今回はSONYさんのEマウントフルサイズ対応単焦点レンズ、Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA(SEL35F28Z)を使ってみました。
青いZEISSマークが目立ちますが、別段ドイツブランド信者でもありませんので一切気にせずに撮影に臨みました。
開放F値はF2.8と控えめながら重量わずか120g、公称寸法も全長36.5mmと大変コンパクトなレンズです。
これと云った強い個性を感じさせないカタログスペックとお感じの方もいらっしゃるかとは思いますが、個人機材がマイクロフォーサーズ機の私には「小型軽量」と云うだけでも十分な魅力だと感じられます。又、専用フードも効率良さげながらコンパクトなデザインで、小取り回しが良く常時バッグに放り込んでおくにも好適です。
AF速度は爆速とは云えませんがスナップ撮影には必要十分な速度で、今回の撮影では迷い・ためらいを見せる事はありませんでした。無印α7と同期のレンズですが、現在でも問題を感じる事無く撮影に臨めました。
さて、作例を出す前に一つお断りをば。
ボディの「レンズ補正設定」を切った状態で一通り撮影を済ませ、その後PCで作業に掛かったのですが・・・周辺光量落ちが予想を超えた落ち具合でして、補正無しの条件ですと人によっては「こりゃ使い物にならんわい」とか思われそうなレベルかも知れません。そんなワケでして、このSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAの名誉の為にも、まずは光量落ち補正有/無から見ていただこうと思います。
まずは、絞り開放で、補正の有無を。
ボディの補正機能はなかなかのモノのようです。
ところで、通常は多少絞ると周辺光量落ちは緩和されるものですが、Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZAは補正機能を使わなかった場合、多少絞っても光量落ちを見せてくれるようです。
今度はF5.6、補正の有無を。
補正無しですと、撮影条件によってはF8でもしっかりと光量落ちが認められる場合もあるのですが、これは立派な一つの個性かな・・・とも感じます。
これより、全て補正「切」状態での撮影となります。
取り敢えず逆光撮影から。
モロに画面に太陽を入れています。流石に光源近くの第三マストはコントラストが低下していますが、第一・二、四マストは充分に描写されました。四隅の解像も立派なものです。
直接ではない太陽の入れ方ですと。
部分的にフレアっぽくなりましたが、支柱に絡まる弦草達はしっかり描写できています。逆光条件で無機質的なモノと植物が混在していますが、このレンズの表現力もなかなかのものではないでしょうか。
太陽を画面に入れても負けないレンズが最近は多い様に思いますが、むしろ直接太陽が入らない場合に色々な問題が出がちな気がします。
例えば・・・・
こんな状況とか、茂みの向こうから低い夕陽が差し込む場合とか。勿論、このSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAに限らずのお話ですが。結果から申し上げれば、このレンズは結構逆光には強い部類に入ると思います。
開放絞りF2.8、最短撮影距離0.35mと云うスペックはフルサイズ用レンズとしては平凡な数値かも知れませんが、APS機/マイクロフォーサーズ使いにはちょっと物足りなく感じられるかも知れませんね。とは云うものの、昔MF一眼レフを使っていた頃にはお手頃で馴染み易い(お求めやすい)レンズラインナップが各メーカーからあったものです。そう考えると、このスペックに特に不満はありません。まぁ、このSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAが当時のそう云ったクラスのレンズより明らかに高額なのは事実ですが・・・
そんなこんなで、寄って絞り開放で撮影です。
大口径とは呼べないレンズですが、石鉢の手前、背後ともに十分にボケました。電線、冬枯れの枝ぶり等もうるさくないボケ具合かと感じます。
花の輪郭等は結構うるさいボケ方になる事がありますがその辺は・・・
こんな具合です。F2.8ではここらがボケ味の限界でしょうか・・・
背景が大きく抜けた条件であれば、F2.8でもしっかりボケます。
周辺光量落ちと相俟って、気分的にもボケた気がしてしまいます。ちなみに、クリックして拡大していただきますと海面のきらめきで玉ボケ~口径食の按配が何となくお判りいただけるかと・・・
前ボケを狙った配置であれば、35mmF2.8のスペックでもボケを作りやすいでしょう。
ちょっと抜けが悪いのは、ガラス越しの撮影だからです。
ややハイキー気味では然ほど目立ちませんが、ややアンダー気味にすると一気に光量落ちの楽しさが現れてきます。
赤も少し引き立つ感じです。
手前の被写体を見る分には、開放からキレ良く濁りの無い白を再現してくれています。
ちなみに上の写真、F7.1まで絞りますと・・・
先程申し上げましたが、絞っても「補正 切」であれば、この程度に周辺光量を落せます。
35mmクラスになると、パンフォーカス的な使い方も可能ですね。
焦点位置をちょいと間違えてしまいましたが、遠景のコスモクロックまでなんとか描写できたかな・・・
あれこれと振り回していて、ディストーションを殆ど感じなかったのですが。取り敢えず、直線構造物をほぼ正面から。
マイクロフォーサーズ機で換算24mm相当のレンズを使う際、しばしばディストーションを「誤魔化せるアングル」を探す事がありますが(フルサイズ35mmと比べるのも酷な話ですが)、このSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAではそう云った気遣いはほぼ無用のようです。F8で光量落ち無補正でも、この露光バランスではほぼ「落ち」を感じません。
レンズ補正有無の設定、露出バランスの選択(ローキー気味か、ハイキー気味か)で随分と態度を変える子のようです。
その点さえ踏まえておけば(値段はさておき)、解像力が高くかつコンパクトで面白く遊べるレンズなのではないか、と思います。
印象としては、F8まで絞り込まなくても良好な解像力を発揮してくれます。少し距離があって、特に絞り込む必要がなければF5.6辺りで良好な解像力を得られると思います。
手前の金網、画面隅の金属部等々もちゃんと解像してくれています。重箱の隅を突くような事を云いますと、基画像をグリグリ拡大すると隅っこに幾らか色収差が見えるのは事実ですが、商業写真でもなければ実用で問題になるレベルとも思えませんでした。
そんなワケで、プライベートユーザーさんには何ら気にせずにサクサクと撮影していただきたいですね。
上々の解像力を持ち、周辺光量落ちは設定次第でガラリと豹変する。そんな所もお楽しみいただければと思います。
レモン社;松浦
SONY Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA (SEL35F28Z)
フルサイズEマウント対応
レンズ構成:5群7枚
絞り構成:7枚羽根円形絞り
最短撮影距離:0.35m
寸法:φ61.5×36.5mm
重量:120g
フィルター径:φ49mm
お問合せはレモン社
又はナニワオンラインまで