今回も雨模様の商品レビューとなってしまいました。
フォクトレンダーのVMマウントレンズで、ULTRON 28mm F2をご紹介致します。
解放F値2の大口径でありながら、超高屈折率ガラスの採用により、全長51.2ミリ(フード含む)で最大口径55mmによりレンジファインダーカメラに内蔵されたフレームを使用する際に、ファインダーのケラレが軽減されています。
非常にコンパクトなレンズです。
カメラはM9を使用しました。
開放から2段絞ったF4での撮影です。暗部もベターっとつぶれることなく、そして線もしっかりと描写されています。
また白の描写も見事(カメラの恩恵?)です。
最短撮影距離が70cmと寄れないので、前ボケを生かして使用しなければいけないレンズです。これは本レンズに限らず、レンジファインダー用のレンズの宿命とも言えます。
画面中心の丸い穴にピントを合わせてF5.6で撮影しましたが、かなりボケてくれます。
大口径レンズの醍醐味の一つに開放での暴れっぷりがお客様との対話でも話題になります。
コントラスの低い日だったのでほどほどに溶けるような描写となりましたが、光の周りのいい快晴だと違った描写を示してくれそうです。
明暗比の高い風景ですが、暗部に完全な黒つぶれもなく、描写力の高いレンズと印象を深めました。
周辺光量落ちはF11まで絞っても認められますが、開放付近を多様される場合は、それなりの覚悟が必要です。
光量落ち前提での撮影になると思います。
いつも撮影している旧郵便局長室での2枚です。
1枚目はフィルム時代の感覚そのままの描写で、2枚目は最近撮り始めた構図の写真です。比較する枚数が少ないのですが、床にピントを合わせて景色をややぼかし悠久の時を上手く収められたような気がします。
耐逆光テストですが、期待はしていませんでした。その通りの結果ですね。
但し、雲の描写が期待以上でした。
街頭の右側の建物。かなり緩い。28mmの広角レンズでのF5.6はかなり絞り込んでの撮影ですが、内蔵のフードでは光線カットが不足なのでしょうね。
意地悪な構図での撮影ですが、前述の通り明暗比が高くてもしっかりと写真として収めてくれてます。
寄れない不自由さを甘受出来るのであれば、オススメの一本です。
[商品仕様]
焦点距離 |
28mm |
口径比 |
1 : 2 |
最小絞り |
F22 |
レンズ構成 |
8群10枚 |
画角 |
75° |
絞り羽根枚数 |
10 枚 |
最短撮影距離 |
0.7m |
距離計連動範囲 |
∞~0.7m(カメラにより異なる) |
最大径×全長 |
φ5 5.0×51.2mm |
フィルターサイズ |
φ46mm |
重量 |
244g |
レンズフード |
標準フード付 |
最後に使用感・操作感ですが、ヘリコイド、絞りリング共に良好です。流石にフィルム時代にレンジファインダー機を作られていただけのことはあります。写真の撮り手のことをしっかりと考えての設計です。
担当:いりえ