シャッターと巻上
フォーカルプレーンシャッター式ロールフィルムカメラで、巻上とシャッターチャージが連動しているのは、ライカが初めてではない。オスカーバルナックは、どこからヒントを得たのだろうか?彼はライツ社に来る前は、カールツアイス社に在籍していた。ツアイスイコンが出来る前、カメラを自社で作った時代があり、出向していた可能性がある。作っていたのは、パルモスというカメラで、戦前の国内新聞社で報道用として使われていたことがある。そこで作っていたロールフィルムパルモスは、実物が残っておらずカタログしかないが、巻上とフォーカルプレーンシャッターのチャージが連動しているカメラとして記録されているが、バルナックは、これを何らかの形で見ている可能性がある。
つまり、1コマ分のフィルム移動量と、フォーカルプレーンシャッターの幕の移動量をリンクさせており、どちらかの移動量が足りなければ、もう1方はその分空回りをして、帳尻を合わせるという機構なのだが、ツアイスはパテントを取っており、それが切れるのを待って、バルナックはライカをまとめたという説がある。
M型はデジタルを除き、布幕横走りシャッターだ。ニコンもキヤノンも距離計連動機は金属幕を使っている。太陽光線によるピンホール防止だが、ライツは音が静かだからという理由で、現行のM7とMPもゴム引き布幕を使っている。ライカの1眼レフは、Rシリーズ以前は、布幕だ。縦走りだとカメラの高さが高くなるからという理由で、採用しなかったらしい。ニコンの距離計連動機は、SPの後期を除きゴム引き布幕のまま、キヤノンは途中からステンレス幕に変えた。親父は、ニコンSPを持っているが、番号帯からいうと、布幕シャッターらしいのだが、チタン幕に交換されている。単に幕だけ変えたのかどうかわからないが、元々布幕機や元々チタン幕機と比較すると、ちょっと音が大きい。
救いは、広角レンズを使っているので、これから日差しが強くなる時期に穴の開かないチタン幕は、ありがたい。なお、万が一ライカM3のシャッター幕を焼いてしまった場合(ピンホ-ル)、弊社で、交換することが可能である。但し、片幕交換で工料部品代込、5万円近い価格となる。これからの時期、太陽に注意を!
日本カメラ博物館主催全日本クラッシックカメラクラブ協力 ツアイスイコンのカメラ展図録より借用
なお、図録は絶版。