この所楽しい機材の登場が続く富士フイルムさんですが、今回使ったXF50mmF2 R WRもまた、小型軽量高耐久性で機動性と高画質の両立を実現したレンズです。
従来から似たような焦点距離ではXF56mmが2種ほどラインナップされております。
それらはなかなかに嵩張りAFもちょっぴりのんびり屋さん。また、開放絞りF1.2は大きな魅力ではありながら値段も安くはない物でして。
「開放絞りF2も立派な大口径である」と思える方には、重量半分にして防塵防滴仕様となっているこのXF50mmF2 R WRをオススメしておきたいところです。
されども35判換算では76mm相当となる微妙な焦点距離。「誰もが持つべき」とは言いづらいですが……。
●夜撮り
先ずは、暗所の撮影やボケが期待されると思いますので、玉ボケの塩梅を見てみました。
自転車のベルにAFを合わせて背後の街並み・車のヘッドライトを……と目論んだのですが、なかなか合わず……。
タマの形はF4あたりが一番綺麗かな、と云う印象です。今度はF2.8まで開けてみます。
ボケサイズが大きくはなりますが、周辺では形が崩れ始めました。きっと絞り開放では見事なレモン形になるんだろうな、と思いながら試しましたが。
中央付近しか円形は維持出来なさそうですね。
勿論、玉ボケが特別えらいなんて事もありませんので、この形状にこだわりの無い方は積極的に「絞り開放でしか出来ない事」にチャレンジしていただきたいと思います。
流石に50mm、寄り気味で絞りF2ではAFポイントがちょっとズレてもばれそうですね。
ちょっと距離が取れたなら、F2でもまぁなんとか誤魔化せそう?
中望遠に該当、尚且つ手ぶれ補正機能はありませんので、カメラを信じてちょっとだけ感度を上げ気味で撮影しました。
●逆光撮影
普通に使う分にはかなり逆光には強いように感じられます。画面に太陽を入れても、然程気になるケースは少ないのでは?
画面を太陽に入れつつ、太陽をちょっと遮るような状況になると不思議な影響が出ました。
画面右下にオーブのようなモノが登場しているのが確認できます。
もっとも、こう云った傾向はこのXF50mmF2 R WRに限った事ではありません。総じて、逆光耐性は「結構良い方」と思います。
●最短撮影距離付近
このXF50mmF2 R WRの最短撮影距離は公称約0.39m。
XF23mmシリーズでは、絞り開放の最短撮影距離付近では独特の甘いフレアを楽しめる特性がありましたが、こちらは甘さを見せないタイプのようです。
23mmの甘い描写を見たい方は以上よりどうぞ。
それではXF50mmF2 R WRの近接撮影例をご覧ください。XF23mmシリーズのあの甘さを期待する方は、ちょっとがっかりするかも。
こちらは最短と云える程寄れていませんが、合焦部の切れ味は上々です。
日中使う分にはAFも結構快適に動きますが、AF速度は個人的にはXF23mmF2 R WRの方が一枚上手のように感じます。
風に揺蕩う花にも、サクっと合焦できました。背景との距離次第では、少し絞った方が雰囲気が出易いかもしれません。
開放近くになると、背後の石畳がさっぱり判別できなくなったりします……。
●周辺光量/画質
お約束の周辺光量落ちの具合を見てみましたが、開放では僅かに落ちるものの目立つレベルではないものでした。
光量落ち大好き人間には残念な結果ですが、真面目な用途では実に役立つ傾向です。
右隅部分を拡大しますと。
F5.6 1/1250Sec.
右部分拡大しますと。
●換算76mm
描写はきっちりした良好なレンズですが、この焦点距離が馴染みにくいと云う方も当然いらっしゃるでしょう。
古い世代の方でしたら、昔の標準ズーム「35-70mm」の端っことお考えいただければよろしいかも知れませんね。ちょっと引いて何かを見つめる距離感と云うか。
望遠・圧縮効果まではありませんが、絞ればそこそこ深度を稼げる「50mm」です。
輝くような白さ。その名はダイヤモンド・プリンセス。色滲み無しです。
絞ると見事に切れっ切れの描写となります。
ハマると使いでのある焦点距離ではありますが、この日の横浜は風と太陽が輝く9月の某日。正直、「広角レンズ欲しい~!」と何回叫びたくなったやら。
とはいえ、寸法・性能・お値段等々の面では大いにオススメ出来るレンズでございます。
(レモン社銀座店 松浦)
富士フイルム XF50mmF2 R WR
レンズ構成:7群9枚(ED非球面1枚)
絞り構成:9枚羽根円形絞り・1/3ステップ
最短撮影距離:0.39m
寸法:φ60×59.4
フィルターサイズ:φ46mm
重量:200g
お問合せはナニワグループ各店、またはオンラインショップまで。