一昔前の交換レンズのそろえ方について

今では一眼レフに最初に付いているレンズは焦点距離を自由に変えられるズームレンズが一般的ですが、1970年代末までは50ミリの単焦点レンズでした。
カタログで価格表示されている、あるいはセット販売されていた機種もあるレンズで「標準レンズ」とも呼ばれ、人の視覚に近く、望遠気味にも広角気味にも使える万能レンズという性格を持っております。

1978年当時の鉄道雑誌の広告

その左下部分


一眼レフメーカーは標準レンズ以外にも交換用で様々なレンズを製造、販売しておりました。
遠くのものを引き寄せて大きく撮る望遠レンズ、あるいは狭いところをすべて画面に入れて撮る広角レンズです。
これらは標準レンズの50ミリを中心に、それより数字が大きければ望遠レンズ、小さければ広角レンズに大まかに分類されます。
他に小さなものに近づいて大きく撮るマクロレンズなどの特殊レンズがあります。

交換レンズの役割には2つあります。
ひとつは先に申し上げた、同じ場所で大きく撮ったり広く撮ったりすること。
もうひとつは遠近感を調節することです。
広角にするほど遠くのものが小さくなって遠近感が誇張され、望遠にするほど遠くのものが圧縮されて遠近感がなくなります。

38ミリ相当


320ミリ相当


最初に求める交換レンズは何ミリが選ばれたのでしょうか。

昔、小学生向けの鉄道本に電車の撮り方のページがあり、そこで交換レンズに触れていて「35ミリと135ミリのレンズがあればプロカメラマンも顔負けだ」と記されておりました。
35ミリは準標準レンズともいわれ、人の眼がぼんやり広い所を見ている時の画角、135ミリは望遠レンズのスタンダードの位置づけのレンズです。
いずれのメーカーも135ミリF3.5と35ミリF2.8もしくはF3.5のレンズを安価に提供しておりました。価格から考えてもこの辺りのレンズが選ばれたと考えられます。

では望遠あるいは広角を複数そろえる場合、どのようにレンズを選べばよいのでしょうか。

昔 言われていた方法は

望遠側は標準50ミリから焦点距離が倍、倍になるようにそろえていく

50ミリ―100ミリ―200ミリ

広角側は50ミリから7掛けでそろえていく

50ミリ―35ミリ―24ミリ


望遠側は、50ミリの水平画角40度に対し100ミリは20度。
つまり標準レンズの画面の4分の1が拡大されて100ミリの画角になります。
その前に縦に構えて余計なものを写らなくするという方法もあります。
50ミリのタテ27度は85ミリのヨコとほぼ同じ(85ミリの水平画角は24度)です。
100ミリと200ミリの関係も同様です。


望遠レンズは引き算で構図を作ることを考えれば納得のそろえ方だと思われます。
広角側は50ミリを縦に2つ並べたら35ミリの画角になります。
50ミリのヨコ画角40度は35ミリのタテ画角38度とほぼ同じです。
35ミリと24ミリとの関係も同様で、35ミリを縦に2つ並べたら24ミリの画角になります。

これらの関係が分かればズームレンズ全盛の今でも焦点距離の選択、特に広角側に役立つかと思われます。

古い話と思いますが、現代でもこの理屈は変わりません。
ステップアップで単焦点レンズと考えておられるかたのお役に立てたら幸いです。