今回はレンジファインダー用標準レンズ、カールツァイス C ゾナー T*1.5/50 ZMを使ってみました。
ところでCゾナーの名称に含まれている「C」についてご説明申し上げますと、「Classic」の「C」と云うことでご理解下さいませ。「COSINA」の「C」ではありません・・・多分・・・きっと。
- 世評をざっとまとめると、旧来から続いたゾナータイプのレンズ構成を継承した現代判クラシックレンズと云ったところでしょうか。コンディションの良いオールドレンズがなかなか見つけにくい(見つかっても高額な場合が多い)このご時勢にあっては魅力的な存在かと思います。
もっとも、同じくコシナさんからはノクトンシリーズも発売されているので、選択に悩むところではありますが・・・
レンジファインダー用レンズではありますが、今回はα7にアダプターを介して装着試用となりました。
*以下、画像は「右クリック⇒新しいタブで開く」で拡大できます。
●長めの最短撮影距離
ZMシリーズの同じ焦点距離であるプラナーや、VMのノクトンF1.5、F1.2が最短撮影距離0.7mであるのに対し、こちらの C ゾナー T*1.5/50 ZMの最短撮影距離は0.9m。
この点もクラシカルな仕様と云う事で納得・・・が出来ない方もいらっしゃるかも知れません。
特に普段から一眼レフ/ミラーレスを使い慣れていると尚更ではないかと。今回はα7に装着するに際し、VM-E クローズフォーカスアダプターを使っています。
まずは、普通に最短撮影距離付近で。
そして、クローズフォーカスアダプターを繰り出した状態での最短撮影距離から僅かに引いた状態で。
花の撮影等のマクロ的な使用にはとても耐えませんが、テーブルフォト等にはギリギリ間に合うかな、と云ったレベルまで使い勝手が向上します。フルサイズミラーレス機でレンジファインダーレンズを使おうとお考えの方は、シンプルなマウントアダプターと比べると割高ではありますが、御一考の価値ありかと思います。
勿論、最短撮影距離0.9mの条件でも、被写体と背景との距離があれば充分ボケを稼げます。
F5.6でもこの程度。絞り開放となると・・・
もはや背景のお地蔵様たちがすっかり溶けてしまいましたが、ボケの形状はこの条件では上々な印象。
- 開放が楽しい・・・甘めの四隅、周辺光量
絞り開放では四隅が甘めになるのはよくある事として、ちょっと絞ったくらいでもまだ甘さ(緩さ)の感じられる描写と感じられました。
一見してシャッキリしているのですが、右下あたりを拡大しますと。
画面中央の「OH」あたりは上々の結像ですが、特に右側隅はアウトフォーカスどうこう以前に甘く緩い仕上がり。当然のように絞り開放ではこの傾向が顕著になり、独特の描写が楽しめるようになります。日中は最高シャッター速度の問題はありますが、積極的に試していただきたい特長ですね。
F1.5
何ともレトロな緩み方・・・この時は周辺光量落ちも大きく出てきました。
50mmと云うのは決して画角の広いレンズではありませんが、やや見上げるアングル故か、夕間暮れの空と相まって光量落ちを大きくできました。
大口径F1.5のレンズですから、最短撮影距離はやや長いながら大きなボケ味を楽しみやすいレンズです。
- ちょっとしたクセ
しかしながら、条件によってはボケ味にちょっとクセが出るケースもあります。
特に木々の枝ぶり・草花等ではやや古臭い感触のクセが感じられる場合がしばしば。
とにかくキレイキレイなボケ味に慣れてしまうと、ちょっとこんな具合の古臭いクセも乙に感じられてしまうのが不思議です。
玉ボケについても、周辺側はちっとも丸く感じられない場合があります。
隅に向かうにつれ、光源の形が妙なことになってしまいました。今回は他にもあれこれ点光源の入った夜景を撮りましたが、開放時ではこれが当たり前のようです。流石「C」ゾナー、律儀にコマ収差も継承しちゃってる模様です♪
でも、そこが「C」の「C」たる所かも!。
そんなこんなで、いささか取っ付き難いところもある C ゾナー T*1.5/50 ZMではありますが、クラシカルな性格のレンズをご所望の方にはちょっとオススメしてみたいレンズです。画面全域できっちり・・・と云った性格のレンズをお探しでしたら、まぁ一旦選択肢から外した方が良さそうです。
カールツァイス C ゾナー T*1.5/50 ZM
レンズ構成:4群6枚
絞り構成:10枚羽根虹彩絞り・1/3ステップ
寸法:φ55.6mm×38.2mm
フィルター径:φ46mm
重量:250g
お問合せはレモン社
又はナニワオンラインまでどうぞ。
C ゾナー T*1.5/50 ZM ブラック
C ゾナー T*1.5/50 ZM シルバー
ブログ作成:レモン社銀座教会店 松浦