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【撮影テクニック】天体写真入門「月を撮ってみよう」

こんにちは、カメラのナニワ西梅田店です。

朝晩涼しくなり空気も澄んで見上げる星空もハッキリときれいになって来て「この星空撮ってみたいなあ・・・。」と思われる方も多いかと思います。

でも・・・「天体写真ってどう撮ったらイイの?」という所で、今回は一番身近な「月」の撮り方をお話したいと思います。

何と言っても「お月見」もありますしね

 

まずは、月の撮影について

○月の写る大きさはどれくらい?

ざっくり言うと焦点距離の100分の1の大きさで写ります。
35ミリフルサイズセンサーでお話しますと、50ミリレンズであればフィルム面上あるいはセンサー上に0.5ミリ、100ミリレンズであれば1ミリの大きさで写ります。
この値はフルサイズの短辺の1/48、もしくは1/24の大きさです。
これをL判(89x127mm)に引伸ばすと89ミリ÷24ミリ=3.7倍の大きさになりますので
50ミリでしたら約2ミリ、100ミリでしたら約4ミリの大きさで写真に再現されます。

ですので、APS-Cサイズセンサー機やそれ以外のセンサー機ですと「35ミリ判の換算値」でお考え頂ければと思います。

 



APS-Cにて56ミリ相当(レンズ画角35ミリ)

 

 

APS-Cにて112ミリ相当(レンズ画角70ミリ)


○月の露出

では、今度はもう少し大きく、同じAPS-Cサイズセンサーのカメラで200ミリレンズ、換算320ミリ相当の画角、スポット測光マニュアル露出で撮ってみました。

 

 

 

指値はf8 1/50秒。
先で述べた写る大きさですが、320ミリ相当ですと縦に月が8個並ぶくらいなのがお分かりいただけるかと思います。


ただこの大きさでさえスポット測光の範囲内より月が小さく、周囲の闇に引っ張られて月の模様が白く飛び「露出オーバー」です。


それでは、月の適正露出はどのくらいなのでしょうか?。



「満月の場合、月は空中に浮かぶ順光の岩石であり、順光の通常露出が当てはまる」と昔のカメラ雑誌で読んだことがあります。
そこに記されていたのが下記の数値です(感度100で記されていたものを400に修正)。

(ISO400)
絞り f8
三日月 1/60
半月 1/500
満月 1/1000

1/1000秒で絞りf8...確かに晴天順光の露出値です。


しかし、目の前の同じ空気の被写体からカメラに届く光と約38万8000kmの真空の彼方から大気圏を通って届く光を同じにとらえていいものかどうか・・・


季節や風による空気の澄み具合や気温、湿度によっても数値は変わってくるのではないかという疑問が生じます。



で、試してみました。


8月18日夜、位置は南の空ほぼ真上。
機材は先の条件と同じです。


1/125 f8

1/250 f8


1/500 f8

1/1000 f8

1/125秒は明らかにオーバーで他は何とも言えない結果が出てきました。
次はレンズを換えてもう少し大きく撮ってみました。
400ミリ、換算640ミリ相当です。

1/250 f8


1/500 f8

1/1000 f8
640mm相当になると1/250もオーバー気味に見えてきました。
次は、この画像拡大して少し見てみましょう



1/500 f8

1/1000 f8

適正露出が明るすぎず、暗すぎずという見方をすれば 1/1000秒、f8は決してアンダーとは言えないと思われます。
「空中に浮かぶ岩石」ととらえれば縁のクレーターの部分など適性の範囲に収まるのではないかと思われます。
半月も試しておりました。
半月を少し通り過ぎていますが、上記の表の指値は1/500秒f8です。
こちらもAPS-Cで200ミリレンズ、320ミリ相当の画角です。



1/60 f8

1/125 f8



1/250 f8

1/500 f8
光が当たっている部分や境目の部分など見るとどれが適正か難しいところですが
闇の部分が多いので月自体が適正に近いと全体が暗く感じます。
光っているものを撮るのですからオーバー気味に持っていくほうが良いのかもしれません。
また最初に述べました月の写る大きさによっても露出を変える必要がありそうです。ちなみに最初の2枚の半月は1/125秒f8で撮っています。
少なくとも、この表はこれ以上露出を切り詰める必要はないという意味では使えそうです。
最低2段分のブラケティング(段階露出)は必要と思われます。
手持ちで上を向いての撮影になりますと手ブレ補正があればご利用いただいたほうがよろしいかと思います。
でもやっぱりしんどい姿勢になりますので、できれば三脚利用が確実かと思います。

特に可動式の液晶が備わっていればライブビュー撮影が無理なく行えてオススメです・・・ただ、電池消耗が早いので予備電池の用意や外部電源が使える機種であれば、そちらからの電源供給が安心かと思います。

今回、天体撮影入門編としてお送りさせて頂きましたが「お月様が綺麗なあ・・・」とか思ったら一度挑戦して頂きたい撮影です。

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