こんにちは。カメラ担当の池田です。
さて、今回はタムロンの新製品SP70-200mm/F2.8 Di VC USD G2 (Model A025)の使用レビューをご紹介いたします。
70-200mm/F2.8のレンズと言えば、キヤノンやニコンなどからも発売されている定番中の定番レンズで、風景写真からポートレート、そして動く被写体など、さまざまな分野で活躍する1本です。もちろんフルサイズ一眼レフ対応です。
タムロンはこの春、前モデルのA009の後継モデルとして、このA025を発売してきました。
前モデルのA009より大きな進化を遂げていますが・・・
主な進化点は・・・
- レンズは構成は17群23枚とA009と同じながらも、光学設計を一新し、高い解像感を実現
- 逆光に強いeBANDコーティングの採用により、ゴーストやフレアを低減
- ズーム全域において、美しいボケを実現
- 最短撮影距離がA009の1.3mから0.95mに大きく短縮
- AF速度と精度が向上
- 手ブレ補正機構「VC」が4段補正から5段補正にアップ
などが挙げられます。
そして外観・・・
前モデルよりかなり高級感が増しており、大三元レンズの名に恥じないつくりになっています。三脚座はアルカスイス互換のクイックシューに対応しており、より便利になりました。
それでは、少しアップが遅くなりましたが、SP70-200mm/F2.8 Di VC USD G2 (Model A025)を持って春風景を撮影してきましたので、ご覧いただければと思います。
まずは、描写力のチェックから。
それぞれの写真を拡大してみます。
開放でF2.8でも、それなりの描写力をもっていますが、やはり少し絞ることでかなり解像感が高まりました。F8で撮影した2枚目の写真はとてもシャープでコントラストも高く、満足できる画質を得ることができました。
琵琶湖湖畔での1枚。F8ということで解像感は抜群で、ヌケのよい描写です。芽吹き始めた木々の新芽もしっかり描写してくれました。
こちらも琵琶湖での1枚。ズームレンズではつきものの歪曲収差ですが、この焦点距離では発生していません。水平線がまっすぐに描写されています。ワイド端、テレ端では細かい収差チェックを行っていませんが、撮影時にはまったく気になりませんでしたので、歪曲収差はほとんどないと思って良さそうです。
朝陽と桜を絡めた1枚です。ここでご覧頂きたいのは、逆光耐性です。この日は少し霞んでいて、光線が強烈という状況ではありませんでしたが、日の出からかなり時間が経過して撮影しています。それでいてゴーストは完全の抑えられており、フレアもごくわずかといった感じです。これがeBANDコーティングと新しい光学設計の実力なんでしょう。
そしてもうひとつ。開放のF2.8から1段絞ったF4で撮影していますが、太陽の形はしっかり円形を保っています。今では円形絞りは当たり前のようになってきましたが、このレンズにもちゃんと採用されています。
描写力のチェックについてはこれくらいにしまして、次は今回の進化点の中でも大きな魅力でもある最短撮影距離の短縮です。前モデルから0.35m短縮され、0.95mとなり最大撮影倍率も1:6.1と、花の撮影などでもかなり使えるようになりました。
作例写真です。
春の訪れを告げる土筆。小さな土筆も、最短撮影距離が短縮されたことでこんなに大きく撮れます。マクロレンズほどの撮影倍率にはならないものの、普通に花などをボカして撮影するなら十分です。
本来マクロ的に撮影する場合は、絞りは開放で撮ることが多いと思いますが、ここではF4.5に絞ることで横にならぶ土筆にもピントが来るようにしました。それでも最短撮影距離あたりで撮影していますので、背景のボケは大口径レンズならではのキレイなボケとなっています。
F2.8のボケはやはりキレイです。後ボケだけでなく前ボケも大きくてキレイです。そしてピント面もとてもシャープで花が浮いているかのような表現ができます。
