つい先日発売となったM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROがあまりの高評価なので、ついつい語られなくなりそうな気もしますが・・・今回はM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROのレビューです。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROは換算24-200mm相当の高倍率ズームでF4通しとなり、大抵の屋外撮影をレンズ交換無しで済ませられる優れモノではありますが。その画質も上々の評判ではありますが。古い世代の人間としては、それはなんだか「あまりにもムシが良い話じゃないか?」と云った要らぬ反感を抱いてしまいまして・・・それに、若くない人間としましてはたとえ180g程度でも軽い上に明るいM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROに心惹かれたりもするワケです。
まずはOM-D E-M1 Mark IIと組み合わせて出かけましたが・・・
太陽を画面に入れて。太陽の位置、照り返し等でちょっと判り辛いんですが、多少周辺光量落ちが見られるかな、と云ったところ。特別光量落ちが大きなレンズではありません。
ワイド端での撮影ですが、タイルの目地を見ると些か樽型の歪みが見られるようです。ところでなんで13mmで撮影したかって?構え直した時にちょっぴりズレてしまったんですよぅ。
思いっきり画面に太陽を入れていますが、コントラストの低下は少ないように感じられました。
テレ端40mでは・・・
それなりに落ちが見られます。F4辺りでごく自然な印象に、F5.6でほぼ解消と云った落ち具合でした。
で、今度は逆光テストを。まずは絞り開放F2.8で。
同じような位置で、今度は絞り気味に。
太陽と対角線上の位置に、桃色フレア発生。茂る葉の辺りにもゴーストが出ていますが・・・ここまで真っ直ぐに太陽を入れてる事を考えると「良く頑張ってる」と云ってあげてよろしいかと思います。
ちょいと太陽を遮ってあげれば、逆光でも一気に抜けの良い色ノリを発揮します。
順光で絞り気味にして、解像力・発色の按配を見てみますと。
冬の日差しですが抜けの良い白が出ます。元画像では船体のリベットも索もしっかり描写してくれていました。
ちょっと意地悪をして、絞り開放で白を撮りますと・・・
被写界深度外のリベットのエッジに、ごく僅かに色収差が感じられますが、上等な部類には違いありません。ちょいと絞るとスッキリと消えてくれます。
ワイド端でマスト全体を入れて・・・
左から2番目のマストにちょっぴりフレアが出ていますが、マストや索の解像は期待通りの上々な出来です。
何となく青と白が続いたので・・・今度は赤系で。
広角域ならではの描写が存分に楽しめるレンズです。ギブソンのチェリーレッドの雰囲気も良く出せているように感じます。
部分カットで中間域の解像力を見ますと。
清々しいキレっぷりを発揮してくれます。絞り過ぎずに被写界深度の深いソリッドな描写が出来るのは、マイクロフォーサーズならではの大きな魅力なのですが、それも出来の良いレンズがあったればこそ。
気にされる方の多い、例の玉ボケ具合を見ますと・・・時間の都合で日中にテスト強行!
隅のボケも大きくは変形はしていませんね。ちなみにF5.6程度に絞って試しますと・・・
円形絞りのお陰か、かえって是位絞った方がキレイな玉っぽく見えるような気が・・・
円形・・・じゃなくて、遠景も試してみますか。
暮にも見かけた豪華客船飛鳥II。細部に到るまでキッチリと描写してくれています。
今度は絞り開放の遠景。
画面奥のマリンタワーの鉄骨なんて、開放ながらなんとまぁ良く解像されています。
このレンズ、最短撮影距離0.2mとなかなかの優れモノなのですが、そうなると近接も楽しみたくなるってもんです。
まずは足元の奇妙な草(花?)にご登場願いまして。
開放から1段絞っています。被写体の形のせいもあるかも知れませんが、ちょっとだけワサワサしたボケ感でした。
で、ここから更に寄ってほぼ最短距離で。
マクロ専門レンズには流石におよびませんが、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROが手元にあればいつだってこれ位は寄れる!と云うのは頼もしい限りです。
ところで、微妙なピント合わせの際にMFに切り替える事もしばしばあるかと思いますが。M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROはMFクラッチ機構を搭載しているので、AF/MFの切り替えはごくスムーズに行えます。
先端のフォーカスリングを軽く手前に滑らせてあげると・・・
距離目盛が現れ、MFに切り替わります。フォーカスリングの操作感触も極めて上々・・・なのですが、このフォーカスリングの前後の動きがあまりに滑らか過ぎて、何時の間にやら予期せぬポジションになっていたりするのがちょっと気になりました。
こんなシチュエーションではボケ具合もずっと自然になりました。純白ではないって事もあるかも知れませんが、こちらも殆ど色収差を感じません。
ワイド端12mmと云うスペックは、室内撮影にも大変有効な画角です。
とは云うものの、ディストーションにはご注意を。
天井の梁でなんとなく誤魔化していますが、歪みがファインダ越しに感じられました。
意地悪なシチュエーションですが、タイルのパターンが面白い具合に変形しています。
上の写真は判りやすいような場所を選びましたが、アングルで誤魔化す工夫をしてあげれば、さほど気にならないかも知れません。
歪みさえ誤魔化せれば、深い被写界深度と広い画角を存分に活かす事ができるでしょう。
ちょっと室内の小物を狙ってみます。
F3.2にしては結構被写界深度が深いとお感じの方、大正解です。
このM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、深度合成にもキッチリ対応していますので、手持ち深度合成を試してみた結果がこれです。
深度合成とは・・・続けざまに8枚、フォーカスポイントをずらしながら撮影してカメラ内で合成する、と云うある意味反則的な便利機能です。
例えば、違うカットですが1枚目がこれ。
手前も奥もボケていますが、レリーズと同時にカメラ内で一気に8連写&合成開始。一呼吸おいた位で合成完成しまして・・・
合成完了です~!方眼のやや内側に被写体を配置して撮影すると、合成後にはこれ位のトリミングで済みます。
実際には素材となる8枚のピント移動幅の設定等にコツがありまして、なかなか思うように使いこなせてはいませんが・・・その辺の詳細はまた近日と云う事で。
日常的な範囲を十分にカバーし、見事な画質で防塵防滴、大口径。今回の組み合わせではAFも素早く、快適な撮影が楽しめました。
今となっては新製品とは云えないM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROですが、そのスペックは陳腐化とは程遠い見事なものと感じました。
きっと、あまり単焦点レンズを使わない方には「着けっぱなしレンズ」になるんじゃないでしょうか。
レモン社銀座店;松浦
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
レンズ構成:9群14枚(非球面EDレンズ1枚,非球面レンズ2枚、DSAレンズ1枚、EDレンズ2枚 HDレンズ1枚 HRレンズ2枚)
絞り構成:7枚羽根円形絞り
最短撮影距離:0.2m
寸法:φ69.9×84mm
フィルターサイズ:φ62mm
重量:382g
お問合せはレモン社又はナニワオンラインまで