こんにちは。 カメラ担当の池田です。
今回ご紹介する商品は、2016年9月23日に発売されましたタムロンの超望遠ズームレンズSP150-600/5-6.3Di VC USD G2(Model A022)です。
大人気だった前モデル、SP 150-600/5-6.3 Di VC USD (Model A011)の後継機種ということになります。
参考までに、前モデルの使用レビューはこちらから・・・
また、前モデルでのテレコン使用時レビュー
も神戸元町店で上がっているくらいに一部(鉄分豊富、飛行機屋)ナニワ社員の中でも人気のレンズでしたので期待が高まります。
前モデルからの主な改良点としましては・・・
- 手ブレ補正効果がアップ。 最大4.5段分の補正効果。
- オートフォーカスのスピードが大幅にアップ。
- 光学設計を改良し画質がアップ。
- 最短撮影距離が前モデルの2.7mから2.2mに短縮。
- フレックスズームロック機能搭載で、撮影時の利便性がアップ。
などが挙げられます。
このレンズの魅力は何と言っても600mmという焦点距離! これはフルサイズ機での話で、APS-Cサイズのカメラに装着すればキヤノンなら1.6倍、ニコンなら1.5倍の焦点距離相当の画角になります。
ちなみにキヤノンのAPS-Cサイズ機に装着すると、35mm換算で240mmから960mm相当。ニコンのAPS-Cサイズ機(DXフォーマット機)に装着すると、225mmから900mm相当になります。
フルサイズ対応レンズですので、もちろんフルサイズ機に装着するのも良いのですが、APS-Cサイズ機に装着することで、さらに超望遠レンズの世界を楽しむことができます。
今回はこのレンズをキヤノンEOS7D MarkⅡに装着して風景、鉄道などを撮影してきましたので、写真とともにこのレンズの魅力をご紹介していきたいと思います。
写真の紹介の前に、新しく搭載されたフレックスズームロック機構について。
これは任意のズーム位置で瞬時にロックができる機構で、レンズの重さによりズーム位置が変わってしまうことを防いでくれます。三脚使用時にはあまり必要ないかもしれませんが、手持ち撮影時に一度構図を決めてから、撮影するまで時間がある場合にはズーム位置が変わって不便を感じることがありますので、これはありがたい機構だと思います。
写真ではわかりにくいですが、レンズを立てても鏡筒が下がってくることはありません。
フレックスズームロック機構だけでなく、レンズを一番縮めた状態で固定するズームロックスイッチも搭載しています。
それでは、まずは150-600mmの画角比較から。
琵琶湖で撮影した朝陽の写真です。ズーム幅が広いのでバリエーション豊かな表現が可能です。150mm側では従来の写真が撮れ、600mm側では超望遠ならではの大迫力の太陽を撮ることができました。
ここで画角以外に見ていただきたいのが、ゴーストやフレアがない事!太陽が少し雲に隠れているとは言え、かなり光線の強い状況です。それでいてこの描写。タムロン自慢のeBANDコーティングの実力なんでしょう。
続いて、オートフォーカスについて。
前モデルもUSD(超音波)モーターを採用をしておりオートフォーカスは十分速いと感じていたのですが、新しい150-600mm(A022)はさらに進化をしていました。キヤノン純正レンズ並みの速さで、ストレスを感じることなく撮影できました。
またオートフォーカスが速いということは、動いている被写体の追従性能も上がるということで、飛行機や鉄道、野鳥やスポーツなど色んなジャンルで活躍できると感じました。
今回は鉄道でテストしてみました。
高速でやって来て、高速で走り去って行く特急列車。ともにカメラの設定はAIサーボ(他社ではAF-C)にセット、被写体を追従するようにして連写で撮影しました。ここでは、それぞれ1カットしか掲載しませんが、どの写真もピントはバッチリでした。動きものにもしっかり喰いつくAF性能、そして瞬時に合焦するAFスピードは文句なしに使えます。
手ブレ補正について。
最大手ブレ補正効果は約4.5段(VCモード3使用時)と超望遠レンズを使用する方にとっては、手ブレ補正の強化は嬉しい限りです。
前モデルの手ブレ補正効果は公表されていないものの、約1段程度はアップしているような感じです。
