商品レビュー:FE 90mm F2.8 Macro G OSS(SEL90M28G)

いまだ風は冷たいながら、梅の花香る頃合となりました。今回はそんな梅に誘われたわけでもありませんが、SONYのEマウントフルサイズレンズ、FE 90mm F2.8 Macro G OSS(SEL90M28G)を試してみました。ボディはα7S、フード装着&フィルターレスでの撮影です。

「G」マークも誇らしげです。

●外観・操作性
上の画像からもお判りの通りフォーカスリミッター&手ぶれ補正のスイッチを備え、Gマークの下にはフォーカスホールドボタンも装備されています。いずれもカメラをホールドするとごく自然に左手親指でコントロール出来る位置にレイアウトされ、なかなかに操作性は良好です。
ただし、ファインダーを覗きながらブラインドで操作しているうちに「リミッターを弄ってるつもりで手ぶれ補正OFF~!」なんて間抜けな事を今回やらかしてしまいました・・・如何なる機材も、慣熟が大切と云う事ですね!

切替作動・MF操作共にとてもスムーズでした

ヘリコイドを前後させる事でAF/MFの切り替えが素早く行える「リングスライドスイッチ」はオリンパスユーザーの私としても大変使いやすく(あちらはクラッチフォーカスと呼びます)、ヘリコイド操作の重さも重すぎず&軽すぎずで好感触。最短撮影距離付近でAFが戸惑い始めたら、即座にMFに切替、の流れがとてもスムーズでした。

AF作動は大口径マクロとしては十分な速さですが、先述の通り最短撮影距離では撮影環境によっては延々と悩み続ける事があります。
フォーカシング時にレンズ全長は変化しませんが、もともと大柄なレンズであり、かつレンズフードを装着するとかなりの大きさとなりますので、近接時には手前の枝振りに引っかけたりしないようちょっと注意した方が良いかも知れません・・・はい、これも今回やりました。

●周辺光量落ち&逆光
今回は周辺光量補正「オート」のまま撮影していますが、目立った減光は感じられませんでした。ごく自然に緩やかに落ちる程度。近接撮影時には多少光量落ちがあっても、ボケを意識した撮影では殆ど気にならないでしょう。

F2.8(絞り開放) 1/3200Sec.

F2.8 1/800Sec.

絞り開放から画面中央付近の解像力は大変良好で、ちょいと絞ってあげれば風景撮影用中望遠レンズとしても存分に使えそうです。
ただし、上段の日比谷公会堂の写真を拡大した際にいささか色収差が認められました。

逆光テストでゴーストを出そうとすると、随分と無理で不自然な太陽の入れ方をしなければならない程度でした。

F4.5 1/8000Sec.

ナノARコーティングの効能なのか逆光には強いようで、今回目立ったゴーストはこの1枚っきり。
も少し違うシチュエーションで逆光を試しましたが。

F5.6 1/500Sec. 逆光でも十分にヌケを感じさせてくれました

ほとんど太陽に正対するアングルですが、コントラストの低下の最小限に抑えられています。
さりげなく背後には玉ボケを入れてみましたが、F5.6では画面隅でもかなり均質に形状を揃える事ができるようです。
●開放F2.8のボケ量
実を申し上げますと、私自身はマクロレンズを使う際にほとんど開放絞りを使いません。開放ではあまりにピントが浅いのでF5.6~F8あたりを多用しています。
今回使用したFE 90mm F2.8 Macro G OSSともなると極めてピントが浅く、余程イメージが決まっていない限りはちょい絞り気味が無難な使い方となるでしょう。
例えばほぼ最短撮影距離で絞り開放で万年筆をばペン先に合焦させて・・・

F2.8 1/100Sec. 何だかよく判らない程のボケ量。

ちゃんと合焦はしているのですが・・・絞り開放&最短付近はこんなもんですね。
大きく絞ってみますと・・・

F11 1/15Sec.

マクロ慣れしている方には申し上げるまでもないでしょうが、昆虫撮影なんかしようって時にはそれなりに絞る事が必要なケースが多いですよね。ついつい大口径レンズのボケの魔力に負けてしまいがちですが、絞り設定はケースバイケースですよね。

開放付近でのボケ量の大きさを逆手に取るのも勿論可能で、特に手前のボケ量は必然的に大きくなるので「はっきり写って欲しくないもの」に対しては有効です。

F2.8(絞り開放)  写って欲しいような欲しくないような・・・

ちょっとお尻のあたりが際どい状況なので、ボケを使って「自主規制」とさせていただきました。

再び最短撮影距離付近で、開放とちょい絞りを。

F2.8 最短撮影距離付近

F5 同アングルで

FE 90mm F2.8 Macro G OSSは等倍マクロレンズなので、腕時計もこれくらい寄って撮影できます。
さすがに「G」が着くだけあって、ソリッドな被写体の切れ味は上々。


大振りなレンズなので、コンパクトマクロの様に何時でも気楽に持ち歩けるワケではありませんが、本気でマクロ撮影にのめり込みたい方には是非お使いいただきたい上等なレンズである事は間違いありません。
梅は咲いたか~♪桜はまだかいな~♪
そんな季節ですしね!

レモン社;松浦

SONY FE 90mm F2.8 Macro G OSS(SEL90M28G)
レンズ構成:11群15枚(非球面・ED・スーパーED各1枚使用)
絞り構成:9枚羽根円形絞り
最短撮影距離:0.28m
最大撮影倍率:1倍
寸法:φ79×130.5mm
フィルター径:φ62mm
重量:602g

お問合せはレモン社各店
又はナニワオンラインまでどうぞ

F5.6 1/1000Sec.

F4.5 1/500Sec.

F3.5 1/2000Sec.