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知れば中古カメラをもっと楽しめる 写真フィルムの種類と特徴

フィルムカメラに興味のある方は多いかと思いますが、一言にフィルムと言っても色々と種類やサイズがあるのはご存知でしょうか?写真フィルムサイズの種類や特徴を知ることで、 中古カメラをよりいっそう楽しむことができます。


今回の記事では、10種類以上のフィルムをご紹介しますので、ぜひご覧ください。

現在では入手困難なフィルムも

35mmフィルム、ブローニーフィルム、45(しのご)フィルム、110(ワンテン)フィルム、APSフィルム、等々他にも沢山種類があります。

見た目のカッコよさでカメラを購入すると肝心なフィルムの入手が困難であるとか、フィルムが手に入らないなんてこともあり得ます。

ネットオークションなどではなく中古カメラをメインに扱っているカメラ屋さんでなら、
『フィルム入手できませんよ~』とか、『入手困難ですよ~』など、事前に案内はしてくれます(カメラのナニワでは状態の説明で必ず行いますのでご安心を)。

正直、現在そんなに特殊なフィルムを使うカメラは出回ってないとは思いますが、ポケットフィルムやミノックスフィルムを使うカメラ、ポラロイド社始め旧式のインスタントカメラなどは注意が必要ですね。

フィルム形状はロールとシートの2種類

カメラフィルムは形状で分けると、ロールフィルム、シートフィルムの2つに分かれます。

◆ロールフィルム

軸(スプール)に巻きつけられていたり、専用パトローネ(フィルムが感光しないように遮光されている筒状の物)に入っているタイプがあります。
代表的なロールフィルムは、私も含め一般的な皆さんがフィルムと言えば35ミリ判フィルムですが、他にも色々あり、ブローニーフィルム、生産完了になっているAPSフィルムや110(ワンテン)フィルム等がこれにあたります。
かつてはここでは紹介しきれないくらい多種多様なロールフイルムが出ておりましたが、現在は35mm,120フイルム以外はかなり入手困難かもしれません(そもそも、現像を引き受けてくれるお店さんがあるか?という状況)

◆シートフィルム

名前の通り1枚1枚シート状のフィルムで、専用のカットホルダーに事前に暗室などで装填して使う大判カメラで使用されるフィルムです。

 

それでは、色々なタイプのフィルムについてもう少し説明させて頂きます。?

フィルムの種類とそのサイズ・形状

◆35ミリフィルム

フィルムの上下にパーフォレーション(穴)が有るのが特徴です。
名前にもなっていますが、フィルム幅が35ミリです。(勘違いされている方が多いですが、撮影出来るサイズは短辺24ミリ長辺36ミリです)

もともとは映画用フィルム(18×24ミリ判の2コマを1コマとしてカメラを作った。)からの流用でパトローネというケースに入ってます。昔は通称ライカ判、現在はあえて言えばですがフルサイズ判と言われています。取扱いが簡単でサイズ的にも適当な所から一般に広がったとされています。
ライカ判と呼ばれるのは、エルンスト・ライツ社のオスカー・バルナック博士が「携帯性に優れたカメラを作ろう」(自信の体が弱く、当時のカメラは大きく撮影がしんどかったというのがきっかけの一つとか)と取り組んだカメラがマックス・ベレーク博士のレンズ設計と相まって生み出された「ライカ」(ライツ社のカメラで「ライカ」)が名前の由来とか。
コダック社での規格番号から「135フイルム」とも呼ばれます。

(サイズ的に適当と言ったのは、フィルムサイズが小さいとプリント時、引き伸ばしに耐えられなく映像が荒れてしまいます、サイズが大きいとプリントには有利ですが機材の大きさが大きく取り回しも悪く、機材を購入する際にも価格的に高価になる為)

◆ブローニーフィルム

ロールフィルムの代表的なフィルムで、幅が約60ミリのフィルムを指します。サイズは「6×6センチ」で等中判カメラに使用されてます。
スプールに遮光紙と巻かれていて、紙巻フィルムと言っていた方もいました。
特徴は、カメラの画面サイズにより撮影枚数が変わるところです。

  • 6×4.5センチ判(通称ロクヨンゴ)なら、15~16枚
  • 6×6センチ判(ロクロク)は12枚
  • 6×7センチ判(ロクナナ)は10枚
  • 6×8センチ判(ロクハチ)は9枚
  • 6×9センチ判(ロクキュウ)は8枚

