今回はニコンの大口径単焦点レンズ、AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G EDをご紹介いたします。
深い被写界深度と豊かなボケ味を両立させる大口径の魅力を併せもつ広角レンズです。きれっきれの描写も試したいところではありますが気になるのは大口径ならではの描写です。この点はじっくりと楽しませていただくとして・・・
まずは、広角レンズの定番的な使い方で絞った条件からご紹介です。
- 深い被写界深度
焦点距離が短いので当然被写界深度は深いのですが、前景から奥まで画質の崩れを感じないキレのある描写が魅力です。
光量の充分なシチュエーションであれば、F11程度まで絞っても画質の低下は感じません。手前から奥まで、ソリッドな質感を維持してくれます。
光量の少ない状況でも、焦点距離の短さ故の深い被写界深度に頼れます。
鎌倉の名所、銭洗弁天の石窟には観光客や遠足の児童がひっきりなしにお金を洗いに来ます。子供のうちから資金洗浄のノウハウを身をもって覚える・・・なんて課外授業ではありません。多分。
立て看板に合焦させて撮影していますが、まぁ奥までギリギリ許容できる範囲にはなったかと。
- 広い画角
広角レンズなので当然画角は広いわけです。
子供じみた事を申し上げてお恥ずかしいのですが、当然空や雲を取り込む範囲も広くなりますし、グラデーションもつけやすくなります。故に、楽しい♪となります。
絞り開放あたりでは周辺光量もいくらか落ちるので、特にグラデーションを強調し易いですね。少し見上げるくらいのアングルともなれば、天頂近くの深い闇まで画角に入って来ます。
肉眼では割とのっぺりした曇天でも、24mmでは予想以上の範囲の雲が取り込めます。少しアンダーに振ってあげれば、のっぺり雲もなかなか表情豊かに趣を変えてくれます。
- 大口径のお楽しみ
続きましてはF1.4~F2辺りでの撮影です。9枚羽根円形絞りと云うこともあって、期待しつつ撮影に臨みました。
正直云えばF1.4で近接となるとかなりピントがシビアになりますが、ほんわかとした滲みを感じる描写になります。オールドレンズの様なボヤボヤ~っとした滲みではありませんが、なかなかに上品な甘さと云うか・・・切れっきれな性格とこの甘さのギャップに萌えます。
ある程度「芯」のある柔らかさが欲しいならF2辺りがベストでしょうか。それでも背後の鳥居はとろっとろにボケています。
絞り開放での引いた撮影では
だいぶユルユルな描写ですね。四隅の周辺光量落ちは控え目な印象です。以前AF-S NIKKOR 28mm f/1.8Gを試用した際はもっと強烈に光量落ちが出ていたように記憶しております。
- 逆光条件
褒めてばかりじゃ面白くないので、今度は試練を。
まずはド逆光条件で一枚。さっきの写真と似ている、なんて気のせいです。
堤防右手のちょっとユルユリな2人が画になってパチリと。真正面から太陽を入れてますが、この時は逆光の悪影響はありませんでした。
で、少しだけ浜辺の入れ具合を弄ったり波のタイミング待ちをしてたりしてややアングルがずれたらば。
太陽真正面、もう1カット。
ごくごく僅かに、シャドウ部がモヤっとしてる・・・かも知れませんが、この条件でこの描写なら、素直に立派なもんだと思います。
ズームレンズを使っている際はファインダを覗きつつズーミングして「これくらいが丁度良い・・・けど、今って何ミリなんだっけ?」なんて事がちょいちょいありますが、単焦点レンズはそんなモヤモヤとは無縁です。文化包丁のように何でもできる、と云うワケではありませんが、刺身包丁のような特化した凄みと使いこなす楽しみが単焦点レンズの魅力ではないでしょうか・・・
絞り込んで良し、開けてボカして良しのこのAF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED。軽からず安からず・・・ではありますが、ご購入ご検討の際は是非ともレモン社又はナニワオンラインまでご用命下さいませ。
ニコン AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED
レンズ構成:11群14枚(EDレンズx2・非球面レンズx3)
絞り構成:9枚羽根円形絞り
最短撮影距離:0.25m
寸法:φ83×88.5mm
重量:約620g
フィルター径:φ77mm
撮影地:鎌倉・由比ヶ浜・江ノ島界隈
レモン社銀座店 松浦