デジタルカメラでここまでできるモノクロ写真 といってもニコン限定

こんにちは。カメラのナニワ神戸元町店の平田です。

以前、山形県の肘折温泉に行ったときのこと、レトロな(←いい言葉ですね、古びたとか言うとイメージ悪いし…、って、言ってるし)温泉街を歩いているときに、ふとモノクロで撮ってみようかと思い立ちました。


モノクロをちゃんと撮っていたのは、まだワタクシがうら若き(?)大学生の頃で、自宅でフィルム現像からプリントまでしておりました(というか、写真の学校に通ってました)。


それ以降、たま~に思い立ってフィルムで数本撮りましたが、今回急にデジタルで撮ってみようと思ったのは、肘折温泉の古い、いや、レトロな町並みがモノクロに合いそうだったからでしょうか。


〈(とりあえず)実践編〉

でも持っているカメラは、デジタル一眼レフのニコンD500。特にモノクロに強いというわけではありません。で、モノクロへの切り替え方も知らないまま、とりあえずメニュー画面を開いて、「ピクチャーコントロール」のところを見ると、「モノクローム」ってのがありました!いつもRAWで撮影しているワタクシ、ピクチャーコントロールのところはほぼ操作したことがなかったんですよねー(と、カメラ店店員のくせに、そんなことも知らないの?というお声に対する言い訳)。


続いてそこを開くと、なにやらいろいろな項目が…。カラーの撮影でもおなじみの、「輪郭強調」や「コントラスト」などの下に「フィルター効果」や「調色」っていう項目があるではないですか!

意外といろいろできそうだけど、考えるのも面倒だったので、コントラスト高めが好きなワタクシは、フィルター効果を「O(オー:オレンジ)」にして…、


いざ撮影!


モニターで確認すると結構いい感じやん!


カラーで撮ると、なんてことのない古い、いや、レトロな(しつこい?)町並みが、モノクロにするだけで何か作品ぽいじゃ~ん。

こんな感じが

こんな感じに。


てなわけで、多少の「撮らされてる感」や「モノクロにすると、なんか渋くなってうまくなってる気がする感」には気づかない振りをしてパシャパシャと撮ってみました。


〈(大げさに言えば)考察編〉

このときは面倒で、設定についてあまり考えることなく撮っていましたが、自分の好みの設定を探してみようと思い立ち、今回さまざまな設定で撮り比べてみました。一番試したかったのは、ニコンの「ピクチャーコントロール」の「モノクローム」の中には「コントラスト」と「フィルター効果」という項目があり、どちらを使用してもコントラストを上げられます(「フィルター効果」では下げることはできません)。「じゃあ、どっちを使えばいいの」ということで試してみました。


まず「フィルター効果」のうち、コントラストを上げるフィルター効果3種を見ていきます。画面の一部を拡大したものですが、左からY(イエロー)フィルター、O(オレンジ)フィルター、R(レッド)フィルターの順です。 

画面中央「DIAMOND…」と書かれたところに注目していただくと、右に行くほどコントラストが強くなっているのがお分かりいただけると思います。そして右に行くほど文字の周りが黒くなっていきます。本来文字の周りの色は濃いめの水色なので、Rフィルターは強調し過ぎの感があります。

しかし、水色という寒色が暗く表現されるのは、まさにモノクロフィルムにコントラストアップ用のフィルターを使用したかのようで、モノクロフィルムを使っていたワタクシとしては、こちらのほうが見慣れているとも言えます。


次に同じ写真の別の部分をみてみましょう。

上で見たいただいた部分の少し右側を拡大しています。右の写真がややコントラストが強いようにも感じられますが、正直ワタクシの「ダメ目」ではよくわかりません。


続いて「コントラスト」を変更したものを見てみましょう。

左からコントラスト+1、+2、+3の順です。右に行くほど白と黒のメリハリが強くなっているのがわかります。また「フィルター効果」では「DIAMOND…」の周りの色が、Rフィルターに設定するとほぼ黒くなってしまったのに対して、こちらは自然な印象です。

続いてフィルター効果同様、コントラストを調整した3画像の右側部分です。

これならワタクシの「ダメ目」でもわかります。右に行くほどクッキリしていくのがわかります。


これらからわかった「コントラスト」と「フィルター効果」の使い分けはこんなところでしょうか。

色によっての偏りなく、自然にメリハリをつけたいのであれば「コントラスト」を、モノクロフィルムと同じような仕上がりを求めるなら、「フィルター効果」を調整するのが良さそうです。※個人の感想です。効果には個人差があります



その他こんな設定もあります。

これは「調色」設定を変更したものです。モノクロ写真ではありがちな「セピア」の数値を変えながら撮ってみました。それぞれの数値は、左上:+1、右上:+2、左下:+4、右下:+7(最強)です。被写体によってははまりそうですが、濃い色はいかにも感が出てしまうように思います。個人的には+1、+2あたりなら使えそうかなあ。

それから「調色」にはこんなのもあります。

「サイアノタイプ」を変更してみました。

(メニュー画面ではCyanotypeとアルファベットで表記されているのですが、「シアノ」と読まずにちゃんと「サイアノ」と読めるところがさすがカメラ店店員です!(「ピクチャーコントロール」の「モノクローム」知らなかったくせに!)

こちらは同じく「調色」内の、左から「イエロー」「ブルーグリーン」「ちょっとやってみましたが、これは使わないかなあという印象。※個人の感想です。効果には個人差があります

でも効果を弱めてオーバーめの露出にすると、

こんなんもアリかなあと思えます(スミマセン。上と色の並びが違ってます)。

調色は薄めが良さそうに思いますが、被写体とカラーがマッチしていないと逆効果にもなりかねません。

いろいろ設定ができてしまうので、撮るとき1カットごとに迷いそうです。というか、そもそもデジタルカメラは、カラーで撮るかモノクロで撮るかを1コマごとにでも変えられるので、そこから迷いそう。実際現地でも、モノクロで撮ったとこカラーに変えて撮ったりしていました。


と思ってたら、「ピクチャーコントロール」を「モノクローム」にしてても、RAWにはカラーの情報も残っているということにさっき気づきました(大丈夫かなあ、この店員さん)。


撮影機材:ニコンD500、AF-S DX 16-80/2.8-4E ED VR、※考察編はAF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR