カメラ今昔物語
こんにちは心斎橋買取センターの たつみ です
今回はメーカーの威信を掛けて作られた ペンタックスLXにまつわるお話。
日本初・世界初を連発
お話をしてきました通り、日本のカメラはその分野のおいて紛れもなく世界一です
分かりやすい例えとしては、オリンピックで使用されている機材は殆どが日本製品。
それらを扱うプロカメラマン達から絶大な信頼を得られるようになるまでには
各メーカーの様々な工夫や技術革新があったからこそであります。
その先駆けとなった機能と言えば、一眼レフの「クイックミラーとペンタプリズム」この発明がなければ、ここまで一眼レフが普及する事がなかったと言われるくらい
に大きな出来事でありました。
そのまさに世紀の大発明(少々大袈裟ですが。。)を世界で初めて成し遂げたのが
旭光学(現リコーイメージング)でありました。
(この辺の話は様々な書籍で語られているので詳しくはそちらでどうぞ。。)
またペンタックスがすごかったのは、ブローニー判・35ミリ判・110判で
すべて一眼レフを作った事でしょう。
当時の開発者達の大いなる遊び心と技術者魂を存分に発揮した結果と言われています
プロ用一眼レフへの意欲
そんなペンタックスではありましたが、ライバル会社に大きく水を空けられている分野がありました
それは、『35ミリ判のプロ機を持ち合わせていない事』でした。
ちなみにペンタックスのプロ機と言えば遡る事50年前に登場した名機『6×7』
(通称バケペン)がありましたが、中判カメラ故に撮影枚数の少なさやボディの大き
さがネックでした。
なんとしてでも35ミリ判のプロ機を作る!と誰かが言ったかどうかは分かりませんが、かくして時に昭和47年(1972年)に開発がスタートします。
もともとが技術力には定評のあったペンタックスではありましたが、登場させるまでには一進一退の状態が続きます。
基本設計のやり直しは数度に及ぶ大難産。
時は瞬く間に過ぎて行き、実に8年に及ぶ期間を経てようやく1980年(昭和55年)
6月に念願のプロ機『LX』を完成させ発売する事になります。
ライバルを凌駕する機能
この1980年~81年にかけてカメラ業界においては記念すべき年でもあります。
『LX』発売の僅か3ヶ月前にはニコンから『F3』が、翌年9月にはキヤノンから
『NewF-1』が相次いで発売されました。
百花繚乱とはまさにこの事。当時の写真雑誌はこぞって特集を組み
この3モデルを徹底に競わせた記事が紙面を賑やかせました。
さて、話を戻して『LX』です。
まずこのネーミングについては、発売された年が旭光学設立60周年だった事にちなみ
ローマ数字の『60=LX』より用いたものと言われております。
次に機能面においては、先行発売していたニコンF3を大変意識した物と受けてとれます
まずシャッタースピードは高速側(1/2000~1/75(X接点))及びバルブがメカニカルシャッター。それ以下のスピードは電子式としたハイブリッドタイプ。
これは、F3が1/60秒のみ緊急シャッターとして取付た機能よりも圧倒的な差として認知されます。
そしてLXと言えば忘れてならないのが防塵・防滴仕様を公にうたった事。
可動部各所に特殊ラバーやシールドを施し、水分やチリの侵入を防ぐ構造となっています。
これは取り替えファインダー連結部にも及び、完成度の高さを物語っています。
また露出制御においてはそれ以前はファインダーの取り換えで自動露出に対応させていた方式とは異なり、全てボディ制御する方式を採用させた事も注目されました。
一方で、自分好みに仕上げれるをコンセプトにシャッターボタンや各部ダイヤルを
カスタマイズ出来るサービスを提供。
ユーザーの心を掴む施策も忘れていませんでした。
(ただし、あまり需要はなかったようで、10年余りで打ち切りとなります)
最後に。。
旭光学の威信を掛けて開発されたLXは、その完成度の高さからロングランで
生産されます
また、都度訪れた記録や記念ごとに合わせて限定モデルを発売されたのもこの機種
の特徴です。
・1981年11月 LXゴールド(世界初 35ミリ販売1000万台突破記念として 300台限定)
・1994年 6月 LXチタン(創立75周年として 受注生産1,000台限定)
・1996年 6月 LXリミテテッド(LX発売15周年記念として 300台限定)
・2000年 6月 LX2000(ミレニアムを記念して)
そして2001年時代がデジタルに本格的に移行しようとする中、静かにその歴史に
幕を閉じました。