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ところで先日は90年代のCanonの名機に触れたので、今回は80年代の名機のお話をちょっとだけ。
写真のカメラは80年代の雄、Canon New F-1。1981年の登場で、同時代のライバルNikon F3と共に「現場で使える最高峰のカメラ」として勢力を二分していました。
特徴としては機械式/電子制御のハイブリッドシャッター搭載、ファインダー交換及びモータードライブとの組み合わせでAE制御が可能、フォーカシングスクリーンの換装で測光方式の切り替えが可能・・・って、最近の若い方が聞いたら「それが何故に特徴?」「何故にそんな手間かける?」と思われちゃいそうな事ばかりですが、そう云う時代があった事をご承知おき下さい。それまでは、測光方式の切り替えなんて「非現実的」な夢でしかなかったんですから。
先代のF-1と同じく、このNew F-1の設計思想も「マニュアル」が基本で、システム化によってAE制御が可能になる・・・はずなんですが。ちょっとだけ裏があるのです、このNewF-1には。先程ファインダーの交換によってAE制御云々と申し上げました通り、絞り優先AEにはAEファインダが必要・・・の筈なんですが。
それはですね、「AEファインダが無くても絞り優先AEが使えちゃう」って事です。
AEファインダ装着時には設定絞り値&自動制御されるシャッタースピードがファインダ視野内に表示されるのですが、ファインダ表示が無くてもOKと云う事であれば・・・絞り優先AEが使えちゃうんですねぇ、これが!
残念ながら、シャッター優先AEはワインダーorモータードライブを装着しないと使えません。
でもひょっとして、シャッターダイヤルを「A」にして、レンズの絞りリングも「A」にすればプログラムAEが使えたりなんかして・・・と思った方は私だけではないでしょうが、これも勿論不可でした。
フォーカシングスクリーンの交換によって測光方式の切り替えができるのですが、切り替えられるのは
●中央部分測光
●中央重点平均測光
●スポット測光
の3種で、それぞれに標準スクリーン、方眼マット、全面マット、足拭きマット・・・は無かったかも知れませんが各タイプが存在するので、フォーカシングスクリーンだけでも30点を超えるラインナップとなっていました。
昨今のカメラのような「全部乗せ」的なスペックではなく、各自必要な機能だけを組み合わせていくと云った本当の意味でのシステムカメラなので、一度馴染むと殆ど身体の一部の様に感じられたものでした。
その一方で、当時の最上位機種ではありましたが完全機械式の旧F-1を好む方も多く、巻き上げの感触等はとても旧F-1にかなうものではありません(不気味なゴリゴリ感がありますが、故障ではありませんからね)。又ミラーアップ機構も省略されており全方位対応型とは言い難い面もあるのですが、当時は報道・スポーツ・コマーシャル・ファッション等のジャンルで多用されており、その際立った信頼性の高さは疑う余地の無いものでした。機械的な堅牢性、操作の感触等は旧F-1に軍配が上がるかも知れませんが、ファインダ内のイルミネータ、スクリーンの明るさ等の実用面では確実にNew F-1に軍配が上がるでしょう。今後CanonのF-1シリーズから1台選びたいとお考えの方は、この点もご一考下さい。
その後Canonの「EFマウント化」が始まり、EOS-1の登場に伴いNew F-1は現場から少しずつ静かに姿を消して行きました。
その一方、Nikonのライバル機F3は生産開始から20年後の2000年まで生産が続けられ?、今でもカメラ女子に可愛いストラップを着けられて愛用されている姿をしばしば見かけます。
現場からは姿を消したとは云え、その堅牢さはいまだに大きな魅力の一つでして、私も数年前までは「登山の時は絶対コレ」と愛用しておりました。
80年代、Nikon F3と覇権を争った名機Canon New F-1。ご興味お持ちいただけましたら、是非一度お手に取ってご覧下さいませ。
P.S.映画「スパイダーマン」でトビー・マグワイヤがAEファインダ付を使っているのですが、途中で何故か左右逆に(左右反転)なってたりします・・・左利きモデルは存在しませんからっ!