今回使用したのはマイクロフォーサーズ用MFレンズ、フォクトレンダー「NOKTON 25mm F0.95 TypeII」。
F値0.95の変態大口径標準レンズです。使う前からクセ玉の雰囲気ぷんぷんな予感を抱かせるレンズです(変態はもちろんほめ言葉です!。)
TypeIIと云うからには前モデルがあって当然ですが、変更点は動画撮影用に絞りリングのクリックを解除し、無音・無段階で絞りコントロールが出来るようになった点です。
ところでこのNOKTON 25mm F0.95 TypeII、電子接点を持たないので自分が絞り幾つで撮影したかを後でチェックする事ができません。
レビュー作成にあたってこれはちょっと厳しいです……。
と云うワケで、絞りクリックを活かしたまま、0.95から1段ずつ絞って撮影、後から使用絞りを割り出すと云った具合に今回は撮影を進めました。
●MFの感触
ヘリコイドの回転は程良い重さでとてもスムーズでして、操作していて気持ちの良いものです。
だが、しかし。回転範囲がかなり大きいので、中間~遠景スナップ撮影の直後に近接でボケ味を楽しもうとすると、思いっきりヘリコイドを廻す事になります。
回転角度を大雑把にお伝えしますと、∞マークが時計の12/0時の位置から、時計周りにグルリと廻って、長針で云えば43分位の処に来ると最短撮影距離、と云った感じです。
●MF操作
普段使うMFレンズのつもりで、ついつい絞り開放でMF操作をすると軽く驚きます。
とにかくピントが浅く、かつ、盛大な収差がEVFに溢れかえっています。霞がたなびき色が滲むホワッホワの世界です。
フォーカシングの際は、F2程度にしておいた方が操作が楽かも知れません。
●推奨ボディ
日中もF0.95の世界を楽しもう!と云う方は、電子シャッター搭載で少なくとも1/16000Sec.が使えるボディがよろしいかと思います。
今回はPEN-Fを使いましたが、感度拡張LOW/電子シャッター1/16000Sec.でもちょっとギリギリだったかな、なんて事もありました。
E-M1 MkIIならば1/32000Sec.、拡張LOW64相当が使えるので、もう少し余裕があったかも。
●周辺光量落ち
まずは周辺光量落ちから……と思って撮影したのが下の写真2枚なんですが、光量落ち云々以前のコトが気になってしまいました。
ちょっと絞ると普通にマジメなレンズでしたが・・・開放では?
何だかトイカメラの様な……周辺光量どころか、全体がトロットロになってしまいました。
ハイライトは完全にマゼンタ被りしていますが、そもそも画面全体のカラーバランスも変わってしまいました……。
そうそう、周辺光量落ちに関しては、これだけの変態的大口径レンズなのでもっと強烈な落ち具合かと覚悟(期待?)していたのですが、0.95と云う開放F値を考えると控え目な落ち具合で収まりました。
●耐逆光
ここ暫く使ったレンズと比較すると、いくらか耐逆光性は弱いのかな……?と云った印象です。
画面右下にゴースト発生、右下1/4位の範囲は明らかにコントラストが低下してしまいました。ついでに絞り0.95のも撮りましたが……。
もうこの際、0.95を使う時は現実ではないつもりで撮影した方が良いのかも知れない等と感じてしまいました。
ってか、真昼間に「夜想曲」の意味「ノクターン」を冠する「ノクトン」を使うのが間違っているのかも……夜中に「レイバン」のサングラスかけるくらいに。
NOKTONの名誉の為にも、ここからは暫く褒めてあげる内容になります。
まず発色の傾向は、やや渋めのクラシカルな色合いのようです(収差オンパレードの開放付近は除く)。
↑同じカットをF8で撮りましたが、看板文字はF5.6の方がシャープでしたのでこちらを採用しました。
↑最近よく使うお気に入りの意地悪な撮影場所です。四隅に枝を配しつつ逆光の按配も見ようてぇ寸法です。
枝振りを元画像で見る限り、F5.6でも画面コーナーは「仕事で使うべきではない」レベルです。
是が非でも0.95!と云う決意が無いのならば、オリンパス&パナソニックの標準レンズの方が画面全域の均一性等の安定しているのでそちらがオススメです。……あ、褒め損なった!
●開放0.95
まぁ、クセ玉と云えば済んでしまう問題ですので、折角なのでここからは開放付近の撮影です。
開放ではフォーカシングがやり難いのでF2でMF操作、その後開放に・・・その途端、まったく違う世界が現れます。
最短撮影距離は撮像面から0.17m、マクロ的な使い方も楽しめます。
1段絞ってF1.4。それでもまだハロっぽさが残ります。
あまりの被写界深度の浅さ故、風にそよぐ被写体はもうお手上げです。連写してなんとかなるかどうか……。
寄りばかりでなく、ちょっとだけ引いても開放の雰囲気は楽しめます。
近接時よりは収差が穏やかに見えますが、元画像ではまだまだホワホワ感が残っています。
少し絞ってF2で、もう一歩踏み込むと……。
絞りでボケをコントロール出来るように、距離でもある程度はコントロール出来るワケですから、あまりホワッホワなのがちょっとなぁ……と云う方は、一歩踏み込める状況ならばF2位が扱い易いかも知れませんね。
●玉ボケ
通常の撮影においては滑らかなボケを見せてくれたNOKTON 25mm F0.95 TypeIIですが、開放時の玉ボケはちょっと苦手の模様。
こちらもやはりF2位から均整が取れるようです。
大雑把な感想を申し上げますと、F2より絞ると(割と)優等生、F2より開くとおきゃんな性格が出るようだ、と云うのが感想です。
MFレンズ故にサクサクっと撮影をするにはちょっと不向き、どうやら絞っても四隅は甘いようですが、ホワッホワのトロットロがお好きな方には「無二の存在」となるレンズです。
レモン社;松浦
フォクトレンダーNOKTON 25mm F0.95 TypeII
レンズ構成:8群11枚
絞り羽根:10枚
最短撮影距離(撮像面から):0.17m
寸法:φ60×70mm
フィルターサイズ:φ52mm
重量:435g
お問合せはレモン社各店
又はナニワオンラインまで
やっぱり暗い所では「夜想曲」の名のとおりだ。