価格の高いライカ
断っておくが、新品の話ではなく、中古の話である。
通常、ライカB型(旧コンパー付。あまりB型という言い方はしないが)が中古市場で高いとされる。
しかし、どうも、そればかりではないようだ。
70年代のエルンストライツ社経営危機の時、大幅な人員整理が行われ、
M型の生産はカナダライツに移された。
その際、出るはずの無い試作品が持ち出され、市場に流れた。
その中に、ブームに乗って、試作したと思われるライカ110(ズミクロンF2付)が存在する。
110ポケットカメラは、キヤノン/ミノルタ/フジ/アグファ/コニカ/リコー/ローライ/コパルとそうそうたるメーカーが作ったが、
中判のハッセル/マミヤ/ブロニカが無いのは判るが、ライカは無かった。
当時ブームに乗り遅れまいと、試作だけはしたらしい。
近年のライカ本に掲載されることがあるが、ライカ本の名著故中川一夫氏の『ライカの歴史』にはない。
ただし、『カメラレビュークラッシックカメラ専科』に中川氏が連載された、「ライカ物語」にはある。
『ライカの歴史』は60年代で、110は影も形もなく、「ライカ物語」は80年代後半から90年代に書かれており、
えっ、
「お前は、実物を見たことがあるのか」
って?
コレクターが持っているだろうから、見たことはない。
他にも、試作品は市場に流れたらしい。
カメラは発売されなかったが、何故か、110判用のプラドビットプロジェクターだけは発売された。
コダクロームやエクタクロームの110判があり、パーティーでスライド上映をする文化がある、欧米向けに作ったと思われる。
ライカ物語によれば、110プロジェクターが入荷したころ、シュミット(当時のライカ輸入元)に行った中川氏は、故明石正巳氏(シュミット営業部長)が困っていたので、買ったという。
初代のフジ写るんですは、110判のフィルムで、カートリッジを簡単に取り出せたので、
親父は、カートリッジだけ抜き出して現像に出し、
エクタクロームを詰め替えて写したことがある。
コニカやアグファ、コダックやフジもやめた110フィルムは、LOMOが復活させた。ライカ110を使って撮ってみたいのは、果てしない夢であろう。