こんにちは 心斎橋買取センターの たつみです。
今回は、オリンパスのハーフ判カメラPENシリーズとその一眼レフ PEN-Fシリーズにまつわるお話です
ファミリーカメラの幕開け
今から約60年前、大学卒の初任給が約1万円という時代。
カメラは非常に高価な品物でした。いわゆる安価な普及モデルでも2万円ほど。
(結納返しにカメラを送るという方々もおられたとか。。)
そのさなかに登場したのが、オリンパスPEN(1959年発売)でした。
当時としては破格の6千円!(といっても購入するのに給料の半分はつぎ込む形でしたが。。)
※写真は PEN-EES 1962年4月発売
小型で軽量のボディーに35ミリフイルムの半分のサイズ(18×24ミリ)にする事でコスパも実現。
その後、改良と仕様変更を施され30年近く生産。その数なんと累計1,700万台!
先ごろまでは、『自宅の物入れを探せばPENが出てくる!』と比喩されるぐらい。
これらがファミリーカメラと呼ばれる所以になったのでしょうね。
唯一無二の存在
さて、オリンパスハーフカメラの中で異彩を放つのが一眼レフ PEN-Fシリーズです
(といっても現在発売されているミラーレス一眼ではありません。。)
発売は初代PENから4年後の1963年。※東京オリンピックは64年(すいません、当初65年としてました……)
コンセプトはそのままに、レンズ交換を実現するという意欲作です。
このカメラのすごいところは、一眼レフではおなじみのペンタ部の出っ張りがないところ。
その為に、普通は上下に稼働するミラーを縦置きにし、光を屈折させて接眼レンズへと導くポロプリズムファインダーを採用しました。
さらに、シャッターは当時主流であった布幕シャッターとは一線を画し、チタン素材のロータリー式。
これらの構造は現在に至るまでオリンパスPENシリーズのみ。まさに唯一無二の存在のカメラです
バリエーションとレンズラインナップ
初期PEN-Fからさらに3年後の1966年(昭和41年)、大幅な改良をされた『PEN-FT』が登場
主な変更点は。。
①巻上が2回式から1回式に
②TTL露出計を内蔵
③スクリ-ンがマイクロプリズム式に
④セルフタイマーを追加
この改良でより使いやすくなり、現在PEN-Fシリーズで一番見かける機種となりました。
そして翌1967年(昭和42年)にはFTから露出計を省いたPEN-FVを発売しました。
一方レンズは焦点距離20ミリから800ミリ、さらにマクロレンズやズームまでラインナップされました。
また後に発売されるOMレンズ用のマウントアダプターも用意されシステムの充実ぶりが伺いしれます。
ちなみにPEN-F用の○○ミリはハーフサイズの表記で、一般的な35ミリ版に換算する時は約1.4倍が目安となっています
最後に。。
様々な魅力に包まれているPEN-Fシリーズ。
他社の一眼レフにはないスタイルを求める方にはうってつけの1台だと思います。
残念ながら交換レンズの品数が少ないのとFTの露出計電池がH-D(MR9)を使用するのでいささか入手困難。(代替電池やアダプターなどで対応可能)
また製造後50年前後になっているのでファインダーの不具合や低速不良の物が多く見受けられます。
出来る限り台数をチェックしてより良い1台を見つけて頂ければと思います。