全ての意味で大物【ディアドルフ8×10 テネシー】

さて・・・大物が入荷しました。私まえだも久しぶりの一台です

ディアドルフ8×10 テネシー

大判フィールドカメラの中ではサイズもさる事ながら、その精巧さ、堅牢性という点からでも最高峰と言ってもいい一台。

4×5の世界では「リンホフ」のテヒニカシリーズが最高峰の一台として挙げられますがリンホフは質実剛健たる金属製カメラ、しかしディアドルフは見ての通りの「木製」。

ディアドルフはアメリカ合衆国シカゴで創業したカメラメーカーですが、なぜ木製なのか?。

「100年以上使えるカメラ」を目指して生み出されたディアドルフ、気候、経年、長期に渡る使用等でも変化を起こしにくいという所で木製となったそうです。

当時全盛を誇った大英帝国のカメラ(ドイツの隆盛はもう少し後・・・)でも、「トロピカルカメラ」と言って高温多湿の地帯でも変質しにくいフォールディングカメラの素材として木材が使われていた所と通じるでしょう。

ただ、その使われた木材が当時家具や調度品の木材としてもてはやされた北米産のマホガニー材、それを数年かけ乾燥させ、その中から選りすぐりのマホガニー材だけで作られたという精巧さ、堅牢性、環境や経年で変質しにくいというだけでなく「美術品」「工芸品」と言っても過言でない素晴らしい仕上がりのカメラ。

アンセル・アダムスに代表される名だたるカメラマン達に末永く愛用されたのも「信頼し続けられるカメラ」であった証。

ただ、このディアドルフも一度は生産を終えた過去があり、その火を絶やしてはならないと支援したのが・・・

「銀一」「駒村商会」

1992年にテネシー州に移って再生産されるのですが、今日ご紹介のディアドルフ8×10はそのテネシーに移ってからの一台。

この駒村商会さん支援のくだりは、数年後アサヒカメラ誌上で駒村利之社長が連載で語られていたのをまえだ覚えております。

タイトルにわざわざ「テネシー」とうたっているのもそこからです。

再生産と言ってもディアドルフの備えていた高い品質と美しさは全く損なわれておらず、組み立てるとマホガニー材と蛇腹の良い香りがし、各ネジ部や可動部のスムースにしてぴたっと止まる精巧さは「素晴らしい」の一言の一台です。

お値段税込498000円です

神戸元町 まえだ