こんにちは。 カメラ担当の池田です。
今回は9月8日に発売になりました、フジフィルムX-T2の使用レビューをお届けしたいと思います。
発売前にX-T2ファーストインプレッションというブログで、このカメラの魅力をご紹介させていただきましたが、今回は実写をしてのレビューとなります。
ファーストインプレッションでも書いていますが、基本スペックを簡単にご紹介しておきます。
- 2430万画素 ローパスレス X-Trans CMOSⅢセンサー。
- 測距点91点(最大325点)の新AFシステム。
- X-T1より格段にアップした高感度画質。常用ISO6400からISO12800へアップ。
- 動きに強い!進化したファインダー。
- 3方向チルト式液晶モニター。
- フィルムシュミレーションに「ACROS」モードが追加。
- 防塵・防滴・耐低温仕様のマグネシウム合金ボディ。
- プロユースにも対応する4K動画。
上記以外にも、多くの魅力的な機能がありますので、それは本文の中でご紹介していきたいと思います。
それでは実写レビューといきましょう。レンズはXF18-135/3.5-5.6 R LM OIS WRをメインに、一部XF10-24/4 R OISを使用しました。
まずは動体の撮影です。X-T2の一番の大きな進化と言えば、動体に強くなったことではないでしょうか。鉄道をメインに撮影してみました。
早朝、小雨の降る中ややってきた鉄道を、オートフォーカスモードはAF-C、フォーカスエリアはゾーン、ドライブモードは高速連写8コマ/秒にセットして撮影してみました。この写真はその1カット目です。
そこから連写して・・・
これが最後のカットで、ベストショットと言える写真です。
ここまで8枚の写真を撮っていますが、動体予測精度がアップしており、ピントを外している写真は1枚もありません。この列車以外にも何本かここで撮影しましたが、結果は同じ。すべてにピントがきていました。
そしてもう一つ。動体撮影で大切なことは、ファインダーに残像が残らず、画面がブラックアウトする時間が短いことです。X-T2はここでも大きな進化を遂げていました。ブラックアウトする時間がとても短く、光学ファインダーのような感覚で撮影できました。ちなみにブラックアウトの時間はX-T1の半分以下となっています。
上の写真のように、カメラの位置をあまり動かさず撮影する場合は、残像残りやブラックアウトの時間が多少長くても、連写しておけば何とかなるものですが、カメラを横に振って撮影する流し撮りなどでは、ブラックアウトの時間が短くないと被写体を追いかけきれず、フレームアウトしてしまうことが多いのです。
例えば下のようなシーン・・・
上の列車が来るのを待っていると、鳥が飛んできました。135mmなのでこの大きさが限界ですが、どこまで追っかけてくれるか撮ってみました。
1枚目の写真です。
低コントラストの状況でしたが迷うことなく、しっかりピントを合わせてくれました。このまま、鳥を追っかけてみます。
そして2枚目。
オートフォーカスの食いつきはなかなかのものです。どこまでピントがきているか拡大してみます。
これだけ拡大しても素晴らしいピント精度と画質。ここまでオートフォーカスのことばかり書いてきましたが、ローパスフィルターレスと新しいセンサーでヌケの良い画質を実現しています。
最後の3枚目。
カメラを左に振って鳥を追いかけて撮影していますが、ブラックアウトの時間が短縮されたため、フレームアウトすることなく撮影できました。もちろんピントもはずしていません。
次は少し悪条件で撮影してみました。
夕刻に走る列車を流し撮りで狙ってみました。フォーカスモードはAF-C、フォーカスエリアはシングルポイント(1点)、ドライブモードは高速連写にセットしています。
暗いシーンでピントが合わないと言われた前モデルのX-T1。X-T2は暗いシーンでのオートフォーカスも向上しており、上の写真のような暗いシーンでも何とか止めることができました。
ただ、ここまでの悪条件になると、ピント合わせの速い像面位相差AFエリアの測距点を選んでいても、コントラストAFになるのかピントを迷う現象が起きました。でも高速連写で追っかけているので、数枚は写真として見られるものが出来あがりました。
ちなみに測距輝度範囲の低照度側はX-T1が±0EVで、X-T2が-3EVとなっており、かなり暗いシーンでもピントを合わせることが可能になりました。X-T1の不満箇所をしっかり改善してきました。
もう1枚、動体撮影の写真を・・・
