こんにちは、カメラ担当 池田です。
今回はフジフィルムXシリーズ用レンズの新製品XF35/2R WRの使用レビューです。久々に使用する単焦点に戸惑いながらも、イルミネーションや西梅田で開催されたキャンドルナイトなどを撮影してきましたので、その使用レビューを書いてみたいと思います。
まず、このレンズを見た時の第一印象は「クラシカルなデザインでかっこいい! そしてコンパクト!」でした。
コンパクトで軽量な設計ではありますが、レンズの質感は高級感たっぷり。持つ喜びも与えてくれるレンズです。
今回はX-T1に装着して撮影しましたが、ボディとレンズの両方がクラシカルなデザインですので、とてもお似合いです。
それでは使用レビューとまいりましょうか。実際に撮影した写真とともに、このレンズの魅力をご紹介していきたいと思います。F2で撮影。
イルミネーション撮影に向かう途中に撮影した1枚。
ここで見ていただきたいのが歪曲収差。少し見上げて撮影していますが、画像上部の建物の横のラインが真っすぐに写ってますよね。
ズームレンズだとほとんどの場合歪んで写っていまうのですが、さすがは単焦点レンズ!歪んでません!なんばのイルミネーション! F2で撮影しています。
ピント面はとてもシャープで背景のボケもやわらかく表現されています。でも被写体に近寄っていないため、背景のボケは大きくありません。
そこで狙いを変えて撮影したのが次の写真です。1枚目の写真でピントを合わせていた水色の玉を前ボケにして撮影してみました。絞りはF2の開放。
前ボケがとてもキレイで、イメージ通りの写真に仕上げることができました。前ボケを大きくしたい場合は、ボカしたいものに出来る限り近づくことが大切です。
そして、イルミネーションを撮影し始めてすぐにあることに気づきました。オートフォーカスが静かで速い! ステッピングモーターのおかげでしょうか。撮影はとても快適に行えました。施設の中で撮影した1枚。F2で撮影しています。
ここでの狙いは窓ガラスに写ったイルミネーション。この写真でもおわかり頂けるように歪みがなく、そして開放F値での撮影ですが、とても解像感が高い描写となっています。
上の写真2枚はともにF2で撮影しています。
開放F値でISO1000での撮影とあまり条件は良くないものの、イルミネーションのライト1個1個がとてもキレイに描写されています。
これが最新設計の単焦点レンズの実力なのでしょう。素晴らしいの一言です。
ここからは、先日西梅田で開催されましたキャンドルナイトの写真をご紹介していきたいと思います。開放のF2で撮影。
ボケはとてもキレイですが、レンズの中心から離れるにつれて、ローソクの炎のボケが円形ボケからラグビーボール状のボケになっています。いわゆる口径食という現象です。
私はいままでのレンズの使用レビューでこの口径食については、かなり厳しく書いてきました。しかし、このレンズに関してはそこは期待していませんでした。
というのも、このレンズは口径も43mmと小さく、小型設計なので、口径食は出て当たり前と思っていたからです。このレンズでイルミネーションやキャンドルを撮影していると、どうしても大きくボカしたいと思い、開放のF2で撮影することが多かったのですが、それだけでは同じような写真になってしまいます。
どのように写真で表現したいかを考えてF値を変えて撮影することも大切です。
上の写真はキャンドルを下から見上げてF2で撮影しました。ピントの合わせたグラスはとてもシャープで立体感があり、背景のボケもキレイです。
ここでは少し絞りを変えて撮影してみました。この写真はF4.5で撮影しています。F2の写真より背景がハッキリしましたが、ボケの大きさは小さくなってしまいました。
ここで私が表現したかったのはキャンドルのボケではなく、背景にたくさんあるキャンドルグラスのボケだったのです。どのF値が一番良いのか、設定を色々変えて撮影してみると良いでしょう!この写真もF2で撮影。背景のボケは大きく、中心付近はキレイな円形ボケになっています。
そして少し絞ってF2.8で撮影したが下の写真です。ボケの大きさは小さくなりましたが、円形ボケはしっかりと保たれています。
このレンズには円形絞りが採用されていますので、開放だけでなく、少し絞ったF値でもキレイな円形のボケが得られます。この写真は番外編。たまたまオートフォーカスでピントを合わせていたら、明らかにピントをはずした所でピント合焦の合図が出ました。
本来なら撮影しないのですが、ファインダーで見るととてもキレイで幻想的でしたのでシャッターボタンを押しました。絞りはF2です。
イルミネーション撮影などでは、わざとアウトフォーカスにするのもおもしろいかもしれませんね。
ここまで、夜の写真が続きましたので、日中に撮影した写真も少しご紹介していきます。晩秋、そして冬の訪れを感じさせるイチョウの絨毯。少し太陽の光が差し込んできたところをF8で撮影。
イチョウの葉、1枚1枚の質感と立体感がしっかり描写され、解像感のある仕上がりになっています。
開放からでもキレイな描写が得られるレンズですが、絞ることでさらに高画質になります。街路樹の植え込みに落ちていた1枚の葉っぱ。緑色とオレンジ色のコントラストがキレイでシャッターをきりました。
F2でこのレンズの最短撮影距離である35cmあたりで撮影しています。前ボケも後ボケもやわらかくてキレイで好印象です。
しかしもう1本の同じ焦点距離のレンズXF35/1.4は最短撮影距離が28cmですので、それと比較すると少し物足りない気がします。
以上、今回は夜の写真がメインとなってしまいましたが、F2という単焦点ならではの明るさですので、手ブレ補正機能がなくても十分手持ちでの撮影が可能でした。
また、このXシリーズの35mmレンズは、35mm換算で約52mm相当で標準レンズの画角になります。ズームレンズだと自分の足で動いて撮影することが減ってしまいます。
写真の原点に戻るという意味でもオススメの1本です。
最後に以前から発売されているXF35/1.4Rと今回ご紹介したXF35/2R WRのどちらを選べば良いのか。
普通に考えれば、XF35/1.4の方が開放F値も明るく優れているように思います。
しかし、オートフォーカス時に全群繰りだし方式を採用しているため、オートフォーカス時には駆動音とスピードが若干気になります。
その点、XF35/2の方はインナーフォーカス方式の採用とステッピングモーターを搭載しており、静かで速いオートフォーカスを実現しています。
また、防塵防滴仕様にもなっており、X-T1との組み合わせならXF35/2を選びたくなります。
いずれにせよ、どちらも素晴らしい描写力のレンズですので、デザインや用途を考えてお選びいただければと思います。
この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田