今回はAPS-Cセンサー搭載の単焦点レンズ搭載コンパクト、富士フイルム「X70」を使ってみました。焦点距離18.5mm F2.8のレンズを採用したこのX70、とにかく小型でレンズの繰り出しもなく、AFも「あ、結構速い♪」と素直に思えるのが撮影前に弄った感想です。
背面モニタが上方180°ティルトするので自撮りも楽。ですが、これは全く使わない人も多いかも知れませんね。私個人は、若い頃には山頂で頂上標識と一緒に自撮りした事はありますが。今では小っ恥ずかしくてやってられませんです、はい。
まずは試しに。レモン社新宿店へ向かいがてら1枚。
ひょっとしたらコントラストが強いかも、等々思ってアスティアモードで撮影ですが、きちんとソリッドな質感は出してくれました。フィルム時代のアスティアは素直な発色のみならず、結構ハイライトが粘ってくれた印象があるので今でもフジのデジタル機でよく使っています。
35判換算で28mmの焦点距離を持つX70ですが、デジタルテレコンバーターなる機能を搭載しており、35判換算で35mm、50mm相当の感覚で使う事も可能です。
例えば28mm相当で。
お次、デジタルテレコンバーター使用で50mm相当では。
デジタルテレコンバーターを「使用可」にしておいて、レンズ鏡筒のコントロールリングを廻すだけで3段階の焦点距離(仮想)が切り替えられる結構便利な機能です。元画像をデスクトップで見る分では、画質の劣化等も気にするようなモノではないと感じます。
だが、しかし。
レンズ先端のリングもいつの間にか一緒に回転していて脱落しそうになったりするので、頻繁にこの機能を使う方は時々締め直しを心がけるべきかも知れません。
それと!AEブラケット使用時にはこの機能、どうやら使用不可能のようです。何かしら裏技があるのかも知れませんが、AEブラケットを解除して1枚撮りに切り替えると使えるのですが・・・とか云いながら改めて実機を弄りますと。はい、AEブラケット無し・普通の連写でもデジコンは使えないようですね。私自身は頻繁ににAEブラケットを多用するので、かなりガッカリなのです。
ま、軍艦部にデカデカと露出補正ダイヤルがあるので(位置的にも操作しやすい)、「1コマずつ大事に撮れ」と云う事なのでしょう。
周辺光量落ちをザッと見ますと。
空のグラデーションは当然として、画面隅のビル壁面を見る分には気になるような光量落ちは無さそうです。単純に、被写界深度だけを気にして絞りを選べそうですね。
ガキの頃から広角レンズを手にするとついつい青空を撮りたくなる習性がありまして、今回も当然の如く慣例に従います。
4月の下旬、鬼子母神前の公園で一服しつつ(ちゃんと灰皿設置場所)。なんですが、どうにも時計の画に締まりがない。太陽は真横上方位にありますが、今回はフード未装着での撮影です。フード、用意しておいた方が良いかも知れませんね。
石像を撮る事がちょいちょいとありますが、石像ってソリッドなのかソフトなのかよく分からない不思議な被写体だったりします。今回も勿論撮影しました。
そこそこコントラストの強い条件でしたが、シャドーも潰れず描写してくれました。
そして50mmデジコン。
50mm相当のF2.8ですが、元の焦点距離が18.5mmですので。劇的にボケるワケではありません。
とは云うものの。このX70、最短撮影距離が約10cmとかなり寄れるので、デジコン使用でググっと寄れば効果は大きいかも?と思ってやってみると。
穏やかながら微風に花がそよぐもので、ピントに僅かな不安が。そんなワケでちょっとだけ絞っていますが、ボケ方は立派なものだと感じました。
ほぼ目一杯寄って撮影したこの花は、誰あろう、雑司ヶ谷霊園に眠るかの夏目漱石先生の墓前に供えられた百合の花でした・・・思わず、「夢十夜」の第一夜を連想しましたよ。
雑司ヶ谷から副都心線-東急東横線-みなとみらい線へ直通電車が走っていますが(渋谷駅の使いにくさはさておいて)、元町中華街駅から徒歩10分の神奈川近代文学館で只今「夏目漱石展」を開催中です。5月半ばまで開催だったと思いますので、興味お持ちの方は是非!(脱線失礼)
青空と緑の発色がプロビアらしさを感じさせます。
雑司ヶ谷霊園には他にも小泉八雲、永井荷風、竹下夢二等が眠っています。例えば荷風先生の墓所は・・・
生け垣に囲まれながら、その生け垣が草花に囲まれている画面左奥にひっそりと眠ってらっしゃいます。正面奥に見える舗装路を右へ進むと、お手洗いです。
?
極力カメラを水平にして。EVF非搭載なので、老眼には辛いところですが。元画像では拡大しても奥までキッチリ解像しています。
初めての町でロクな地図も手元になく、あまつさえガラケー遣いだと容易に道に迷います。直交しない道が多ければ、ほぼ確実に迷います。そんな時でもX70の重さであれば負担にならず、ミスコースもまた散歩の醍醐味と思えるってものです。
白い部分のエッジを見ても色滲みは感じません。すっきり素直な白を出してくれます。
陽射しも気持ち良いのでもう1枚、ちょっと移動して・・・っと、ここで盛大なフレア発生!
完全に眠たい写真・・・フードは無い・・・ので、必殺手のひらフード作戦です!左手のひらをちょいとかざして・・・
画面からはギリギリ太陽を逃がしてたんですが、サイドからの強烈な光が影響していた模様です。なるべくフードを装着するべきなんでしょうが、そうすると折角のコンパクトさが・・・なんて事もありますので、初心者さんは手のひらフードを覚えておいて下さいね♪
?
最後に高感度チェック。ASA1600は常用で当たり前として。
まずはASA3200。
殆どの方がまず問題無く使える範疇だと思います。
そしてASA6400。
ビルのエッジ等、ディティールが幾らか低下していますが、用途によって使える範疇・・・かな?
ではASA12800。
なんか、かなり無理している感じになってきました。写っている事が最優先であれば、是非・・・
で、ASA25600は・・・51200は・・・ご想像にお任せします。緊急時にご利用下さい。
そんなこんなで腰痛持ちの老眼がX70を使った今回のレビューですが。軽くコンパクトで良く写る!と感じますが、逆光にはちょっと弱いかも知れませんね。逆光に負けてかなりのカットを没にしました。
EVF非搭載故のコンパクトさは多くのユーザーさんに支持されると思いますが、手元の視界を勘で処理する老眼持ちにはちょと厳しいシーンがしばしばありました・・・老眼鏡をすると手元より遠くの物が見えにくいので、普通に歩く分には使いませんからね。外付けのEVFを御一考いただきたいかな、とか感じます。多分、それで撮影前にフレア等に気が付くと思うんですよ、老眼でも。
< /p>
担当:まつうら