大阪駅に入線してくる「サロンカーなにわ」をズーム流しで狙いました。結果はご覧のように、構図はイマイチですがピントはバッチリです。
ここまで、色んなパターンで動体(鉄道)を撮影しましたが、すべてにおいて素晴らしい結果が出たと感じました。X-T2のAFは間違いなく大きな進化を遂げています。
ここからは動体撮影以外のところをご紹介したいと思います。
まずは高感度での画質。
常用ISOは12800とX-T1より1段アップしています。個人的にはX-T1はISO3200までが使える感度と思っていたのですが、X-T2は上限ISOが上がったことで、ISO6400までは常用で使えると感じました。
上の写真はISO6400で撮影していますが、拡大してもノイズは本当に目立ちません。1段感度を上げて使用できるようになったのは、本当にありがたいですね。
続いては色について・・・
フジフィルムと言えば「色」!ですよね。その色表現をコントロールするのがフィルムシュミレーションで、X-T2は15種類の中から選択が可能です。
京都府南丹市にある美山の茅葺きの里。ここには昔懐かしい風景が残っており、多くの観光客、カメラマンが訪れています。
いつもはカラーでしか撮影しない私ですが、ここではフィルムシュミレーションに新しく追加された「アクロス」モードでも撮影してみました。日本の原風景にはモノクロが良く似合います。
「アクロス」は滑らかな階調と引き締まった黒の再現が見事で、普通のモノクロモードとはひと味違った仕上がりになります。粒状感を再現する「グレイン・エフェクト」機能と併用することで、さらにフィルムで撮影したような雰囲気に仕上げることも可能です。
これぞフジフィルムの色と言った感じです。デジタルでは難しいと言われている緑の色が忠実でキレイに再現されています。もちろん何も画像処理はしていません。JPEGで撮影したそのままです。この緑の再現力は、フジフィルムのXシリーズならではです。
少し、操作面についても触れておきましょう。
X-T2は3方向チルト式の液晶になり、上下方向のチルトに加え、縦位置撮影時に便利な横方向チルトができるようになりました。
この液晶を活かして撮影したのが下の写真です。
上下チルトを利用してローアングルで撮影した1枚です。ファインダーでは撮影しにくい場所でしたのでチルト式液晶が便利でした。
同じ場所で横方向チルトで縦位置で撮影したのが下の写真です。
液晶がカメラの横に出るバリアングル液晶とは違い、チルト式液晶は光軸とのズレがほとんどないため、撮影時に違和感を感じることはありません。
同じ場所でも横位置と縦位置では写真の雰囲気が大きく変わるものです。これで写真表現の幅が広がることでしょう。
操作系でもう一つ便利になったところがあります。
それはフォーカスレバーです。
Qボタンの下にある黒いボタンのようなものがフォーカスレバーなのですが、これのおかげで測距点の選択を瞬時に行うことができます。測距点の数が増えたX-T2には、とてもありがたいレバーなのです。
ここからはX-T2で撮影した写真をご覧いただけれと思います。
以上、今回X-T2を実際に使用して感じたことは、あらゆる被写体に対して「使えるカメラ」になったことです。前モデルのX-T1では、風景などの静止物の撮影では何の問題もなかったのですが、動体撮影となるとかなり厳しいスペックでした。X-T2ではブラックアウトの時間短縮やオートフォーカス性能が大幅に向上し、ストレスなく快適に動体撮影を楽しむことが出来ました。X-T2がミラーレスの弱点を克服してくれた感じです。今回はパワーブースターグリップを装着せずに撮影を行いましたが、このブースターグリップを装着することで、連写性能やAFスピードなどパフォーマンスがアップします。しかし正直なところ動体撮影については、まだ一眼レフの方が少し上かなと感じるところもあります。
画質面については申し分なく、高感度撮影も強化され、さらに高画質の画像を得られます。発色は「さすがフジフィルム!」と言いたくなる素晴らしい色再現で、RAWで撮影しなくても撮影時にしっかりと設定していれば、JPEGで十分作品づくりが楽しめます。
その他、操作系が使いやすく改良されたことや、暗いシーンでのAFが強くなったことは、X-T1の不満の声を聞いてしっかりと反映させてきたと思います。
X-T2は今後、風景写真家だけでなく鉄道写真、飛行機写真などを撮影される方にも愛される1台になることでしょう。
この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田まで