こんにちは、カメラのナニワ 京都店 です。
今回ご紹介するのはEBCフジノン55/1.8(M42マウント)
70年代のフジの一眼レフ・フジカSTシリーズの標準レンズです。
レンズに施されたEBC(エレクトロ・ビーム・コーティング)は、
その昭和感あるネーミングながら、現在のミラーレス用XFフジノンでも使われていて
そちらは「スーパーEBCコーティング」にパワーアップしています。
カラフルな被写界深度指標。オートニッコールなどで見慣れている方もいるでは、
何回かマイナーチェンジしているのですが、今回試写したのは
フジカST801とセットであった最終型になります。
鏡筒デザイン自体はなんだかチープで「廉価版」といった感じですが
金属製の鏡筒ですので重みがあります。
M42フジノンをアダプター経由で使う場合、注意点があります。
実はマウントこそM42ねじ込みですが、独自改良を加えられていて、
一般的なM42マウントアダプターだと、
追加された「開放測光用絞り連動爪(画像)」が干渉してしまい
最後までねじ込めず、金属やすりなどで削る必要があります。
(爪を切るのは改造に当たるので、自己責任でお願いします)
また、絞り連動ピンの位置がペンタックスなどとは異なるので、
使うならピン押し対応のマウントアダプターで。
もしフイルムカメラで使う場合なら、
純正であるフジカボディにすべきでしょう。
さて、使用前の壁こそありましたが
果たしてオールド・フジノンの実力はいかに。
作例
Panasonic GX7 MarkII+EBC FUJINON 55/1.8
最短撮影距離は45cm、ぎりぎりまで寄ってみました。
雨粒と葉の質感が瑞々しく出ていて、湿度のある表現がかなり得意のよう。
柔らかめの写りですが、ピントが合った場所の解像感はピカイチ。
逆光での程よい柔らかさと色味、飛ばし気味のこの画だけ見ると
ちょっとフランスのレンズっぽいかも。
ゆったりと、うるさすぎないボケ。
構成枚数の少ないダブルガウス型の古典的な設計ですが、
これだけ良く写るのには、当時のフジの設計技術の高さを感じます。
現代でも通用する写りですが、ピント部分の若干の「にじみ」が
オールドレンズらしさを思い出させてくれます。
開放から色ノリ、コントラストは良好で鮮やかな発色。
メリハリの利いた絵を出してくれるので、
フイルムで使うならポジを詰めて、プリントもしたくなりますね。
柔らかさと色の締まりをモノクロでも遺憾なく発揮。
描写自体は個人的ですが、背景のボケを少し柔らかくした
ライカ・ズミクロンのような印象ですね。
いかがでしたでしょうか。
フジノン、見た目に反して結構な実力者でした。
70年代銀塩一眼レフ激戦時代、フジカは競合ライバルに埋もれて
結構地味なイメージでしたが…その実は
フイルムメーカーらしい、しっかりとした写りで
昔からいいレンズを作っていたという事が解ります。
先述の加工さえすれば新フジx旧フジ 夢の競演も可能ですので、
ご興味のある方はぜひ、カメラのナニワ京都店へどうぞ。