今回はHandeVision IBELUX 0.85/40mmのマイクロフォーサーズ用モデルを使ってみました。
開放0.85を活かすべく、選択ボディはE-M1 MKIIです。その心は・・・電子シャッター使用で最高速1/32000Sec.を使え、感度拡張LOWでASA64相当を選択出来る利点があります。
公称F0.85の呆れた開放絞り値を誇るこのレンズ、見事な重量感があります。いや、はっきり云えばデカいです。同じ単焦点40mmのMFレンズと云う事で、Gズイコー40mm F1.4と比較してみますとこんな感じです↓
マイクロフォーサーズの大きなメリットの一つ、「小型軽量」とは真っ向から対立しますが、すべてはF0.85の為です。とか云ってあげたいところですが、フォクトレンダーのNOKTON 25mm F0.95 TypeIIは重量435g。ちょっと微妙な図体ですね・・・
*NOKTON 25mm F0.95 TypeIIレビューは秋葉原店ブログで掲載しております。
フォーカスリング/絞りリング共に回転感触は良好ですが、操作性ではちょっと不満もありました。絞りクリックは1段毎、そのクセ各絞り間の回転角にあまり余裕が無く、中間絞りが使い難く感じられました。
レンズフードは組込み式ですが、外観からして「かなり長いフードかな?」なんて思うと裏切られます。マイクロフォーサーズ用としては明らかに寸足らずです。これはAPS-C/フルサイズ対応モデルも存在する為なんでしょうか?
電子接点はありませんので、撮影情報は記録出来ません。そんなワケで、今回も絞り開放から1クリックずつ絞って撮影/後から絞り値をコマ数から割り出す手順で撮影です。
●周辺部の光量と画質
前回のNOKTON 25mm F0.95 TypeIIの経験から、開放付近では画質云々するべきではないと思っていましたが、先ずは遠景撮影の画像から掲載します。
中央部以外はとろっとろになっています。輪郭部の色滲みは顕著ですが、予想よりも控え目かな、と云うのが実感です。もっとひどい事になるんじゃないかな、位に思っていましたので・・・周辺光量落ちもまた予想外に少ないのにビックリ。「大口径レンズ=開放は素敵な光量落ち」と思い込んでいる私にはちょっぴり残念な結果でした。
お次はF2で同じ場所を。
ごく単純に、F8から開放まで1クリックずつ続けざまに開きながら撮影していますので、F0.85とF2のカットの時間差はほんの数秒。その間に天候が大きく変わったなんて事もないのですが、F1.4とF2を境目に発色が一気に変わります。多分、F2より開けると収差炸裂となる、と云う事ではないかと考えています。周辺部は相変わらず緩いままですね。F4位までは周辺は甘い傾向が続き、F5.6あたりで「まぁそれなりかな?」と思えるレベル、F8でようやっと世間並みになりました。
厳密には、隅っこはまだちょっぴり緩さが残っていますが「味」と云う事でご了解下さいませ。絞ると収差の影響は暫時低下し、色乗りはかなり濃い口となりました。
●耐逆光
ゴーストはしっかりと出ます。オリンパス/パナソニックでよく見かけるゴーストとは違い、彩り豊かなゴーストが出ます。
F1.4とF1辺りを境に、強烈なゴーストが現れます。
コントラストの低下に関しては、シャドーは潰れてハイライトはすっ飛ぶ状況なので何とも申し上げようがありません。他のカットでもそう云った傾向にあるようです。
●近接力/ボケ
最短撮影距離は公称0.75m。レンジファインダー用レンズ並みのレベルです。総じて近接に強いレンズの多いマイクロフォーサーズレンズと比べると、物足りません。「寄ってボカす」が体に浸み込んでいると予想外に寄れず、ストレスを感じるかも知れませんね。デジタルテレコンをファンクションボタンに割り振っておくのもアリでしょう。それでも0.75m程度の近接能力では、開放0.85の威力も半減です。この点は明らかにNOKTON 25mm F0.95 TypeIIの方が使い勝手が良いと感じました。
このボケ具合を面白いと感じられるかどうか、でこのレンズの存在意義が決まるような気がします。
比較として、PEN-FT用のGズイコー40mm F1.4を開放で撮りますと・・・
こっちもこっちで決して綺麗なボケではありませんでした。ところで、似たような焦点距離のAFレンズとしてMズイコー45mm F1.8がありますが、大変素直なボケを見せてくれるレンズです。ごくノーマルなボケがお好みでしたら、確実にそちらをお使いになるのがよろしいかと思います。断然軽いですし。
最短撮影距離を比較すると・・・
続いてはGズイコー40mmです。
近接能力は低く、ボケ味も独特なモノがありますので、なるべく背景に気を遣って撮影したいものです。
木の枝、花の輪郭等々は場合によってはかなり煩く感じられます。
ある程度、背景との距離を取れれば充分にボケを発揮できます。
●色収差
冒頭のカットからもお判りいただけると思いますが、開放付近では顕著に現れます。F2未満/F2以上で発色がまったく変わってしまい、F2.8で完全に抑えられるようでした。
開放付近でEVFを覗くとビックリするくらいの色収差が目に入りますが、撮影カットをチェックするとそれ程でもない・・・と云う不思議な結果でした。
F2.8ではノーマルな発色となります。
何かと厳しい事ばかり云ってきましたが、F2を境に現実/非現実が切替わるとか表現しておきましょうかね・・・
それでもモノクローム撮影であれば、色収差を気にする必要もありません。
周辺光量落ちを望めないレンズなので、シェーディング効果を併用しています。
●普通に絞って使うと
概ね画像の安定するF5.6あたりの画像です↓
お社自体は見事に解像してくれていますが、周辺/隅はまだ緩いですね。
決して素直な万能レンズではなく、手ごわいライバルレンズは幾らでも存在します。何時でも持ち歩ける寸法でもありません。
それでも何だか面白そう!とお感じいただける方・・・そうですね、選ばれし者のみに使えるレンズ、それが IBELUX 0.85/40mmなのかも知れません。
p.s.私は選ばれなかったクチの人間のようです。
レモン社 松浦
HandeVision IBELUX 0.85/40mm
レンズ構成:8群10枚
絞り羽根:10枚
最短撮影距離:0.75m
寸法:φ74×128mm
フィルター径:φ67mm
重量:1,150g