

ピンボケのイメージ

沈胴固定爪がかみ合う

沈胴固定爪が外れた



ライカ親爺のうんちく(3)



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