キヤノンEF100-400/4.5-5.6L IS Ⅱ USM 使用レビュー

こんにちは、キヤノンユーザーのカメラ担当 池田です。

今回ご紹介するレンズは、私が今一番欲しいレンズと言っても過言ではないEF100-400/4.5-5.6L IS Ⅱです。

前モデルより大幅にリニューアルされ、2014年12月19日に発売されました。実に16年ぶりのリニューアルです。

その大幅にリニューアル、改善された主な点ですが・・・

①手ブレ補正効果が2段から4段にアップ。

②直進ズームから快適に操作できる回転式ズームに変更。

③最短撮影距離が1.8mから0.98mに短縮。最大撮影倍率は0.31倍。

④防塵・防滴構造、フッ素コーティング。

⑤新コーティング技術ASCによるゴーストやフレアの大幅な低減。

などがあげられます。


そのほか、細かいところですが改良されているところをご紹介しておきます。

まずは三脚座の脱着がとても容易になりました。前モデルはリングに付いたネジを緩めて三脚座全体を外すという操作でしたが、新しいモデルは三脚への取り付け部分にある小さなネジを緩めると、三脚座のみ外すことができます。

そしてもうひとつ。

レンズフードもひと工夫されています。

偏光フィルターなどが操作しやすいように、ワンタッチでフードに穴を開けることができます。これは風景写真家の方にとってはありがたいことでしょう。


さてさて、スペック紹介はこれくらいにして、使用レビューといきましょうか。撮影場所は前回のEF16-35/4L ISの使用レビューと同じ神戸や大阪駅周辺です。

ちなみにカメラはフルサイズ機、EOS5D MarkⅢです。


まずは画角から。 

100mmで撮影。 淀川鉄橋にて。

APS-Cサイズのカメラに装着すると160mm相当になります。


400mmで撮影。 淀川鉄橋にて。

この圧縮効果は超望遠レンズならではですよね。

APS-Cサイズのカメラに装着すると、なんと640mm相当の超望遠レンズになります。今回はフルサイズ機での撮影でしたが、EOS7D MarkⅡとの相性は抜群に良さそうです。


ここからは実写レビューです。

400mm F5.6で撮影。 新神戸駅にて。

駅を発車して行く新幹線を望遠側で狙いました。薄暗いシーンでもありましたのでF5.6の開放で撮影。開放でもかなり遠くから撮影していますので、車両の先頭部分は全体にピントがきていて、とてもシャープです。ホワイトバランスは白熱電球にセットして青味を出しています。この設定は私のお気に入りの設定で、新幹線の美しいフォルムを表現するのに適しています。


400mm F7.1で撮影。 新神戸駅にて。

望遠レンズは遠くを撮るだけではありません。近いところにある被写体のカタチの良いところや印象的なところを切り撮ることができるのも、望遠レンズの特長でもあります。この写真は上でも書きましたように、新幹線のフォルムを強調したいと思って撮影した1枚です。先頭部分全体にピントを合わせるためF7.1と少し絞っています。窓あたりを見ると、描写力の高さが良くわかります。

 

400mm F5.6で撮影。 新神戸駅にて。

安全確認をする女性の駅員さん。その美しい姿をシルエットにして撮影した1枚です。ここで見ていただきたいのは、駅員さんの腕から指先までの描写とボケ味です。ピントを合わせている腕から指先まではヌケの良い素晴らしい描写で、なおかつボケがとても滑らかでキレイですので立体感が良く出ています。ポートレート撮影にも使える1本だと思います。


400mm F5.6で撮影。 新神戸駅にて。

この写真もボケ味を確認するために撮影したカット。ここでは点光源も入れて見ました。若干の口径食はあるものの、大口径レンズや単焦点レンズを思わせるやわらかいボケは素晴らしいの一言です。




321mm 1/1250秒で撮影。 新神戸駅にて。

トンネルからの飛び出しを狙った1枚。念のため置きピンで、ホワイトバランスはオートにして撮影しています。100-400mmとズーム幅が広いので、自由度の高いフレーミングが可能です。また、ボディの性能もあると思いますが、白の階調も滑らかに再現されています。


400mm F5.6で撮影。 

道路脇の植え込みに落ちていた落葉。逆光でとてもキレイでした。この写真はこのレンズの最短撮影距離付近0.98mあたりで撮影しています。前モデルより最短撮影距離が約半分になったことはとても凄いことで、花の撮影にも十分使えます。近接撮影でも描写力は極めて高く、ボケ味も良好です。



135mm F8 1/20秒で撮影。 布引の滝付近にて。

暗い渓谷に色鮮やかに紅葉した木。ISO感度を800にセットしてもシャッタースピードは1/20秒にしかならない厳しい明るさ。でもこのレンズの手ブレ補正を信頼して撮影したところ、その結果にビックリしました。細かい紅葉の葉っぱがブレることなく、シャープな画像を得ることができました。4段分の補正効果は望遠レンズを使うにあたっては、とてもありがたいことですね!


400mm F5.6で撮影。 布引の滝付近にて。

布引の滝を撮影して、帰る途中に見つけた残り柿。背景には紅葉したモミジがあるではありませんか。これは撮らねばということで撮影した1枚。柿の実、枝の描写が実にシャープで、背景のボケも大きくてキレイです。


170mm F5で撮影。 大阪ステーションシティにて。

逆光性能をテストしてみました。太陽がまともに入るフレーミングではありませんでしたが、大阪駅の屋根が太陽で輝き、逆光に相当する条件でした。またガラス越しという決して良くない条件でしたが 、フレアなどはほとんど出ることなく、逆光下でありながら屋根やレールのディテールがきっちりと描写されています。これも新しいコーティングASCの実力なんでしょうね。


実写レビューは以上です。


このブログの初めに「私の一番欲しいレンズ」と書きましたが、その理由が少しはおわかりいただけましたでしょうか? 今回ご紹介した写真は鉄分豊富(鉄道のことです)でしたが、私は風景写真をメインに鉄道や子供の写真を撮影しています。風景写真や花の写真だけならEF70-200/2.8L IS Ⅱの方が良いのかもしれませんが、鉄道や子供の行事(運動会や発表会など)の撮影には200mmでは少し足りないのです。

もちろんエクステンダーを装着して焦点距離を伸ばすのもひとつの手法ですが、それは少しではありますがレンズ性能を落とすことにもなり、装着するのも少し手間です。

そしてもうひとつ! APS-Cサイズセンサーのカメラに装着すると160-640mm相当になり、飛行機や野鳥を撮るのにも最適なレンズになるのです。

そんな理由で今回ご紹介したEF100-400/4.5-5.6L IS Ⅱはオールマイティーに使えて、描写力もボケ味も手ブレ補正も優秀な1本なのです。


この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田まで