こんにちは。 カメラ担当の池田です。
今回は、2017年7月の発売以来好評をいただいております、タムロンの新製品18-400mm/3.5-6.3Di II VC HLD (Model B028)の使用レビューをお届けしたいと思います。
このレンズの魅力はやはり18-400mmという驚異の22.2倍ズーム。このレンズ1本あれば、ほとんどの被写体が撮影できるのではないかと思ってしまいます。タムロンからは16-300mmというレンズが発売されていますが、それを大きく上回るズーム倍率となって登場してきました。
このレンズはAPS-Cサイズセンサー専用のレンズですので、例えば、キヤノンのEOSシリーズに装着すると、28.8mmから640mm相当になります。640mmと言えば超望遠レンズの世界。この超望遠の世界が、わずか710g(ニコン用は705g)という軽量で体験することができるのは、本当に凄いと思います。
18mm側での長さは、キヤノン用が123.9mm、ニコン用が121.4mmとコンパクト!
400mm側にすると、ご覧のように3段繰り出しで、倍くらいの長さになります。
超望遠高倍率ズームで、しかも軽量コンパクト。これだけで魅力的なのですが、やはり気になるのは描写力とオートフォーカス性能。
今回はそのあたりのテストも含めて、キヤノンEOS7D MarkⅡに、この18-400mm/3.5-6.3Di II VC HLD (Model B028)を装着して撮影してきましたので、実際に撮影した画像をご覧いただければと思います。
ズーム比較
遠くに飛行機がかろうじて見えます。
ここから400mmにすると・・・
あんなに小さかった飛行機がこんなに大きく撮影できます。このズーム倍率は驚異であると同時に、とても便利だと感じます。
もう1枚、別のシーンでのズーム比較です。
淀川河川敷から撮影した1枚です。月がキレイに見えていましたので、大都会の夜景といっしょに撮影したものです。
月だけを撮ったらどんな感じで写るのかな?と思って400mmで撮影したのが次の写真です。
月を画面いっぱいに写すところまではいきませんが、クレーターまではっきりと写すことができました。ここまで大きく撮れれば十分ですよね。もう少し大きくしたいなら、トリミングをすればいいと思います。
飛行機の撮影にチャレンジ!
400mm側で撮影した2枚です。やはり飛行機撮影には望遠レンズが必須ですね。少し気にしていたオートフォーカス性能も十分使えるレベルでした。タムロン独自開発のHLDモーターの良さでしょうか、速いオートフォーカスを実現し、さらにはAF駆動時も静かで、純正レンズを使用している感覚でした。
ここで、少し不満点をあげると、手ブレ補正効果がもう少しあって欲しかったと感じました。このレンズの手ブレ補正効果は2.5段補正と、最近のレンズの中ではやや低め。広角から中望遠域ではまったく問題ないのですが、400mm側ではシャッター速度が少し遅くなるとブレしまうことが多々ありました。私の腕のせいかもしれませんが・・・。
コンパクト設計にこだわったレンズですので、そこは少し我慢しましょう。シャッタースピードを速くすればブレも軽減できますしね。
広角側で撮影した1枚です。やはり高倍率は便利ですね。400mmで着陸に向かってくる飛行機を撮影してから、広角側にしてこのような写真を撮ることができるのは、高倍率ズームにしかできません。
夕暮れの飛行機撮影は時間と瞬間勝負。この飛行機は望遠で、その次の飛行機はレンズを変えて広角で撮影なんてこと、なかなかできません。
高倍率レンズがここまでになる以前はカメラ2台にそれぞれ焦点距離の違うレンズを装着して撮影なんて事も当たり前の光景でした(もちろん今でもハイクラスレンズ使用の方やプロカメラマンではよく見かけますが・・・)。
しかしこのレンズがあれば、1機の飛行機で色んなバリエーションの撮影が可能になります。
これも18mm側で撮影した1枚です。雲の隙間から見えていた太陽を入れて、逆光で撮影しました。ここでご覧いただきたいのは、太陽の近くに写っているゴースト。そのゴーストやフレアを軽減するタムロン独自のBBARコーティングが施されているものの、結構目立つゴーストが発生してしまいました。しかし雲の隙間とはいえ、かなりキツイ太陽の光でしたので、これくらいは仕方ないのかもしれません。逆にフレアはなく、抜けの良い描写になっているのではないかと感じます。
鉄道の撮影にチャレンジ!