この写真は1/2段絞ってF3.5で撮影しています。それはピント面を少しシャープにするためです。私が入社したころ、ある先生から「マクロ撮影の場合は1/2段から1段程度絞るとシャープさが出て良い」と教えてもらったのです。それから、マクロ撮影の場合は少し絞るようにしています。この写真をご覧いただいてもおわかり頂けると思いますが、少し絞ってもボケの量は大きく変わらないのです。
このように大口径F2.8レンズと0.95mという最短撮影距離で、撮影チャンスが増えることは間違いありません。
そして、次はオートフォーカスについて。
これも前モデルより、スピードと精度がアップしています。
山に囲まれた田園地帯を走る若桜鉄道。この写真は、この1枚だけを撮ったのではなく、ずっと列車を追いかけながら撮影したうちの1枚です。他の写真もすべてピントが来ていました。今年の春に発売されたタムロンのレンズすべてに共通することですが、本当にオートフォーカスが速くて快適です。私は日頃、キヤノンの純正レンズを使用していますが、超音波モーター(USD)による静かなAFとスピード、精度にはストレスを感じることはありませんでした。
オートフォーカスも大きく進化していると実感しました。
以上、今回の使用レビューは描写力(画質)、最短撮影距離、オートフォーカスに焦点を絞って書きましたが、その他に手ブレ補正が4段から5段に強化してきたことも大きな進化です。今回の撮影では常に手ブレ補正機能(VC)はONにしていました。シャッターボタンを半押しした時に手ブレ補正が働くのですが、その補正効果がファインダーを通して「良く効いている」というのがわかりました。今回はスローシャッターでの撮影がなかったので、低速シャッターでどこまで耐えられるかということが正確にはお伝えできませんが、1/15秒あたりのシャッタースピードなら十分止まりそうで、夕景や夜景などの暗いシーンでの撮影にも適していると思います。
ちなみに手ブレ補正機能は3種類あり、通常撮影時に使用するMODE1、流し撮り専用のMODE2、手ブレ補正効果を最優先に考え、シャッターが切れる瞬間だけ補正が働くMODE3と状況に応じて切り替えが可能です。
最後に、SP70-200mm/F2.8 Di VC USD G2 (Model A025)で撮影したその他の写真をご覧いただければと思います。
琵琶湖の湖面に太陽の光が輝いていました。その輝きのボケ味が素晴らしい。またピントを合わせた草のラインがとてもシャープに表現されています。
桜が満開の鳥取県若桜鉄道若桜駅。望遠レンズならではの圧縮効果で桜とSLを狙いました。SLの質感が良く出ています。
同じく若桜駅構内。この写真は桜を主役、SLを脇役にして狙った1枚です。桜の入れ方(フレーミング)がイマイチで、バランスの悪い写真ですが、レンズは腕をカバーしてくれました。背景がキレイにボケてくれたおかげで、それなり?の写真になりました(笑)
これまた若桜鉄道。今度は列車を主役に!そして手前にあった菜の花を前ボケにして撮影しました。本当はF2.8で撮影する予定だったのですが、撮影場所を探している間に列車が来てしまい、焦ってF5.6で撮ってしまったのです。それでも菜の花は大きくボケてくれました。
万博公園での1枚。チューリップが見頃を迎えていました。チューリップのアップは上でご紹介しましたが、ここではお花畑をイメージして撮影しました。やはり大口径レンズ。ピントを合わせたチューリップまでの距離はそこそこあるのに、背景はキレイにボケてくれました。このピントの合っているところの解像感と滑らかなボケ味がたまりません。
以上、最後までお付き合いありがとうございました。
このレンズは本当にコストパフォーマンスに優れたレンズです。純正レンズにこだわる方も多いですが、自信を持ってオススメできる1本です。いつものなら1つくらいは欠点を書くのですが、今回使用するなかでは欠点という欠点はありませんでした。それくらい良いレンズです。皆さまには大口径レンズの魅力をぜひ味わっていただきたいと思います。きっと写真が上手くなるはずです。
この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田まで