ニコン AF-S24-70/2.8E ED VR 使用レビュー

こんにちは。 カメラ担当の池田です。今回は久しぶりに新製品の使用レビューです。

その新製品は・・・ニコンAF-S24-70/2.8E ED VRです。

人気の大口径標準ズームの新製品ということで、ニコンユーザーの間では話題になっているレンズです。

従来モデルのAF-S24-70/2.8G EDとの大きな違いは・・・

①手ブレ補正機能の搭載(約4.0段分の補正効果)

②ニッコール初のED非球面レンズの採用

③高速連続撮影時に安定した露出制御が可能な電磁絞り機構を採用

④AFスピードと精度の向上

④重量は約1070g(従来モデルは約900g)

などなど、魅力満載です!


とても気になるこの新製品AF-S24-70/2.8E ED VRを持って、晩秋の滋賀県を中心に撮影してきましたので、使用レビューを書いてみたいと思います。ちなみにカメラはD750です。

まずは手ブレ補正効果から。

従来モデルからの変更点の中で1番の魅力はやはり手ブレ補正機能の搭載ではないでしょうか。補正効果はシャッタースピードで約4段相当とかなり効果が期待できそうです。

夕方の近江八幡でテストしてみました。

?1/8秒 F8 62mmで撮影。

手持ち撮影としてはかなり遅いシャッタースピードですが、手ブレせず撮影できました。

一応、ブレていないか拡大してチェックしてみます。

いかがでしょうか? かなり拡大していますがこれだけ撮れれば十分ですよね!


続いては……

1/4秒で撮影。かなり危険なシャッタースピードです。

上の全体写真ではブレていないように見えますが、念のため拡大してチェック!

う~ん、大丈夫! しっかり止まっていますね!

恐るべしニコンの手ブレ補正機能。


最後は……?

1/2秒で撮影。限界に挑戦です。

パッと見では、ブレていないようですが……

拡大してみます。

やっぱりブレていました。私の力不足でした。

それでも1/4秒までは何とか撮ることができました。これだけ補正が効けば十分だと思います。補正機能がなければ1/30秒あたりが限界ですからね。


続いてのテストは逆光性能。

ニコン自慢のナノクリスタルコーティングなので今さらテストする必要はないかもしれませんが、新しいレンズということでテストしてみました。

わざと画面の中に太陽を入れて意地悪な撮影をしてみました。太陽は画面の左下の白いところにあります。

でもゴーストやフレアは見当たりません。さすがナノクリです!


もう1枚、もっと意地悪な撮影をしてみました。

今度は太陽を画面のほぼ中央に入れて撮影しています。まともに太陽の強い光が入ってきていますが、太陽の少し下にわずかなゴーストが出ているだけです。やはりナノクリは素晴らしいです。

ちょっとここで問題!上の写真は24mmで撮影していますが、少し気になるところありませんか?

上の写真は駅のホームで撮影していますが、列車の架線が歪んでみえませんか?

