つい先日、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROのレビューの際に。このM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROについて「ムシの良い話」なんて放言してしまいましたが・・・結局今回このレンズを使った感想は、「こりゃえぇわい」です。それこそムシの良い話ではありますが・・・
前回お世話になったM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROと較べますと明らかに一回り大きいレンズですが、APS一眼用の18-135mm(35判換算27-200程度)のズームと同程度とお考えいただければ、広角端24mm相当はAPS18-135mmクラスと比較しても大きなアドバンテージでしょう。
重量561gを必然と見るか重いと見るか・・・当初は「ちょいとばかり重いなぁ」と思っていたのですが、画質・ズーム域以外のとんでもない魅力をこのレンズは・・・っと、その辺のお話はまた後半で。
使用ボディは年末に登場したE-M1 MarkIIです。
前半:昼の部、画質等々
前回のM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROと同じような所から撮影開始です。
広角域と云うこともあって空は僅かにグラデーションがかかり始めていますが、手前の地面を見る限りでは周辺光量落ちは気にならないレベルのようです。太陽をガッツリと画面に入れてますのでさすがにちょっぴりフレアっぽくなりましたが、色乗りも上々かと感じました。
周辺光量落ちは少なくても広角端12mmは、空のグラデーションを活かして蒼をグッと落とすのに大変好都合な画角です。
絞り開放からシャキッとした描写で、スッキリした白さを再現してくれています。画面四隅を見ても、良く安定しているのが判ります。
あ、そうそう、CP+の会場はこちらパシフィコ横浜でございます。今年もCP+中古カメラフェアを何卒よろしくお願い申し上げます!
高倍率ズームレンズだと、どこかしらの焦点域に弱みを抱えている事がしばしばですが。この子はどうなんだろうかと思いつつ中間距離・望遠端の様子見を。
まずは同じ所で17mm(35判換算34mm)、やはり絞り開放です。
絞り開放から十二分に高画質を発揮してくれます。周辺光量落ちは実用上無い、と云えそうです。同じカットでF7.1も撮りましたが、奥の細部のエッジがやや際立つ位の差でした。まぁ、これはメイン被写体と十分に距離を取れていた事もあるでしょう。
続きましては標準~中望遠域の様子見を。
所謂大口径レンズではありませんから、被写体との距離を工夫しないと大ボケは期待できないのはやむを得ないとしても、ギスギスした感じの無い素直なボケは好感が持てます。上2枚は柔らかい被写体ですが、合焦部はキッチリとシャープに解像しています。
絞り気味にすれば、画面全域で隙の無い描写となります。開放から2段、F8で試してみます。
中央部は当然ですが、周囲の枝々までしっかりと描き込んでくれました。
続きましては望遠域です。今まで試用した似たようなズーム域のレンズの中には、望遠域が「おまけ」レベルの高倍率ズームもありましたが・・・まずはいきなり望遠端、開放で。
絞り開放ですが、まず実用上充分使えるレベルです。少し柔らかい印象はありますが、絞ってみると・・・?
同じ場所で、ちょいと絞ってF8で。
大分解像感が上がりました。特にボケ効果を狙うのでなければ、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROは強烈な手ブレ補正機能を搭載しているので、光量が少ない条件でも安心して絞りを稼げるでしょう。
ま、晴れの日は晴れの日なりに太陽に感謝しつつ、いたずらなカモメを。
人によっては/被写体によっては、望遠端換算値200mmじゃ足りないなんて意見もあるかと思いますが。
そんな時にはデジタルコンバーター機能でちょろ~んと対処を。
この便利なデジタルコンバーター機能、AFエリアがちょっと大きくなってしまう難点はありますが、大抵は欲しい所にちゃんと合焦してくれています。
日常的に実用性が高そうなその他の望遠域でも撮影しました。
半逆光で気持ちの良い白を。ケーブル、パイプ類も清々しく切り取ってくれました。
ある程度高速シャッターなので風向計のペラが止まっていますが、旗は見事に靡いています・・・寒いです。
レリーフも然ることながら、石肌の描写も大変精緻です。シャドーの粘り具合はレンズによるのか、E-M1 MarkIIによるのか・・・
換算100mmを越えたあたりから、マイクロフォーサーズでも流石にピントが浅くなり始めます。
