国産銀塩感材の滅亡?
ご存じのように、フジフィルムが、ネオパン100アクロスの135と120、フジブロWPの白黒感光材料の生産終了を発表した。
サクラ(現コニカミノルタ)が、フォト事業から撤退したのは、何年前だろうか?
コダックが、チャプター11の適用を受け、フォト部門はコダックソラリスとなり、アグファゲバルトから独立したアグファフォトも、倒産した。
カラーフィルムに使われる銀塩の技術
カラーフィルムにも、銀が塗ってあることをご存知だろうか。
光の3原色に感じるようにした3種類の銀(乳剤と云う)と、カプラーと呼ばれる色素の基、現像液の主薬の3点セットでカラー画像が出来る。
ほとんどのカラーフィルムには、白黒フィルムと同程度の厚さの中に、十数層も塗られている。
この技術があったので、コニカもフジもビデオテープやオーディオテープを生産した。カラーフィルムを生産したのは、コダック、フジ、サクラアグファ、戦前のアグファの流れを汲むオルボ(旧東独)。
中国はコダックの工場が90年代だったと思うが有り、一時期コダカラーを生産した。
サクラのフィルムは既に無く、フジのフィルムは一般用のみとなり映画用はない。
コダックは、ハリウッドの強い要請らしく映画用フィルムは続行し、一般用は英コダック年金運用基金が親会社の、ソラリスが生産している。
無くなりつつあるフィルムたち
以前、銀に感光性を持たせた後、熟成の時間によって感度が、変化すると教えていただいたことがある。
T粒子を採用しているTマックスがあれば、トライXの存在価値は無くなり、T粒子のエクターの乳剤との互換性が持たせられるとも。
フジもカラーネガの1600が無くなり、同100と400の乳剤のみで、多少楽にはなっただろうが、本数は低下している。
それらに伴うフィルム価格や現像料の高騰、納期の増加はラボの減少はあるにせよ、いささかキツイ。
銀塩文化を絶やさないために
銀塩文化の存続云々と言われた方がおられる。
一部の映画会社は、年1でフィルムを使って1本作るという。
フィルムチェンジ等技術伝承の為だと聞く。
あまり良い言い方ではないが、慈善事業をしているわけではないので、売れなければという考えも理解できる。
ただ、せっかくの文化であり、再構築は出来なかったのかと思う。
「親父が何を言うか!」と言われるが、銀塩カメラを使い白黒を自分で現像し、
時々かき集めたフラッシュバルブを使っている親父にとっては、1つのブランドは無くなることは寂しい。これ以上無くならないでほしい。
最近、仲間とつるんで、白黒フィルムを個人輸入した。
手に入る限り、周辺機器が手に入る限り、白黒フィルム、いや銀塩フィルムは使い続けたい。
銀塩文化を絶やさないために。
(今回より、銀座教会店で、アップさせていただく。これからも飽きずにお読みいただけると幸いである)