ライカ親爺のうんちく(続々の続々)

焦点距離

商品に表示されているレンズの焦点距離は、設計上の値と異なる。有名なのは、ライカの標準レンズは設計値51.6ミリ、距離計コンタックスは52ミリが設計値になっており、スクリューマウント時代のキャノンもニコンも、いや他のメーカーも51.6ミリが設計値になっている。ニコンは、51.6ミリでスクリューマウントもSシリーズも作った。その為、被写体深度の深い50ミリ未満のレンズは、コンタックスとニコンSで共用することは可能だが、50ミリ以上に互換性はない。Sシリーズ用望遠レンズの中で、焦点距離が設計値より長い物は鏡筒にCの刻印があり、距離計コンタックスでも使う事が出来る。以前、コシナが生産した、ニコン/コンタックス用レンズは、広角はSCスコパー、50ミリ以上はS***になっている。
ライツ社は、製造時からバラつきを少なくなるように細工をしており、貼り合わせレンズも、設計値になるように薄い物と厚い物を組み合わせている。組立後、設計値にならないことがあり、ヘリコイドのカムの移動量に影響する。その為、それに見合うヘリコイドを作っている。Mマウントで50ミリ以上のレンズの場合、距離目盛の無限遠の横に、縦に小さく2ケタの数字がある。50ミリの場合、22とあれば52.2ミリ、16とあれば51.6ミリになる。スクリューマウントの場合、無限遠ロックボタン受の裏に、アルファベットあるいは数字で書かれている。戦後、ライカのレンズを付けた時と自社のレンズを付けた時、ピントが違う事に気付いた某社の技術者は、何本かのレンズを比べ、ヘリコイドの移動量が異なることに気づき、理由がわかったという。最近の新レンズは、どうかな?と思って見ると、数字が無い!ただし、気になることを発見した。レンズ側のカムの部分が、コロに当たる部分まで黒メッキされており、点が打たれていることに気付いた。ノクチルックス0.95は点1つ、アポズミクロン50は点2つになっている。確か両方ともフローティング機構が入っているので、そこである程度の誤差をカバーしてるのか?その違いを示すための点なのか?謎は深まる!

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ズミクロン90㎜。10なので、91ミリ       ズミクロン50㎜。22なので、52,2ミリアポズミクロン50ミリのカム。点2つが判る