【コラム】カメラ今昔物語 【コンタックス T2編】

カメラ今昔物語

こんにちは心斎橋買取センターの たつみ です

今回は、フイルムコンパクトカメラの名機 コンタックスT2にまつわるお話です

高級コンパクトカメラの先駆け

今から約35年前の1984年、コンタックスブランドを再興させたヤシカ(その後

京セラが吸収)よりそれまでとは一線を画すカメラが発売されます

そのカメラとは『コンタックスT』(以降初代T)

特徴的なデザインはドイツポルシェ社が携わり、斬新にしてとてもインパクトのある

フォルムは当時大きな話題を呼びます。

前開き式のフロントカバーに収まるように沈胴式としたレンズはツァイスが新設計し

たゾナー38mm/F2.8を採用。

ハイアマチュアやプロの期待に応える為に絞り優先、操作は全て手動とし玄人好み

仕上げとする念の入れ様。

小型・軽量を維持すべくフラッシュは着脱式とするなど、非常にこだわりの強い一品

でありました

更に完成形を追い求めて

初代Tは多くのカメラファンを虜にしたのですが、一方でいくつか改善も望まれて

いました

代表的なのはピント合わせ。初代Tのもっとも大きな特徴である開閉式の前フタが

撮影者にとってはフォーカスがしずらいという誤算を生みます。
(無論そんな事は開発段階で分かっていた事でしょうが。。)

さらにストロボを着脱式にしたとは言え、常に携帯しないといけない不便さ。

何よりも初代Tではコスト高などの為に見送りとなったチタン外装へのこだわり。
(Tは“Titan”からネームされたとか)

これらの状況を踏まえ、1990年に後継機のTが誕生します。

それが未だにシリーズで最も人気の高い 『コンタックスT2』です

小型・軽量・高画質のコンセプトはもちろん引き継ぎ、デザイン・機能・操作性は

大きく変更されていきます。

まず外装は念願のチタン合金を採用。軽量でありながら堅牢さをもち合わせるこの

素材はT2の代名詞となります。

また、各部にもこだわりの素材を採用していきます。


ファインダー:超硬度のサファイヤガラス
シャッターボタン:多結晶人工サファイヤ(硬度はダイヤモンドの次)
圧板:セラミック素材


機能面については絞り優先を踏襲し、開放時には露出連動させる為にプログラム

への切り替えを行うようになりました。

さらに操作性においては自動巻上・巻き戻しとしよりスピーディーな撮影を実現。

フラッシュは本体に内蔵となり絞りリングで切替を行えるよう改良。

このこれでもかと言わんばかりの完成度の高さは値段に跳ね返ります。。

販売価格は120,000円!

当時中級クラスの一眼レフにズームレンズが2本付いたものよりも高額ではありま

したが、多くのプロカメラマンや愛好者の支持を集めたのはもちろんの事、全く

写真に興味を示す事のなかった方々にも受け入れられ大ヒットする事になります。

(時はバブル。。メーカーも消費者も超活発だった頃。もしするとこのタイミング

でなければT2は生まれてこなかったかもしれませんね。。)

その後、これまた多くの要望に応えるかのようにズーム付のモデル『TVS』が発売

されるなど90年代の高級コンパクトカメラ分野でコンタックスシリーズはトップを

快走していきます。

こうして新ジャンル『高級コンパクトカメラ』はT2が切り開いていったのでした。


最後に。。

多くの新しい写真愛好家を増やすきっかけを作ったコンタックスT2はこの種類の

カメラとしては異例のロングラン商品となり1998年まで生産され20万台に及ぶ

まさに歴史的なカメラとなりました。

2001年、後継モデルT3が登場しますが、時はデジタルが全盛期を迎えようとして

いた頃。徐々にTシリーズの人気も冷め残念ながら終焉する事になります。

それから時は流れて現在。

再び巻き起こったフイルムカメラブームにより再び注目を集めているT2。

改めてその出来の良さには驚愕するばかりです。