リースの赤い実に合焦していますが、ブーケやカスミソウはアウトフォーカス気味。描写も少し柔らかめになってきた気がします。
寄り気味、手前と奥にボケを作って。屋内から日陰に向けての撮影ですが、赤の色乗りも十分です。
広角端のディストーションを見ますと。
天井の梁に僅かに歪みが出ていますが、この手のズームとしては良好な部類ではないでしょうか?なんとなく、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROよりもディストーションは抑えられているように思えます。
普段は単焦点15mmだけで出かける事の多い私ですが、12mmのパースペクティブは使っていて楽しいモノがあります。反面、レンズに使われちゃってる?なんて疑問を感じる事も無きにしもあらずですが。
30年ばかり前、横浜港湾地区が「みなとみらい」なんて名前になるなどと予想もしていなかった頃。友達としばしば立ち寄った操車場?らしき物の跡です。
絞り過ぎは良くない(回折現象の為)なんて言われる事が多々ありますが、どうしても絞りたい時は存分に絞れば良いと思います。画質よりも大切なモノもしばしばありますからね。
周辺光量落ちはとても少ないように感じましたが、ちょいとアンダーに振って、光量落ちを「偽装」出来しております。
再び太陽をモロに画面に入れて。やはりフレアが出ましたが、作画意図を阻害するモノでもなかったのでそのまま撮影しました。
太陽を画面に入れた場合は、大体こんな感じのフレアとなるようです。
似たような形状ですねぇ。
後半:夜の部、超絶手ぶれ補正
やがて陽は傾き灯し頃になります。オイラの出番、とばかりにM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROが騒ぎたちます。
1/60Sec.ってなんて高速なんだろう・・・その後、そんな奇妙な錯覚がありました。
今回の機材の組み合わせでは5軸シンクロ手ブレ補正を利用でき、最大6.5段相当の手ブレ補正効果により手持ちで夜景に臨む事が容易になる・・・なんて話を聞きますもので、それではちょいと試してみようじゃないか、と云う運びです。
そして、この手ブレ補正能力こそが、画質・ズーム範囲云々を超えたとんでもない魅力の一つでした。
自慢じゃありませんが体格に恵まれない上に腰の浮っついた微ブレ常習のこの私が云うんですから、まぁ信じておくんなさいまし。
まずは1/4Sec.で。
まぁ、慣らしがてらの1/4Sec.です。慣れてくると「2秒は堅い」、とか「20秒に挑戦!」なんてとんでもねぇ猛者達もござらっしゃるのですが、今日の目標は2秒として挑戦です。
ちょいとズルっこして、手すりに寄りかかって1Sec.に挑戦。
寄りかからずに0.62Sec.で撮影した場合と、ほぼ同等に仕上がりました。
これは・・・ひょっとして俺でもイケるかも!かもかも!
ここらが私の手持ちの限界のようです・・・が、1Sec.未満であれば私でも高確率でブレを止められるようです。寄りかかったり等々の補助を使えば、3秒は十分に狙う価値がありました。と云うか、
これは撮影領域が大幅に拡がる!通勤カバンに入れるにはデカいけどね!
1Sec.を超えたあたりから、通行人が流れるので個人の識別が不能になったりします。これも面白い副次的効果ですね。
2Sec.超えをやっているうちに、1Sec.未満なんてあまりに短い。そんな錯覚を抱いてしまいそうですが、油断すれば即座にブレますのでご用心ご用心。
まぁ、本来は「何秒ブレずに耐えられる?」なんて挑戦するための機能ではありません。撮影を快適に・楽しく・歩留まり良くするための機能ですので、何処かしらに肘をつけるとか、寄りかかれるならば、周囲の迷惑にならない範囲で利用するべきでしょう。
今回は冬場の撮影となりましたが、季節が変われば楽しみな被写体が続々と思い浮かびます。散る夜桜とか、日の入り過ぎの蛍とか、花火とか・・・もしもこのレンズが手元にあったなら、必ずや大活躍することだろうと思います。E-M1 MarkIIのプロキャプチャーモードを使えば、遊び方は更に拡がるでしょう。
レモン社銀座店;松浦
買換えをご検討中の方、レモン社銀座店までご相談下さいませ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
防塵防滴機構
レンズ構成:11群17枚(DSAレンズ×1・非球面×3・ED×5・スーパーHRレンズ×2・HRレンズ×1・・・贅沢ですね)
最短撮影距離:広角端12mm→0.15m/望遠端100mm→0.45m
絞り構成:7枚羽円形絞り
寸法:φ77.5×116.5mm
フィルター径:φ72mm
重量:561g
お問い合わせはレモン社各店
またはナニワオンラインまでどうぞ。