今日は趣向を変えて、少しカメラの測光システムに関してのお話を。
最近のというかAF機になった頃から3種類の測光システムが搭載された機種が殆どになっております。
中央部重点測光、スポット測光、マルチパターン測光
中央部重点測光は測光システムの中でも一番オーソドックスな物でファインダー中心部から直径約10mm程の値を出すものでして、内蔵TTL露出計が主流となった70年代の一眼レフカメラの測光方式は殆どがこれでした。
この機構が登場してから、「AE機構」という自動露出制御機構を搭載したカメラが多く登場し、「誰でも、簡単に、失敗なく写せる」がカメラに求められる様になったかと。
ただ、問題もあって「明暗差のある被写体」となるとバランスが取れなくなり、「白飛び」や「黒つぶれ」を起こしてしまう事もあり、80年代に「失敗写真を防ごう」と考え出されたのがスポットとマルチパターン測光。
マルチパターン測光は、日本語に直すと「多分割測光」。ファインダー内を複数エリアに区分し、全体の明暗バランスを内蔵露出計で判断して適正露出を出す方式。
これに対してスポット測光は画面内の1-2%と非常に狭い範囲の光を測る方式。
この方式が登場した80年代カメラ雑誌誌上では「スポット測光こそ究極の測光方式!カメラ任せのマルチパターンなんて」「イヤイヤイヤ…マルチパターン測光こそ一瞬のシャッターチャンスに強いものは無い!いちいち色んなエリアを測らないかんスポット測光なんて」といった論争も繰り広げられていました。
どちらの方式も一長一短有りまして現実「被写体に応じて使い分ける」というものにはなりますが実際の所はどうなのか、ちょっと実例を挙げてみます。
まずはマルチパターン測光
こういう「どっちに露出を合わせたら良いか??」迷った時や、シャッターチャンスを優先したい時なんかには結構効果的な測光方式。ただ・・・苦手とする条件も有ってそれが次の写真
どうしてもマルチパターン測光は「全体のバランスをカメラが考えて」値を出すので、この様に明るい領域が多いと明るい方向につられてしまう傾向がよくあります。
逆光条件での人物撮影などではよくあるシーンです。
その場合に結構活躍するのが
「中央部重点」
同一条件でのマルチパターンと中央部重点の作例を
まずはマルチパターン
顔の部分中心に測光しておりますが、狙った所で露出を測るという点ではスポットも中央部も同じなのですが、顔など面積の広い場合にはこちらが有利。
もちろん、測光した場所からフレーミングをかえると測光値が変わってしまうので「AEロック」の併用が必要になります。
最後は「スポット測光」
ケーキが主役になるので、そこの部分を測って値出しをしていますが、暗部だけでなくロウソクの光と明部もある・・・まさにピンポイントでの測光が要求される場合にはコレでしょう。
ただスポット測光はカメラによって範囲や精度で機種ごとの差が出て来る点ですので、お持ちのカメラでまずは慣れて頂いてからをオススメします。
こんな感じで、時々はカメラの機能的な面もお話できればと思います。
神戸元町店 まえだ