こんにちは、カメラ担当の池田です。
さて、今回は2017年春に発売されました、タムロンの新製品レンズ「SP70-300mm/F4-5.6 Di VC USD (Model A030)」(以下Model A030)の使用レビューをお届けしたいと思います。
このレンズは前モデルA005の後継機種として発売されました。Model A005と言えば、タムロン創業60周年記念モデルとして発売され、今では当たり前になっている超音波モーター(USD)がタムロンとしては初めて搭載されたモデルでもありました。また、描写力の良さから、コストパフォーマンスの高いレンズとして人気がありました。
そんな人気レンズがモデルチェンジということで、どうしても期待してしまいます。
主な改良点としまして・・・
- オートフォーカスのスピード・精度の向上
- 手ブレ補正機能の向上で、CIPA規格準拠で4段分の補正効果
- レンズ最前面に、撥水性・撥油性に優れた防汚コートを採用
などが挙げられます。
最短撮影距離やゴーストやフレアを抑える新BBARマルチコーティングの採用、特殊硝材XLDレンズの採用などは変わっていません。
新しくなったModel A030をニコンの新製品D7500に装着して撮影してきましたので、ご覧いただければと思います。
このレンズはフルサイズ機種対応ですが、今回はAPS-Cサイズのカメラに装着して撮影を行いましたので、35mm換算する場合は、写真の撮影データの焦点距離を1.5倍してください。
まずは描写力を見てみましょう。余呉湖にて遠景描写でテスト。
上の写真は、焦点距離130mm、絞りは開放に近いF5.6で撮影しています。中心部分を拡大してみます。
開放付近からコントラストが高くてシャープな描写力となっています。
続いてF8に1段絞って撮影した写真の拡大です。
ほんの少しだけ解像感が上がったように見えますが、開放側とそれほど大きな差はありません。現代のレンズ特有のF値開放からシャープな描写力が得られるレンズだと言えるでしょう。
本来、画質のチェックをすならば、フルサイズ機で広角側、望遠側でそれぞれ撮影するのがベストなのですが、今回の撮影ではそこまで実写テストができていません。ですから若干説得力に欠けるかもしれませんが、ズーム中間域とはいえ、これだけの解像感が得られれば十分ではないいでしょうか。
2本仲良く咲いたアジサイを200mmで狙いました。このレンズはボケ味もとても良いですね。ピント面はとてもシャープで、背景は滑らかなでキレイなボケを実現しています。
この写真は手前に前ボケを入れて撮影した1枚で、背景には円形のボケが出るようにフレーミングしました。このレンズの仕様表には円形絞りとは書いてませんが、少し絞ったF6.3では円形に近いボケとなっています。
この写真はさらに前ボケを強調して撮影した1枚です。前ボケも悪くないですね。望遠レンズは遠くの被写体を大きく撮るだけでなく、このような近くの被写体を撮影して、大きなボケ味を出すことができるのも特長のひとつです。
このレンズの最短撮影距離は1.5mと決して短くはありませんが、上の写真のように小さなカナブンもこれだけの大きさで撮影できます。300mmで1.5mまで近寄れば、最大撮影倍率1:4の撮影が可能です。最短撮影距離付近での撮影は、ピント面がとてもシビアになってきますので、三脚を使用するのが理想的です。
高速で走る特急列車を撮影しました。ここでテストしたかったのはオートフォーカスのスピード。最新モデルのカメラ、ニコンD7500に装着して撮影していますが、ボディの性能を落とすことのないフォーカススピードで、ストレスなくとても快適に撮影できました。
過ぎ去って行く列車を後追い撮影。この場合でも瞬時にピントが合い、列車を捉えることができました。このA030を含め、2017年春に発売されたタムロンの新製品レンズはどれもがオートフォーカススピードが速くなっており、純正レンズにも劣らないレベルに来ていると感じます。
雨の中を走る貨物列車を300mmで撮影しました。APS-Cセンサーのカメラにこのレンズを装着すると450mm相当の画角になりますので、鉄道や飛行機、スポーツを撮るに良いですね。この写真も300mmにすることで、手前にあった障害物をカットしてフレーミングすることができました。フルサイズ対応のレンズですが、APS-Cサイズセンサーのカメラに装着して、望遠効果を楽しみたい1本でもあります。
以上、1日だけの撮影で写真のバリエーションは少なめですが、色々と試すことができました。残念ながら雨が降ったり止んだりの天気でしたので、逆光性能は試すことができませんでしたが、このSP70-300mm/F4-5.6 Di VC USD (Model A030)のレンズの性能はおわかり頂けたのではないでしょうか?前モデルから継承されている描写性能、そして改善されたオートフォーカス性能は、定価60,000円(税別)という価格を考えますと申し分ないと思います。
手ブレ補正も4段分の補正と強力で、今回撮影した写真の中に手ブレで失敗した写真はほとんどありませんでした。300mm側で撮影する場合には手ブレ補正は本当に助かります。
1点だけ撮影していて気になったところがあります。それは、手ブレ補正のON・OFFのスイッチが軽いのか、知らないうちにONにしていたスイッチがOFFに切り替わっていることが多々ありました。私の撮影スタイルはいつもと変わりませんので、おそらくスイッチが軽いのだと思います。
長々と書きましたが、コストパフォーマンスに優れた1本であることは間違いありません!自信を持ってオススメできる1本です。
キヤノン用、ニコン用の2種類が発売されています。 重量765g。
この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田