レンズの立体感描写 ―前編―

?写真は二次元の平面で現わされるのが普通です。ペラの紙という事です。そんな平らな面に描かれた物が、時に浮き出て見えたりすることがあります。

鉛筆だけで描かれた花瓶のデッサンなんか、上手いものだととても立体的に見えるわけです。小学校の美術の授業で、教えられました。陰影を上手く使うんだよ、と。鉛筆で濃淡の諧調を、目で見たようにもしくは現実以上に強調してつけたりすると、盛り上がりや球面が画用紙の上で浮き立って表されるんです。
私の絵は平坦でしたが…。

?

?えー、前置きがかなり長いですが、何を言わんとしているかですが、写真レンズにもこのような「浮き出て見える」能力が必要なのであります。写真とて普通に撮れば二次元の表現となりますから。撮った物が立体的に見えるレンズとそうでもないレンズがあるわけなんです。その違いには、諧調再現性が豊か乏しいかという要因があります。例えば球体を撮るのに、球の表面に当たっている光の一番明るい部分から暗い部分にかけて諧調が、つまりどれだけ明るさの程度(トーンとも置き換えられます)の違いが緻密に出せるか、の違いが立体感の描写の差となって表われるわけです。

次回は、私が体験した「立体的描写」の驚愕編(笑)です。