Canon EF35mm F2 IS USMレビュー

今回のCanon EF35mm F2 IS USM、先代モデルより確実に大きくなっていますが、それでも重量335gで手ブレ補正付きとあれば致し方無いところかな・・・?等と自分を納得させて持ち出しました。

まずは耐逆光・フレアのチェックから。
ちょっと意地悪ですが、フード無しでやってみました。

F8で撮影。綺麗な八角形フレアが発生

思いっきり厳しい条件で撮影してますので、この程度で収まっているのは上等の部類かと思います。
画面からギリギリ太陽をはずしてみますと・・・勿論、こちらもフード無しですが。

F2開放。左下にちょびっと・・・

一気にここまで回復しました。画面左下にニョロっと微妙なフレアが残りましたが、フード装着の状態なら完全に消す事ができるレベルですね。そしても少しだけ左に振ると・・・

こちらも勿論絞り開放・フード無し

フレアは完全に消えてくれました。フード装着であれば更に締まりのある画になったかと思います・・・が、思いの外、周辺光量が・・・この点は後程、も少しテストしてみます!

開放撮影ついでにもう1カット。中~遠距離を試してみました。

F2開放撮影。驚きの白さです

しっかり解像しているのみならず、元画像の白部分を拡大しても殆ど色滲みが出ていませんでした。ひょっとするとこのEF35mm F2 IS USMって、凄い優等生レンズかも・・・

続きましてはボケチェック。年齢的にそろそろ自分のボケ具合も気になるところではありますが、夜の師走の街でテストを開始しました。

ASA400 1/25Sec. F2

ほぼほぼ最短付近で絞り開放。画面周辺部に行くにつれ、電飾のボケが少し変形しているようですが、概ね良好なボケ具合と感じます。
続けて絞り値を変えて・・・と思ったら、通行人が多くて一端中止。さすが師走の街です・・・
改めて撮影を再開しましたが、多少のフレーミングの差異はご容赦下さい。

F4に絞って

流石に絞り開放とはボケ量が違いますが、それでも近接撮影なので背後はそこそこボケてくれました。イルミネーションのボケ形状はF4あたりから均質になってくれます・・・だいぶ小振りになりましたけどね。
F2くらいの明るさでこの程度の重さだと積極的に夜を撮りたくなってしまうものです。

1/25Sec. F2.8 17:30頃、秋葉原界隈

あえてアンダーにしたくなったり・・・

1/60Sec. F2 何故か背後周辺の光源がちょと雑な感じ

1/100Sec. F2.8

さほど絞ってない為?描写についてはやや柔らかめな印象です。

今度は前後のボケ具合をチェックしてみました。ここからほとんど全て曇天下の撮影です。

1/500Sec. F2

手前のボケ具合はちょとだけガサつく感じかも知れませんが、背後のボケはとても素直な印象です。
AF作動はとてもスムーズで、爆速レベルではありませんが「普通に速い」合焦をしてくれます。まずストレスを感じる事はないでしょう。
ところで普段個人的にはマイクロフォーサーズ系を使っているのですが、レンズに距離指標窓があるって、やっぱり良いもんですね・・・最短撮影がやりやすいったらありゃしない。

またもやボケチェックですが、今度は上の写真では出来なかったテストを。背後のボケの色滲み拝見。

絞り開放F2で改めて背後のボケチェック

この画像の背後のボケ部分を拡大してみると・・・

ボケ部分、妙な色滲みはとても少ないです

これまた優秀な結果となりました。私の個人所有の機材では結構色滲みの出るレンズもあるんですが、そうそう高性能高額レンズを買うワケにもいかないので「これも味の内」なんて自分に言い聞かせたりするんですが・・・決して高額レンズの部類ではない(安くはないですが)EF35mm F2 IS USM、「お値段以上」のレンズと見ました。

冒頭で気になった周辺光量についてチェックしましたら。やっぱり結構光量落ちするんですよ、EF35mm F2 IS USMの開放側は。

F2で撮影 結構な周辺落ち

個人的には周辺光量落ちが好きなので気になりませんが、用途によっては後で補正が必要になりそうですね、開放撮影は。

F2AE ほら、やっぱり落ちてます

周辺光量落ちの傾向は、絞り値F4くらいで解消できるようです。

F4AE

勿論、「落ちる」前提で撮影する分には嬉しい特性でもありますけど。思った以上な落ち方でした。

F2AE  あえて真ん中に白を持ってきました。

どうせ落ちるんだろ?と判れば、いっそのこと画面真ん中に白いモノを持ってきて、周辺との落差を作るのも楽しいかも。

ところでこの35mmと云う画角が身体に合わない、と云う方はいますでしょうか?実は私が合わないクチでして。単焦点レンズであれば50mmメイン・28mmサブの感覚で育ってきたもので、実は35mmが大変不得手なのです。どっちつかずの中途半端な印象でして・・・
片や、35mmこそベストレンズと感じる方には50mmが「狭っ苦しい」不自由な画角と感じられるのかも知れません。
数歩踏み込む・後ずさる、絞る・開く、の按配で28mm的にも50mm的にも使えると仰る方もいらっしゃいますんで、本来35mmは使い勝手の大変良好な画角なのでしょう(他人ごと的な云い方で済みません)。

1/15Sec. F5.6

フォーカシングスクリーンにグリッドを投影できる機材ではなかったのですが、まぁ特に歪みも無く水平・垂直が出せているかと思います。この点、単焦点レンズはズームレンズより断然有利かと。ちょっと曲がってるとしたら、それは私の性根が曲がってるからです!

1/80Sec. F5.6 畳が紅葉に染まってました

無意識にF5.6あたりの撮影が多いのは、きっと普段私がマイクロフォーサーズ系で多用している為ですね。今回はフルサイズ機を使っているので、本来ならF8前後で攻めるべきだったとも思いますが、どうも手ブレ補正の効きが控えめな感じを受けていたのも事実でして。

1/30Sec. F8

同アングルで数枚撮りましたが、一般的な意味での画質についてはやはりF8あたりが均一でベストなようです。

今度は小姑っぽく細部の部分アップ比較。

F8AE

玄関部の屋根瓦を拡大しますと。まずはF8の部分アップをば。

F8で撮影、部分アップ。

F4撮影の部分アップ

一般的に回折の影響が出るF11では・・・

F11で撮影した部分アップ

多分F4よりちょっとだけ甘いんでしょうが、必要に応じてF11まで絞るのも充分に試す価値がありそうな気がします。

一通りEF35mm F2 IS USMを弄りまわした感想はですね、教科書的に「NG」とされる問題は開放時の周辺光量落ちくらいしか見当たらない、と云ったものです。この問題もF4以上に絞れるなら解消できる点でした。突っ込みどころの少ない優等生レンズでした。
なのですが・・・マイクロフォーサーズ使いにはちょっとデカいかな?

本日は曇天下の冬寒を避けて日本建築に逃げ込んだわけですが、屋内に上がってみると畳も縁先も足の裏を責める冷たさです!
都内に数カ所あるこの手の建築物、保護保存の目的なんですが所によってスリッパに履き替えたり、逆にスリッパNGだったりとまちまちだったりしますが、今回はスリッパNGのパターンでした。
さて、寒いから帰りましょ、暖房の効いたレモン社銀座店まで。

Canon EF35mm F2 IS USM
レンズ構成:8群10枚
絞り羽根:8枚
最小絞り:22
最短撮影距離:0.24m
フィルター径:φ67mm
寸法:φ77.9mmx62.6mm
重量:335g

担当:松浦