この現象がもっとわかりやすい写真をご覧ください。

24mmで撮影。

歪んでいるのがおわかり頂けると思います。いわゆるタル型収差が出ています。

この現象はズームレンズでは出るのが普通なのですが、このクラスのレンズにしては少し大きな収差?だと個人的は感じました。

でも少しズームするだけでこの現象は解消されます。

34mmで撮影。

少しズームするだけで、歪みがほぼなくなり、線が真っすぐ写るようになります。


次はボケ味のテスト。

大口径レンズなので、ボケ味はどうしてもテストしておきたい性能です。

F2.8 70mmで大阪ステーションシティにて撮影。

背景はとてもキレイにボケているように思いますが、四隅には点光源のボケがラグビーボール状になる口径食が見られます。

従来モデルよりレンズ口径が77mmから82mmに大きくなっているので、口径食は少ないだろうと私は期待していましたので少し残念です。

しかし点光源のボケというシチュエーションはイルミネーションなど限られたシーンですので、大きな問題ではないのかもしれませんね。

もう1枚イルミネーションの写真をご覧ください。

F2.8 70mmで撮影。

点光源のボケは、上で書いたように口径食が出ていますが、背景にある雪だるまは自然でキレイなやわらかいボケになっています。


場所を変えて、次の写真は滋賀県で撮影したススキ。

F4 70mmで撮影。

本当はF2.8で撮影したつもりだったのですが、私の設定ミスでF4で撮影してしまいました。

しかしながら、背景の柿の木はキレイにボケていて、ピントを合わせたススキは本当にシャープでヌケのある素晴らしい画質です。

点光源が背景に入った時は少し注意と覚悟が必要かとは思いますが、それ以外の場合は素晴らしいボケ味になりますので、ポートレート撮影にも十分使えるレンズだと思います。


今度のテストは接写。

特に接写に優れたレンズという訳ではありませんが、35mm~50mm時は最短撮影距離38cm、24、28、70mm時は41cmまで近寄ることができます。

ここまで近寄ることができると……

水滴のついたこんな写真や……

F5 70mmで撮影。


ローアングルで撮影したこんな写真も撮れます!

F2.8 70mmで撮影。

もちろんマクロレンズほど大きく撮ることはできませんが、この程度の近接撮影は可能で、これだけ寄れれば写真表現の幅も広がりますよね!

テストはここまでで、ここからは滋賀県高島市や近江八幡で撮影した写真を一気にご覧いただければと思います。

F8 70mmで撮影。

高島市の今津町には柿畑が広がっています。その一部分を切り撮っていますが枝先まで繊細な描写をしてくれています。

雑誌やネットの評価を見ましてもF8あたりが一番解像度が良いようです。

F11 70mmで撮影。

もう1枚、柿畑の写真。背景には伊吹山が写っています。手前から遠景までヌケの良い画質が得られています。

この画質はED非球面レンズや高屈折率レンズなどを贅沢に使用しているから得られるのでしょう。

F16 70mmで撮影。

マキノのメタセコイヤ並木へ行く途中に見つけたイチョウ。落ち葉もとてもキレイでした。

ここではF16まで絞り、写真全体にピントが合うようにしています。

F16ですが回折現象は見られず、キレのある描写となっていて、落ちたイチョウの葉の質感もしっかり再現されています。

F11 70mmで撮影。

有名なマキノのメタセコイヤ並木。平日にもかかわらず多くの観光客が訪れていました。人気の高さがうかがえます。

そんなメタセコイヤ並木、少し紅葉には早かったようで色づきはイマイチ。でも、せっかくここまで来たので撮影してみました。

少し驚いたのが色のりの良さ。ピクチャーコントロールはスタンダードですが、期待以上の発色でした。細部の描写の良さは言うまでもありません。

F2.8 24mmで撮影。

ここもイチョウの落葉はピーク。イチョウの絨毯がとてもキレイでしたので、広角側24mmで広がりと奥行きを出してみました。

広角側でも素晴らしい描写を見せてくれました。質感が抜群です。

?F8 46mmで撮影。 三脚使用。

夕暮れ時の近江八幡の八幡堀。薄暗い中でも遠景までしっかり解像しています。左側の枝先を見ると本当にシャープだと感じます。

F8 35mmで撮影。 三脚使用。

さらに暗い中での撮影。1枚目の八幡堀の写真同様、これだけ暗くてもしっかり解像しています。やはり写真はレンズが命ですね~。


ということで、また長々と書いてしまいましたが、お付き合いありがとうございました。

使用して感じたことは、描写力は文句なしで、スピードアップしたオートフォーカスも快適で素晴らしいレンズでした。

やはり手ブレ補正機能搭載はありがたく、今回の撮影の多くは手持ちで撮影しました。重量は少し重たくはなりましたが、それだけの価値は十分にあると思います。

ボケ味に関しても普通の状況であればキレイなボケであり、気をつけないといけないのはイルミネーションなどの特定の被写体の場合だけで、それほど問題ないのかもしれません。

人気のレンズだということが、使用してみて良くわかりました。ニコンのフルサイズ機をお持ちの方にはオススメの1本です。


この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田