こんにちは。カメラ担当の池田です。
さて今回は、2017年8月に発売されましたキヤノンEOS6D MarkIIの使用レビューをお届けしたいと思います。
前モデルのEOS6Dは軽量フルサイズ一眼レフとして2012年12月発売され脚光を浴びました。EOS6D MarkⅡはその後継機種として、約5年の時を経て登場してきました。
初代EOS6Dが発売されてから約5年も経過していますので、もちろんのことEOS6D MarkIIは大きな進化を遂げています。
主な進化点
- オートフォーカス性能が大幅にアップ! 測距点が11点(中央のみクロスセンサー)から45点オールクロスセンサーになり、動く被写体の撮影にも強くなりました。
- 連写性能が向上! 約4.5コマ/秒から約6.5コマ/秒へと連写スピードが速くなり、一瞬のチャンスを逃さなくなりました。
- ライブビュー撮影が快適に! 初代EOS6Dではライブビュー撮影時のオートフォーカスのスピードが遅かったのですが、MarkIIではそのスピードがとても速くなり快適に撮影できるようになりました。
- バリアングル液晶を搭載! MarKIIではバリアングルのタッチパネル液晶が採用され、色んなアングルで自由に快適に撮影できるようになりました。
- 映像エンジンがDIGIC5+から最新のDIGIC7に! 映像エンジンが進化したことで、高感度時のノイズが低減。常用ISO感度がISO25600からISO40000にアップしました。
以上、他にも細かいところや動画の機能などで進化していますが、注目すべき進化点は上記5点ではないでしょうか。
上記以外のスペック
- 約2620万画素フルサイズセンサー
- 防塵・防滴構造
- ホワイトバランスに「雰囲気優先」と「ホワイト優先」が追加
- ピクチャースタイルに「ディテール重視」が追加
- GPS内蔵&ロガー機能搭載
- 進化したEOSムービー。EOS初の4Kタイムラプス動画機能や動画サーボAF機能を搭載
以上、少し文字が多くなりましたので、ここからはEOS6D MarkIIで撮影した画像とそのレビューをご覧いただければと思います。
作例写真
それぞれの拡大画像
大阪駅前で高感度性能のテスト。初代EOS6Dの時でも高感度性能は抜群に良かったと感じていたのですが、映像エンジンが進化したことで、さらに高感度でもキレイな画像が得られるようになりました。ISO12800は常用として使用してもまったく問題のないレベルで、ISO25600でもノイズが少し目立つようになるものの十分使えると感じました。そして何より驚いたのがISO40000での画質。普通、ISO感度の上限ではかなりのノイズ量で、画質に大きな影響を与えていたのですが、このカメラは上限ISO感度でも緊急時には十分使えるレベルの画質までもってきています。写真のように大きく拡大すればノイズやカラーバランスの崩れも目立ちますが、パソコンのモニターでパッと見た感じでは十分使えると思いました。これも最新の映像エンジンDIGIC7の力なのでしょう。
雪の積もった斜面をソリで遊ぶ子供を狙いました。カメラの設定は、オートフォーカスモードはAIサーボ、測距点はゾーン(中央部)、ドライブモードは高速連写にしています。ここでは1枚の写真しか掲載しませんが、前後の写真すべてにピントは合っており、速くなった連写性能のおかげで、表情の違うバリエーション豊かな写真を撮影することができました。オートフォーカス性能はかなり信頼のできるものに進化を遂げていました。
同じくオートフォーカスの性能を、被写体を変えて鉄道でテスト。設定は雪遊びの写真とほぼ同じです。高速で向かって来る列車を狙ってみましたが、何の問題もなく撮影できました。フルサイズ機で動く被写体を安心して撮影できるようになったのはありがたいです。
流し撮りに挑戦。正面から走ってくる列車ではなく、走り去ってゆく列車という難しい状況で流し撮り。でも何とか止まってくれました。オートフォーカスはしっかり追っかけてくれていましたので、あとは私の腕だけの問題でした。
