カメラ用水銀代替え電池と電池アダプター

ジャンク品のチェック等をしていると、よく液漏れして目も当てられない機材を目にします。
先日も「あぁ、悲惨な事になっているんだろうな、コイツの電池室・・・」と思いながら電池室を開けますと、幸いにも液漏れは発生しておらず、そして珍しい電池が転がり出てきました。

MATSUSHITA銘が懐かしいです

現在では生産されていない水銀電池です。MR-9、又はH-D等と呼ばれるタイプはかつて広く普及していましたが、今回お目にかかったのはこれらを二段重ねにしたタイプで、側面には「H-2D」と表記されていました。

水銀電池はおよそ20年ばかり前に生産が終了しましたが、それまでの普及の広さからこれらの電池を使うカメラもまた多く現存しています。それではそれらのクラシックカメラの立場はどうなるか?

その答えの一つが、代替え電池を使う方法です。レモン社では上記MR-9/H-Dの代替えとして、「空気電池」を取り扱っております。

水銀電池にとても近い電圧1.35V

人気のクラシックコンパクト「ローライ35」「ローライ35S」の露出計もこのタイプの電池で対応できます。
*ローライ35シリーズには一部「もっと特殊な電池」を使うタイプがありますので、お求め前に販売スタッフにご確認下さいませ*

使い方は簡単。放置して、電池内に空気を取り込ませるだけです。パッケージを開封しまして・・・

ちゃんと放置してあげないと、仕事してくれません。

中央の銀のシーリングを取っ払いまして、裏っ返しますと・・・

繰り返しますが、まずは放置です。

この青いシーリングも引っ剥がしておよそ30分放置です。シーリング裏に隠されていた穴から空気が取り込まれ、使用可能になります。
この空気電池は比較的安価で、レモン社銀座店店頭価格で¥756-(税込・2016年7月現在)となっておりますが・・・当時の水銀電池が驚異的に電池の寿命が長かった事を考えると些か消耗が早く感じられるかも知れません。

代替え電池その2として、MR-9/H-Dと同時恰好で1.5Vのアルカリ電池も一般に流通しているようですが、この電圧差の影響で「露出計の精度に問題が出る」、「回路に負担が掛かる」等を気にされる方も多いでしょう。

全く違ったアプローチとして、電池アダプターを使うと云った方法があります。

MR-9アダプター。酸化銀電池SR43を使用。抵抗器内蔵で電圧変換

アダプターの価格がレモン社銀座店価格¥2,670-(税込・2016年7月現在)、別途「酸化銀電池SR43」をお求めいただいてお使いいただけます。
初期投資で合計¥3,000-ちょっと超える位になりますが空気電池よりも大幅に「持ち」が良いので、長くお使いになられる方には結果的にランニングコストが抑えられる事になるでしょう。

そしてまた一味違ったアプローチとして。
機械式カメラの多くが露出計用にしか電池を使っていなかった点を鑑みて。いっそ露出計なんて使わない!と云った方法があります。
リバーサルフィルムを使わない方であれば、現在のネガフィルムのラチチュードは大変広くなっているので「余程勘所が狂っていない限り」概ねキレイなプリントが得られます。
水銀電池を買った事のある世代なら・・・要は、マニュアル露出の勘所が頭ん中に出来ている方なら、却ってこの方法が手っ取り早いかも知れませんね。もはや電池切れの心配も要りませんし!

いろいろと方法はありますが、まずは現存するクラシックカメラ達と楽しくおつきあいしていきましょう♪
年々、コンディションを維持できているカメラが減りつつあるように感じられます。お手元のカメラちゃんを可愛がって下さいね!

担当:mm