今回はSONYのαEマウント用の広角ズーム、Vario-Tessar T*FE16-35mm F4 ZA OSS、略号でSEL1635Zを使ってみました(名前が長すぎるので、以下SEL1635Z)。何かと事情もあるのでしょうが、最近のレンズは兎に角名前が長くなる傾向ですね・・・
マイクロフォーサーズに馴れきった身体の私は「自重518g」のスペックに軽くたじろぎましたが、質感満点・ズームリング&ヘリコイドのトルクも良好な高品位な製品であるのは納得です。いかんせん「フルサイズ」だからこの大きさも当たり前っちゃ当たり前かも知れませんが、開放F値は4通しです。
フルサイズで広角側16mmともなると強烈で非日常的な遠近効果が現れるものです。銀塩時代には17mmを使ってた頃もありましたが、まずはリハビリがてら・・・
広角過ぎて、馴れないとかえって散漫になっちゃいますね・・・反省です。撮り直す間もなく電車が来たのでさっさと撤収・乗車します。
キットレンズの場合、広角&望遠側の両端が甘くなる傾向があるものですが、SEL1635Zはいかがなものか?そんな疑問を抱きつつ撮影。
一番美味しい絞り値を選んでいるので当然かもしれませんが、どこにも甘さ無し!元画像では随分と奥の標識の文字まで読めました。α7Rの性能もあるんでしょうが、見事な解像力です。
今度は開放付近で真逆光、画面に太陽IN!フレア的なものが見当たりません。逆光特性は半端無く凄いのかも知れないですね。
それにしても、広角を手にするとついつい空ばかり見てしまう習性を何とかしないと、ちっとも進歩できませんよね・・・またしても反省。
よし、空じゃなくて・・・・海だ!あ、やっぱり大して進歩できそうもない気が。
塗料の質感もしっかり再現してくれています。ググッと寄っての撮影なので、流石に背景はアウトフォーカス。この日はやや風が強く、しばしば波飛沫が舞い上がる始末でしたが、AF速度は波のタイミングを見てササッと撮れるレベルに達しています。
中間域あたりは大抵のズームレンズでも良好な性能を発揮するものですが。
解像・質感・周辺光量落ちいずれもスッキリした画が望めます。個人的には光量落ちして下さってもまったく問題無いのですが。
絞りすぎると回折現象が起き解像力が低下する、なんてよく云われますが、回折の理由を解説すると、光が物体(絞り羽根)に当たった時に物体側にシフトするのが原因です。絞り込み過ぎるとその影響が大きくなる、大雑把にはそんな感じかと。それでも、多少画質が落ちても絞り込みたい時はあるでしょう。どうぞ、必要なだけ絞れば良いと思います。
それにしてもランドマークタワーの頂部が鋭角的になっていますが、やはり16mmは強烈なパースです。
ブラつくうちに、真夏の様な木のシルエットに惹かれて、再び真逆光撮影を。
太陽の真下の木、その幹の向かって左手にちょっぴりゴースト発生。これだけガッツリ太陽を入れてもこれっぽっちのゴーストとは・・・敢えてゴーストを効果的に使う、と云った手法は選べないかも知れません。
レンズに小姑みたいな仕打ちをするのが目的では無いのですが、それでも「ただ褒めるだけ」じゃ提灯持ちになってしまいそうなので、欠点が出そうなシチュエーションを選びましたが、逆光耐性は見事としか云いようがありません。この素晴らしいレンズに祝福を!
今度はパースの特性を試してみました。ま、超広角では樽型パースは当たり前ですが。
僅かに上向きでの撮影ではありますが、手前のタイルの目地を見ますと樽型がよく判ると思います。
で、35mm側でも撮影を。
タイルの目地、今度は逆方向に曲がりました。やや糸巻き型になるようです。
開放F4なので、望遠側でも余程寄らない限りボケは期待できませんがスナップには充分かと感じます。
も少しボカしたいなぁ、なんて感じる方は近日発売予定の50mm F1.8を予備で持ち歩く、なんてのはいかがでしょうか?
来る度に同じモノを撮ってしまう、なんて習慣がありますが今回も。そしてゴースト発見!やっぱりごく小さなモノですが。
今度は画面から太陽を外していますが、ちょっぴり発生です。EVFではまったく気が付きませんでした。
35mmでの最短側を試してみますと。
風にそよいでピントがあばばば・・・
少し甘くなってしまいましたが、拡大しても白部分の色滲みは殆ど感じられないレベルでした。
風が強いので、今度は室内で。
「そもそも」広角ズームで狙う被写体ではないかも知れませんが・・・35mm側で近距離の場合はそこそこ柔らかめになるような印象だったものでつい。
超広角域を含むので、室内撮影にも役立ちそうです。
結構シャッターのキックが激しいα7Rではありますが、OSSで室内撮影時の手ぶれもちょっと安心です。
漆喰の質感も上々・・・ってこれはボディの恩恵も勿論の事です。
アングル次第では16mmの強烈なパースが炸裂します。可能な限り水平を心がけつつ。
左手上の梁、直交しているんですが思いっきり鈍角に見えますね。シャンデリアを配する都合、ちょっとだけ上向き撮影です。
数時間使っているうちにちょっとずつ馴染んできましたが、ヌケの良さと質感表現との両方に力を発揮できるレンズだと感じます。全般的に色乗りは良好ですね。
ヌケ良くスコーンと。
絞り開放から色滲みも無くスッキリした画が撮れたり。
少しだけアンダー側で質感重視してみたり。単に画角変化が大きいだけでなく、表現として色々な使い方に応えてくれそうです。
ところで既に桜が散り始めました。横浜でも砂時計のように花弁が落ち続けていました。花の命は短いなどと感じながら、外人墓地を眺めて「異国の地にに眠る」ってどんな気分だ?なんて問いかけたい気分になりました。「死んだら何も感じないよ!」なんて身も蓋もない独り言を呑み込みつつ、ですが。
SONY Vario-Tessar T*FE16-35mm F4 ZA SEL1635Z
レンズ構成:10群12枚(非球面5・EDガラス3、高度非球面レンズ1枚含む)
最短撮影距離:0.28m
寸法:φ78X98.5mm
フィルター径:φ72mm
重量:518g
担当:松浦