ライカ親爺のうんちく(続続々)

改造

近年、メーカー純正の改造と云うのは極まれである。ニコンD3で内蔵バッファ―増設があり、ニコンD5でカードスロットの変更、マミヤRBで6X8マガジン対応と。マミヤ7Ⅱが出た時に改造サービスが有ったぐらいか。

 オスカーバルナックが、距離計連動のⅡ型を開発するとき、8つの条件を設定しその中に、中に新機構を旧型に組み込んで、容易に改装できる設計でなければいけないという項目を立てた。それは見事に実行され、1型のシリアルナンバーのままで、距離計内蔵となったものを見ることがあり、シンクロ機構が内蔵された3F以後の時代での改造では、シンクロ装置も連動距離計と共に改造を受けるようになり、無論、距離計内蔵機では、シンクロ装置のみの改造も、ウエッツラーのライツ社で受けるようになった。大昔、その話を本で読んだときに、費用がいくら必要だったのか、気になっていた。今と違って、容易に個人での輸出入が出来る時代ではない。答えは、あっけなく見つかった。東京西麻布にあった、ペンタックスギャラリーが発行していたミラーイメージという雑誌に、ライカ特集をした号が有り、最近入手した。主に中川一夫氏が書かれておられ、その分の中に“これらの改造は、外貨の関係でシュミット(当時のライカ輸入代理店。親爺注)では受けてはいなかった”とある。読んだ瞬間、ショックで持っていたビールのジョッキを落とすことはなかったが、あっけない答えだった。確かに、外貨は大蔵省から割り当てのある時代で、今と違って個人での輸出入は不可能、クレジットカードは普及しておらず、消費税の施行前で輸入関税と物品税の時代である。たぶん、シュミットは商品の輸入用の割り当てを貰うので、精いっぱいだったのだろう。考えれば無理!という答えはすぐ出ても良かった。ついつい調べたくなるのはビョーキである。しょうがない。

 70年代初頭に、バルナックタイプの部品の生産は中止され、それ以前に改造受付は終了している。たぶん、世界中にバルナック型の改造に必要な部品は、存在していないであろう。M型の改造は、M1に距離計を載せてM2への改造が出来たと聞くが、親爺は、改造されたものを、見たことが無い。M3の2回巻上を1回巻上に、フレームセレクターレバーの取付け改造の2点もしていたが、この2点の費用は不明である。やはり国内で受けていなかった可能性がある。何か資料をお持ちの方は、お教えいただけると幸いである。