ズーム中間域での1枚です。運転席上部に書かれている編成の番号W32まではっきりと描写されています。また、高速でやってくる特急列車ですが、飛行機同様にしっかりピント追従してくれました。やはりオートフォーカスは優秀です。
400mmの開放F値で撮影した1枚です。超望遠400mmならではの圧縮効果。おもしろい写真が撮れます。
ここで少し画質について触れておきます。色々撮影して感じたのは、広角側からズーム中間域での画質は、高倍率ズームレンズということを考えると申し分ない描写力だと思います。
しかし400mm側の開放F値で撮影した場合、若干眠たい画像になる傾向があるように感じました。少し絞れば改善される感じですので、大きな問題ではないのかもしれませんが、少し気になりました。でもスマホで見たり、2Lサイズぐらいでプリントするくらいなら、まったく気にならないと思います。
この写真は歪曲収差を見るために撮影した画像です。ズームレンズではどうしても歪曲収差は出てしまうものですが、それがこの高倍率ズームはどうなのかテストしてみました。
18mm側はやはり樽型の収差が出ています。線路を見て頂ければ、少し曲がって写っているのが確認できると思いますが、この写真を見て、正直私はビックリしました。
高倍率ズームでありながら、この収差の少なさは凄いと思います。普通の標準ズームでもこれくらい、いやこれ以上の収差が出るレンズはたくさんあります。
タムロンのレンズ設計に脱帽です。
上の写真と同じ場所から、少しズームして100mmで撮影した写真です。ここでは糸巻き型の収差が見られますが、気になるレベルではありません。
ねこじゃらしにピントを合わせて、背景の機関車をボカしてみました。高倍率ズームとは思えないやわらかくてキレイなボケ味です。花や人物写真など、背景をボカしたいシーンでも活躍しそうです。
マクロ撮影にチャレンジ!
このレンズの仕様を見た時に、最短撮影距離が45cmと短いことに少し驚きました。ズーム全域でこの最短撮影距離ですので、最大撮影倍率は1:2.9とマクロレンズ並みの接写が可能です。
そこで夏の名残、セミの抜け殻を撮影してみました。最短撮影距離まで近づくとセミの抜け殻が大きく写り過ぎてしまうので、少し離れて撮影してこの大きさです。
そして、鉄道のところでも書きかましたが、ボケ味が本当にキレイです。ボケ味に定評のあるタムロンの90mmマクロのボケを見ているかのようです。
この撮影倍率とボケ味であれば、花の撮影に使ってみたくなります。
まとめ
やはり高倍率ズームは便利でした。レンズ交換の手間が省けるということは、その分だけ撮影に集中できるということで、撮り逃しなどをなくすこともできます。
望遠側は400mmと今までの高倍率ズームの常識を覆すほどの超望遠となっており、撮影の幅が広がりました。今回私が撮影した飛行機や鉄道だけでなく、旅行や山登りにも最適だと感じます。特に山登りやハイキングでは極力荷物を減らしたいところですよね。そして山登りと言えば、山に咲く花などの植物も撮りたいと思う人も多いはず。マクロ的な撮影も可能なこのレンズは、そんな欲求を満たしてくれる最高の1本ではないでしょうか。
気にしていたオートフォーカス性能は、速くて快適というのが第一印象で、動く被写体にも十分対応してくれます。
そして画質。400mm側での画質は若干気にはなるものの、それ以外は想像以上の描写力を実現しています。特に歪曲収差の少なさは素晴らしいの一言です。
その他、簡易防滴構造も施されており、急な雨などでも安心して撮影できます。
レンズ重量が約700gと軽いので、キヤノン・ニコンのエントリーモデルと組み合わせてもそれほどバランスは悪くありませんが、EOS80DやD7500とのバランスは抜群に良くなります。
以上、オールマイティーなこの1本! 色んな被写体を撮りたい方にオススメです。
この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田まで