同じく鉄道を狙った1枚。しかし、この写真の撮影時の設定はオートフォーカスモードはワンショット、測距点は1点、ドライブモードは高速連写にして、あらかじめピントを合わせておく「置きピン」で撮影しています。なぜ、動いている被写体なのにAIサーボにしなかったのか。それにはちゃんとした理由があります。
EOS6D MarkIIは45点測距と測距点の数だけを見ればとても進化したと感じるのですが、残念なことに、測距点が中心部に集中しているのです。上の写真の場合、機関車の正面にピントを合わせたいのですが、その位置には測距点がないのです。それで仕方なく、置きピンで撮影した訳です。同じ45点測距のキヤノンEOS80DはAPS-Cサイズのセンサーであるためか、かなり広いエリアをカバーしています。個人的にはもう少しオートフォーカスエリアを広くして欲しかったと感じました。
ただこれもファインダーで撮影する場合の話で、ライブビューなら撮像画面内の約80%のエリアでオートフォーカスが可能ですので、動きものではなく、普通に撮影するならまず問題はないでしょう。
フルサイズ機で撮影したい被写体のひとつとして、やはり風景写真があります。フルサイズ機ならではの広いダイナミックレンジと豊かな階調再現、そして繊細な描写。最近のAPS-Cサイズやマイクロフォーサーズのカメラでも十分な描写性能ですが、やはりフルサイズ機に軍配があがります。1枚目の写真では木の枝先の細部までしっかり描写してくれていますし、2枚目の写真では雪が白とびすることなく、階調豊かに描写されました。
超広角から望遠までラインナップされた高品位のLレンズを、その画角で撮影できるのも嬉しい限りです。APS-Cサイズ機に超広角Lレンズ(EF16-35/2.8LIIIなど)を装着をしても画角は超広角にならないですからね。
この日の撮影条件はマイナス10℃と厳しい冷え込み。このような時は手袋をしていても指先は感覚が鈍ります。このような時はライブビュー撮影に限ります。オートフォーカススピードも前モデルより格段に速くなり、液晶もタッチパネルになったことで、オートフォーカスポイントの選択をタッチでできるのはとてもありがたかったです。指の感覚が鈍っているときに、ボタンを押したり、ダイヤルを回したりするのは結構つらいです。実際この日の風景撮影では、ほとんどライブビューで撮影しました。
ライブビュー時のオートフォーカスが速くなったことで撮影はとても快適で、さらに液晶がバリアングルになったことで撮影の自由度が高まりました。上の写真は地面スレスレのローアングルで撮影していますが、液晶が動くことで楽な姿勢で撮影ができました。ローアングルだけでなく、手前に人がいる場合には腕を伸ばしてハイアングルで撮影することもできます。
まとめ
765gという小型軽量ボディでありながら、フルサイズの高画質が楽しめるのは嬉しいですね。機動性は抜群です。液晶がバリアングルなったことと、ライブビュー撮影時のオートフォーカスが速くなったことで撮影の自由度がグッと良くなりました。日頃撮らなかったアングルで撮影したりと、自分の作品に変化をもたらすことができます。
また、オートフォーカス進化と測距点の数のアップ、連写性能アップは、動く被写体だけでなく、あらゆるシーンで使用することを考えて開発された感じです。このあたりは、初代EOS6Dで少し不満を感じていた部分ですので、そこはしっかり改善してくれました。
魅力たっぷりのカメラで大きな不満はないのですが、敢えて辛口な意見を言うと、ファインダーの視野率は100%にして欲しかったと思います。ニコンの同じクラスに相当するD750は視野率約100%です。今の高画素のデジタル時代に視野率100%がいるのか、トリミングすればいいだろうという声もあるでしょうが、ファインダーを覗いての撮影をすることも多いので、ここはこだわって欲しかったですね。
以上、長々と書いてしまいましたが、価格と機能のバランスがとれた素晴らしい1台です。EOS5D MarkIVは高くて重いという方にはオススメです。軽くても良い仕事をしてくれますよ!
この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田まで