このフィルムは35ミリ判に比べ645でも画面面積が約2.7倍になるので大伸ばしに有利、画質にこだわりのある方に人気のカメラが多数出ています。

この120というのもコダックの規格番号、同じサイズで220という裏紙を省いて枚数を倍撮れる様にしたものもありますが、使えるカメラが限られる注意があります。

◆シートフィルム

4×5インチ判、5×7インチ、8×10インチ等 1枚1枚シート状になっています。
自身でフィルムホルダー(カットホルダー)にセットするタイプのフィルムで、フィルムの1辺にノッチ(ノッチコード、コードノッチ)切り欠けがありフィルムの種類により違って表裏が判るようになっています。


◆ポラロイドフィルム《インスタントフィルム》

ポラロイド社は現在フィルムを販売してません(名称だけ残った別会社ですので・・・)が、「Impossible」というメーカーがポラロイド600シリーズ、sx70シリーズ、スペクトラシリーズのフィルムを販売してます。
ただ、ポラロイド社の完全な技術、製法で作られてはいないので発色や、保管法など一定の取扱い注意があります(ポラロイド社のオランダ工場と生産ラインは譲り受けは出来たのですが、特許の問題から製法まではNGだったそうです)

◆110(ワンテン)フィルム《ポケットカメラフィルム》

一時、各フィルムメーカーが生産完了して市場から消え去られていましたが、ロモグラフティー社が生産を再開、現在(2018年時点)はネットショップなどで入手可能です。

◆APSフィルム《IX240フィルム》

APSはアドバンスト フォト システムの頭文字から来てます。フィルム幅は24ミリ、画面寸法は16.7×30.2ミリで専用カートリッジに入ってます。デジタル一眼でこのフォーマットサイズを使っているモデルがありますのでサイズだけは慣れ親しんでる方も多いのでは?!
フィルムは生産完了して現状入手出来ません。(もし有っても期限切れですのでご注意を)

◆ミノックス用8×11《シャラン・アクメル用》

小型スパイカメラで有名な「MINOX」で使用されていたフィルム、他メーカーもこのフィルムを使うカメラを出していて、メガハウスの「シャランシリーズ」や浅沼商会の「アクメルシリーズ」、フジやヤシカ他なども出していたと記憶します。これも数年前までは中古カメラ店などで入手出来たのですが、唯一扱いされていた業者様も「カートリッジを作る機械が壊れた」などあってなかなか入手の難しいものになってます。(今でもミノックス判で撮っているという方は、詰め替えカートリッジキットやフイルムカッターなどをお持ちの相当お好きな方が殆ど)

◆ディスクフィルム

コダックがディスク(円盤)に円周に沿って,小さいフィルムを15枚並べた形状のものをプラスチックカートリッジに入れたフィルム。現像所での取り扱いも終わってますので、未現像のものが発掘されても、現像出来る可能性も残念ながらお店ではゼロです。
カメラの大きさが小さく薄い為、携帯するのに良かったのですが、フィルムの画面サイズが小さすぎて画質が悪くあまり良くなかったり、登場時(70年代後半から80年代前半)増えていたDPEシステムに対応させる周辺機器類への初期投資額が高額で導入を見合わせた所も多かった事も普及しなかった要因と言われております。

◆その他

その他にもまだまだフィルムの種類はあり、

  • ラピッドフィルム
  • 16mmフイルム
  • ミゼット判フィルム
  • 127(ベスト判)フィルム
  • 620フィルム(120と似ているけど微妙に軸サイズが違う)
  • 828(バンタム判)フィルム

いずれともお手軽に入手は「まずもって不可能」。
現在も使っているぜい!って方は軸や裏紙、それどころかカートリッジから自作するDIYとチャレンジャー精神豊富な素晴らしい趣味人ばかりです・・・(e-bayなど海外でこれまたDIYされた物を入手している方もおられるようですが・・・)

まとめ

デジタルカメラが普及する前は、35ミリ判が最もポピュラーなフィルムで、フィルムと言えばそれ(35ミリ判)しかご存じない方も多かった思います。

ですが、その頃から今回ご紹介したサイズ・形状のフィルムは存在していて、フィルムが出て一世紀以上も経ちますから、もっと他のサイズも出ているのではないかと思います。

中古フィルムカメラの購入を検討をされている方、インターネットでまだまだ購入できるフィルムもあるかと思いますので、状態が悪すぎてオブジェにしかならないカメラに注意のうえ、探されてみてはいかがでしょうか?

思いのほか味のある画像が手に入るかも!

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