ツァイスへの憧憬

私が、光学機器メーカーの「ZEISS」(カール・ツァイス)に憧れを抱くようになったのは、高校1年生の生物学の先生から聞いた話がきっかけでした。
 先生は自身の希望として、自然観察に使用する双眼鏡は、「将来はツァイスが持ちたいなー。それからメガネもフレームはローデンシュトック、レンズはやはりツァイスだな。」などと当時の私が全く知らないメーカー名を語ったのでした。
私は、「ニコン」「ペンタックス」「キャノン」、は知っておりニコンはコンパクトなポロプリズムタイプの双眼鏡を所有していたこともあり、その像のキレの良さにニコンというブランドに信頼を置いていたのでした。
 この初めて聞くツァイスというブランド。物に拘る先生が興奮気味に力説するこのドイツブランド。いったいどんな格好をした製品でどれだけ高額なものなんだろう。興味と好奇心がムクムクと湧き出し、父親や親戚達に尋ねるなどツァイスとの出会いに距離を縮めようとしておりました。
 やっと出会えたのは高校3年生の時、カタログ上ででした。その当時(1980年代)はカメラ量販店ではプレミアムな双眼鏡は、特別なショーケースの中に僅かに陳列されている程度で、手に取って眺めることなど出来ない雰囲気でした。仕方なしにカタログを貰い(これとて店の奥から出してきてもらい、貴重なものだったような記憶があります)、何度も眺めまわし父親と暇があっては製品について談義(空想上の使用感など 笑 )したものです。
 そしてついにツァイスレンズと触れ合う事となったのが、新宿の老舗眼鏡店にて2本目にメガネを作った時でした。1本目はペンタックスレンズを選択しましたが、1年たった時、臨時収入をツァイスのメガネレンズに充てたのでした!ツァイスレンズを希望すると、店主が勝手に「ランタール(ツァイス眼鏡用ガラスレンズ)」を選んでくれたわけです。
 夕刻のカラフルなイルミネーションに彩られた街並み、曇天下での色の拾い方、透明感、コントラスト、ともに素晴らしく感動した記憶がはっきりと残っております。このメガネをかけて物を見るだけで感動しまくっておりました。
 以降、私の光学機器に関する興味は、「ツァイス」を柱にして広がってゆくこととなったのです。