商品レビュー:smc PENTAX-DA 14mmF2.8ED[IF]

今回も一昔前に発売された現行レンズのレビューです。登場は2004年、やはり干支が一回り以上前に登場したsmc PENTAX-DA 14mmF2.8ED[IF]、APS-C機で概ね21mm相当の画角を持つ大口径広角レンズです。

smc PENTAX-DA 14mmF2.8ED[IF]

大口径だけにそれなりのサイズでして、今ではずっと軽量コンパクトなHD DA 15mmF4ED AL Limitedと云う選択肢もありますが、広角域での焦点距離1mmの差や開放絞り1段の差は捨てがたいモノがあります。それに、古い世代の人間としてはPENTAXさんと云えば「SMC」の名を冠して欲しいなんて、本質とまったく無関係な希望もあったりします・・・

前回使用したFA 31mmとは違いAF作動中にはフォーカスリングは回転しませんが、特に切替無しでそのままフォーカスリングを操作すればMF作動に移行出来るので使い勝手はなかなか良好でした。

●周辺光量落ち
何となくPENTAX MEに装着してファインダを覗いたところ、四隅はしっかりとケラれてまして、左脇の露出計も大部分が隠れてしまうイメージサークルでしたが、APS-Cサイズなら余裕でカバーしそうな予感がしまして。「そんなに大きな光量落ちをしないかも」と軽い失望(?)とともに撮影を開始しました。
まずは絞り開放F2.8で。

F2.8 1/2000Sec.

はっきりと光量落ちが認められるものの、どぉ~ん!と云う強烈な落ちでもなさそうです。
中央の白い部分がホンワリとした描写になっていますが、1段絞るだけで随分とスッキリした描写に変わります。

F4にて。まだちょっぴり光量落ちが出ています。

光量落ち自体は、2段絞ってF5.6あたりで殆ど解消してしまいます。

F2.8

F4(1段絞り)

F5.6

画像クリックで拡大できます。課金されたり、法外な請求書が届く事はありませんので(多分)ご確認下さい。

●結構目立つ色収差


元画像をチェックしてますと、絞り値をどうしようとも色収差が目につく事が多いのが印象的です。先程の2カットも、リサイズされていますが気になる方にはクリック/拡大するまでもなくお気づきかと思います・・・
下の写真は、本来絞り開放時の描写を見ようと撮影したのですが・・・

F2.8(開放) 1/2000Sec.

結構、ビルのエッジとかにも色が乗っておりまして・・・F8程度に絞れば何とかなるかな?とは思ったのですが。F8で撮影したカットの部分を切り出しますと・・・

F8 無色のステンレスなんですが・・・緑と紫が乗ってしまいました。

良くも悪くも、一世代前のレンズと云う事でしょうか・・・
今回撮影した殆どのカットで目に付きました。

●歪曲(ディストーション)チェック


上下にカメラを振れば当然強烈なパースが現れますが、まるっとした歪みはあまり感じません。

F5.6 1/400Sec.

F7.1 1/1000Sec.

JPEGでサクサクスナップ撮影に臨む分には歪曲の点は気にしなくても良さそうです。

●近接最短0.17m
表題の通りグイっと寄れるのですが、殆どフードが被写体に触りそうな按配です。

F2.8 1/640Sec.

絞り開放ですが、被写体によってはボケ方が気になるかも。背景に気を付けながら撮影しましょう♪

F2.8 1/1250Sec.

F2.8 1/100Sec.

最短付近まで寄ると、多少絞っても流石に背後はカッチリ結像してくれません。

F8 1/1250Sec.

本当はもっと鐘に近寄りたかったのですが、春休み中の事とて元気な子供達が鐘の紐に飛びつこうと遊びまわっておりまして・・・これ位が限界となってしまいました。

●狭い空間で


ディストーションは少な目に感じるレンズですので、換算21mm相当の画角を活かした室内撮影でも活躍できると思います・・・けれど。14mmレンズ1本勝負で街に出る方がどれ位いらっしゃるかは何とも申し上げようがありません。

F5.6 1/20Sec. ASA1600

こちらは氷川丸の一等客室ですが、一等と云いながら「俺んちより狭いかも」と軽い優越感を覚えるような小振りなお部屋です。これが三等ともなりますと、2段ベッドで1室8名様、軍事教練体験会のようなお部屋と相成ります。

F8 氷川丸機関室から上層を見上げて

●逆光耐性


日頃の行いの悪さが祟ったのか、「そうそう、やらなきゃ」と思った時は全て雲が出る始末でして、今回は実施出来ていません。
薄雲越しに撮影したのがこちらです・・・

F5.6 1/6400Sec.

そんなワケでして、3月30日朝に急遽追加撮影しました。

F8 1/2500Sec.

影響の出ている範囲をトリミングしてみますと。

少々ゴーストが出ていますが

どちらかと云うと、光芒の形がキレイだな・・・と感じてしまうのは甘い評価でしょうか?

冒頭でも申し上げましたが、登場から長い時間を経ているレンズですし、今ではフルサイズをカバーするHD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WRも登場しています・・・が、お値段とサイズもそれなりのモノではあります。そして広角レンズでの焦点距離1mmの違いの大きさをご存知でしたら・・・smc PENTAX-DA 14mmF2.8ED[IF]の存在も、ちょっぴり心に留めおいてあげて下さいませ。

レモン社;松浦

お問合せはレモン社又はナニワオンラインまでどうぞ。

smc PENTAX-DA 14mmF2.8ED[IF]
レンズ構成:11群12枚(EDガラス・高屈折低分散ガラス各1枚)
絞り羽根枚数:6枚
最短撮影距離:0.17m
寸法:φ83.5×69mm
フィルター径:φ77mm
重量:420g

F8 1/250Sec.


手前の流木?が例の狸っぽくて感動しました↓

F8 1/500Sec.

F8 1/1000Sec.

F2.8 1/1600Sec.