どれくらい効果があるのか、これも鉄道を被写体にして撮影してみました。
フィルム時代のまだ手ブレ補正機能がなかった頃は、手ブレしない安全なシャッタースピードは1/焦点距離と言われてました。その法則からすると1枚目の写真は1/684秒以上、2枚目の写真だと1/494秒以上のシャッタースピードが必要という訳です。
しかし、どうでしょうか。それぞれ1/25秒、1/30秒というかなり危険な領域での撮影ですが、まったくブレませんでした。もちろん手持ち撮影です。4.5段分の補正効果は本当でした(笑)
画質について。
デジタル一眼は日々進化を続けており、その性能を引き出すためにはレンズの光学性能も重要になってきました。前モデルの画質が悪かったとは思わないのですが、その後シグマが同じ焦点距離のレンズを発売したこともあって、タムロンも光学設計を改良してさらに良いレンズにして発売してきました。
琵琶湖の対岸に見えた伊吹山を撮影しました。直線距離で何十キロと離れている山で、少し霞みのかかった状況ですが、山の稜線まできっちりと描写されています。
大きなフレア等は見当たりませんが、逆光での撮影ですので若干眠たい写真になっています。しかし解像力は抜群で列車に書かれた番号や文字まではっきり読むことができます。
夕方、尼崎駅に進入してくる列車を600mmで狙いました。この時間帯になると、列車のライトが強く感じられ、レンズによってはゴーストが発生してしまいますが、このレンズは大丈夫でした。やはりeBANDコーティングの力なのでしょうね。
色々なシーンを撮影してみて、画質については申し分ない結果で、特に逆光耐性は特に良いと感じました。
最短撮影距離について。
最短撮影距離が前モデルの2.7mから2.2mに短縮されています。撮影倍率も1:3.9と意外にも近づいて大きく撮影することができます。
下の写真は最短撮影距離の2.2m付近で撮影しています。
小さなドングリの実がこんなに大きく写せます。遠くを撮る目的として超望遠レンズを使うことがほとんどですが、花などの近くの風景を撮るのもおもしろいと思います。この写真ではわかりにくいですが、ボケ味も悪くないように感じます。F8で撮影しているのは、3個のドングリ全部にピントを合わせるためです。
ここからは、その他にSP150-600/5-6.3Di VC USD G2で撮影した写真をご覧頂ければと思います。
これぞ超望遠レンズで撮りました!という写真です。望遠レンズならではの圧縮効果により、おもしろい写真に仕上がりました。1枚の写真に3本の列車を入れることができるのは、600mmレンズのおかげです。
琵琶湖畔を快走する列車。列車に車両番号までしっかりと読める解像力です。また半逆光での写真ですが、画質はまったく落ちることなくキレイな描写をしてくれました。
夕陽に照らされ輝くレール。ポイントの部分に合わせて背景を少しボカしてみました。なかなかキレイなボケ味ではありませんか。望遠レンズの特長でもあるボケを活かした表現もできます。
最後にまとめとしまして、タムロンのカタログやホームページでうたっているように、オートフォーカス性能と手ブレ補正機能には大きな進化を感じました。オートフォーカスについては、上でも書きましたように純正レンズを使用しているかのような感覚で撮影できました。ニコンにはAF-S200-500/5.6E VRという同じような焦点距離のレンズがありますが、キヤノンからは発売されていませんので、キヤノンユーザーの方には嬉しい一本だと思います。
あえて欠点を言うなら、若干ズームリングが重たいこと。ひょっとすると使用したレンズの個体差もあったのかもしれませんが、ズームリングが重たくて失敗したシーンがありました。動く被写体を撮影する場合は、動きに合わせてズームリングも動かすことが多いのですが、重たくてその動きについていけなかったのです。私の腕が悪いのかもしれませんが、個人的にはもう少し軽くして欲しかったです。
以上、色々書きましたが、超望遠レンズの世界はとてもおもしろく、皆さんにせひ体験していただきたいと思っています。今回紹介しました鉄道や風景だけでなく、野鳥や飛行機、スポーツや花など色んな被写体で使える一本です。
この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田