さて、今日は趣向を変えて実験とフイルムカメラのお話を。
先日家を片付けておりますと……
まえだ、昔々使おうと思って買ったフイルムが。
今からかれこれ10年以上前、私まえだカメラのナニワの一員になる前です。
当時はまだまだ独身の身、少しは自由になるお財布と休日でフイルム機をガシガシ使っていた頃に買い貯めして、そのまま忘れて……その間結婚、転居と繰り返しながらも何故か荷物の中に入ったまま付いて回り、先日家の片付けをした時に発掘。
見つけてしまうと悪い虫がうずくもので
「これで写したらちゃんと写るのか?」
実際期限切れフイルムでの撮影を試されている方のサイトを拝見しますとカラーネガフイルムでは
カラーバランスが崩れている
粒子が荒くなる(ザラつく)
コントラストが落ちる
そして
感度が落ちる
とあります。
さて、このPro400と言えば…「パッケージに入れていたと言え、引っ越し荷物まとめた段ボール箱の中で暑さ寒さに湿気も加わった10年以上熟成モノ」果たしてどうなのか?。
今回試写に使うカメラ、中判と言えばやっぱりこの一台!
ハッセルブラッド500C/M
露出計片手にハッセル使うなんて何年ぶりでしょうか。
まずはそのまま感度400の設定で。
絞りはf4、シャッタースピードは1/15
おお…写っている!でも結構アンダー。
やっぱり先の期限切れで感度が落ちるというのはかなりキツい。
それなら、どこまで感度落とせば「とにかくアンダーは回避されるのか」シャッタースピードを一段ずつ落として行って見ましょう。
まずは一段落として1/8、丁度感度200の適正値。
うーん、400の時よりはマシになりましたが、まだちょっと足りない、カラーは結構イイ感じに近づいて来たでしょうか。コントラストも出てきた感じです。
それでは更に1段落として1/4では…
シャドー部も結構立ち上がって色調子もいい具合の乗りになって来ましたというかこの感じ……
「インスタグラムのエフェクトでよく見る!」
場所を変えてもう少し
適正f4シャッター1/15からの2段オーバーで
ええ……この10年モノPro400ええお味です。
では日中ではどうか?同じく適正f4シャッター1/500から2段オーバーめで
ほほう、日中もなかなかにええ調子で写ってくれます。
さて、ここでお気づきの方もおられるでしょうが
「画面の左端がモヤっとしているのがある」
本来ならミスショットで載せないものなのですが、今回は最近フイルムカメラを始められた方、フイルムカメラを始めてみたいという方への情報として
「光線モレ」
の症状例としても紹介します。
その前に少しフイルムカメラとフイルムについてのお話を。
当然ながらフイルムは光が当たってしまうと感光して絵が写らなくなります。
それを防ぐ為にフイルム室周りはモルト(スポンジ状のもの)や毛糸などで光が入らない様に遮光しているのですが、劣化して遮光がうまく行かないとこんな風に一部だけ感光して白っぽくなるのです。
今回のハッセルではフイルムマガジンの引きブタ部分に遮光材が入っているのですが、そこが劣化していると撮影のたびに光線が入り込んでこの様になってしまいます。
カメラ選びの際はこのモルトや遮光材の具合というのは結構大事なポイント。もし欲しいフイルムカメラが有ればお店の人に確認される事をお勧めします。
お店の方も「これは少し高いですけど整備しているので大丈夫ですよ」や「安いですがこの部分のモルトが劣化しているので、交換をオススメします」などとアドバイスをちゃんとしてくれます。
それ以上にカメラ好きのお店の人は「このカメラで写真を好きになって欲しい」と思っているので良いも悪いも含めて正直に教えてくれます。
また、家から出て来た古いカメラを使ったら「白っぽく写った」や「画面の一部だけ写っていない」なんて時もモルトの劣化が多く考えられます(それ以外にシャッターや絞りの不良も原因としてありますが)。
私まえだも店頭やお電話で、「他のお店で買ったんですけど」や「お父さんのカメラがまだ使えるのか」と「相談だけでもいいですか?」とお客様から尋ねられる事ありますが、私だけでなく店の全員
「相談だけ大歓迎です!」
私もフイルムカメラでカメラを覚えた身、これから始めてみたいって方は出来る限り全力でサポートします。
神戸元町 まえだ