こんにちは、カメラのナニワ京都店です。
フイルムカメラブームもうれしいことにまだまだつづいておりますが
カメラは買ったけれど、フイルム選びはどうしよう・・・
なんてお困りの方も多いのでは?
そんな方のために、お勧めの35ミリフイルムを5つ
実写でのレビューも交え、ご紹介いたします。
①富士フイルム FUJICOLOR100
カラー24枚撮/36枚撮 ISO100
入手性★★★★★
価格/550(24枚撮1本)
/810(36枚撮1本)
1958年(昭和33年)にフジが初のカラーネガフイルムを発売してから
改良を重ね、受け継がれてきた定番中の定番。
入手性が良いので写真専門店以外にもコンビニや薬局で売っている場合もあります。
FUJICOLOR100 作例
入手性の高さや、ISO100という感度からくる安定した画質。
派手すぎない素直な色と階調のつながりは安心感があり、
親しみやすい「庶民の味」のようです。
優しい色合いなので、ハイキ―気味に撮ると
ふんわりといい感じになります。
枚数の少ない24枚撮があるので、ナニワの店頭では買ったばかりの
フイルムカメラの試し撮り用によくお勧めしたりするのですが、
うまく決まればテストにはもったいないくらい良く写ります。
見事な再現性を持っておりながら、フイルムならではの質感も出るので、
日々の様々な思い出を残すのには最適ですね。定番ながら、侮りがたし。
②富士フイルム ACROS(アクロス) 100
モノクロ36枚撮 ISO100
入手性★★★☆☆
価格/680(1本)
1952年発売の「ネオパンSS」から始まった
フジのモノクロフイルムは統廃合を繰り返し、
2017年現在このネオパン・ACROS1種類を残すのみとなりました。
しかし、このACROSも2018年10月頃に出荷終了のアナウンスが出ました。
このままでは「国内メーカー製モノクロフイルム消滅」という、写真史に残る出来事ですが、富士フイルムもここまで何とかモノクロフイルムを続けんが為の企業努力の結果・・・相当今回の苦渋の決断であったことであろうと思います。
しかし富士フイルムといえば過去にベルビアが生産終了となった後「皆様からのご要望があまりに多いので」とベルビア50と名前を変えて再生産した過去がありますので、
その様なビッグサプライズが無いか期待したいものです。
ACROS 100 作例
世界最高水準と言われる、きわめて高い粒状性による綿密な細部描写と、
広いラチチュード(階調の出る範囲)の織りなすあでやかな質感。
ディテールの多い建造物や繊細なポートレートなど、
ここ一番の勝負どころで活躍するでしょう。
逆に言えば粒子感が出にくいので、画面上に限っていえば
パッとみデジカメで撮ったものと見分けがつかないこともあるくらい。
味を求めるのであったり「昔っぽい荒目の画質が好き!」などといった場合
使う側の工夫も必要となってきます。
あえてアンダーで撮ってノイズを増やしてみたり、
作例のようにハーフサイズで撮って解像度を落すことによって
粒子感を出してみるのも面白いですよ。
この味、とにかく味わえるうちに味わって頂きたいです!
③コダック Ektar 100
カラー36枚撮 ISO 100
入手性★★★☆☆
価格/1,590(1本)
富士フイルムとは明確に発色が異なり特に青系が鮮烈。
「コダックブルー」と呼ばれる言葉がありますが、これはかつて同社で販売されていた
「コダクローム」が独特の青を発色したことに由来します。
この色味の差、日本とアメリカというお国柄の違いというだけでなく、「肌の質感、色味の再現」という所も絡んでくると言われています
Ektar 100 作例
このフイルムもコダクロームのそれとは
多少ニュアンスは違うものの癖になる鮮やかな青で、
空、海、などなど青の要素をもった被写体を撮れば、
イメージ以上のものが出来上がります。
作例でも、実際眼で見た以上の青が美しく出ています。
「世界最高の粒状性」を謳うだけあり各階調の変化は非常になめらか。
高いシャープネスやはっきりとした階調表現は力強く、
こってり濃いめの色の出方をします。
さすがかつて「フイルムの巨人」と呼ばれ
アメリカの写真産業を支えたコダックならでは。
ただし、重なる値上げによってコダックのフイルムは全般高くなっているので
以前より一発の重みが増しています。気合を入れて撮りましょう。
④ロモグラフィー・カラーネガティブ
カラー36枚撮 ?ISO 100/400/800
入手性★★☆☆☆
価格/1180(ISO100 3本入りパック)
「アナログラブ」を掲げるロモグラフィーのフイルム。
この会社は元々ロシア・ロモ社のフイルムカメラを
使っていたグループの活動を起源としています。
写真専門店以外ではトイカメラを扱う雑貨店などで売っている事もあるようで
コストパフォーマンスが良く、パッケージデザインがかわいいのも特徴。
ロモグラフィー・カラーネガティブ作例
ルールなんかないさ!!(ロモグラフィー黄金の10か条より引用)
ということで、色合い、シャープネスも全体的に「ユルい」感じで、アナログ感たっぷりですが、条件が日中なら、なかなか頑張ってくれます。
遊び心をくすぐられたので、手だけ写ってみました。
私も学生時代、トイカメラやロシアカメラに詰めて良く使っていたのですが
細かいことは気にせず、肩の力をぬいてバシバシ撮れるのがまたいいんですよね。
晴れた休日に撮りたくなるような、癒し系フイルムです。
⑤ローライRPX
モノクロ36枚撮 ISO25/100/400
入手性★☆☆☆☆
価格/897(ISO100 1本)
ローライブランドのモノクロフイルム。
ローライいう会社はローライフレックス、ローライ35といった
カメラ本体が有名で、フイルムを作るというのは
どうもピンときませんがそれもそのはず。
ローライは現在ドイツのフィルムメーカー、
アグファのブランドの一部となっておりまして
このフイルムはアグファで生産されているのです。
とは言え、その引き継いだアグファもアグファ・ゲバルト社系列ではなく、アグファからライセンスと商標を受け継いだ会社アグファフォト社(元アグファ・ゲバルト社が写真関連事業を整理した際に、元社員の方々が立ち上げられたとか・・・)
巷ではかつて存在したアグファAPXというフイルムを
ベースにしているのでは?などと噂されています。
ローライRPX 作例
シャープネスは高く、出方は硬め。
粒子の細かさなどは、総合的に富士のACROSには
一歩届かない感じはしますが、そこは旧式のフイルムベースだからでしょうか。
しかしそれは決してマイナスではなく
上品でクラシカルな雰囲気へとつながっています。
茂みの中にこっそりまぎれた黒猫を一枚。
(画像クリックで一部拡大できます)
ハイライトからシャドウまでの階調はなめらか。
黒猫のトーンもつぶれておらず、好印象な出方です。
どこかあたたかみがあり、常用したくなる魅力があるフイルムですね。
写りだけでなく、撮影の手間の愉しみ、現像までのワクワク感など
やはり、フイルムっていいなあとつくづく思いますが
コチラでご紹介した作例などは、現像方法・場所などで出方が違ったりするので、
一概に正しいというわけではなく、あくまで一例にすぎません。
フイルムは生き物、という事を念頭に置いた上で色々試してみてください。
2000年代前半からのデジタルカメラの普及で
フイルムは売上不調となり、結果様々な銘柄・種類が統合や廃版となりましたが、
皆様に愛用して頂ければ、そのうち復活したりするかもしれませんよ・・・エクタクロームやベルビア50の様に・・・個人的にはネオパンF希望!!
※記載されている参考価格は2017年当記事執筆時のナニワ価格です。
ご紹介のフイルム等々はカメラのナニワ京都店で取り揃えておりますので、
京都へお越しの際はぜひお立ち寄りください。
もちろん、現像・データ化も承っております。