こんにちは。カメラ担当の池田です。
さて今回は、今年の春に横浜で開催されたCP+(シーピープラス)でも注目の的であったパナソニックの新製品「LUMIX S1R」の使用レビューをお届けしたいと思います。
このLUMIX S1Rが発売されたことで、いよいよミラーレス一眼もフルサイズの時代へ突入かと思わせてくれました。
そんな注目のカメラを使用して撮影してきましたので、作例とともにレビューをご覧いただければと思います。
主なスペック
- 4730万画素 フルサイズCMOSセンサー搭載
- ボディ内手ブレ補正機能搭載 (※補正効果は5.5段相当)
- 高画素センサーがもたらす情報を高速で処理するヴィーナスエンジン搭載
- 高速・高精度オートフォーカスを実現した空間認識技術(DFDテクノロジー)
- 顔や瞳、人体や動物をカメラが自動で捉える「自動認識AF」機能搭載
- 最大225点のオートフォーカスエリア
- -6EVという低照度でのオートフォーカスが可能
- 約9コマ/秒の連写性能 ※AF-C時は6コマ/秒
- 被写体の特徴を1画素ごとに分析し、リアリティのある表現を可能にした「インテリジェントディテール処理」機能を搭載
- 約576万ドットの高精細リアルビューファインダー
- 約210万ドットの3軸チルト式3.2型タッチモニター
- シャッター耐久約40万回、防塵・防滴仕様、高耐久・耐衝撃の安心ボディ
- ライカSLシリーズと共通のLマウント
上記以外にも多くの機能があるのですが、主なスペックとしてこんな感じです。
外観
S1Rの最大の魅力と言っても過言ではないのがファインダーです。
約576万ドットと数字で書かれていても良くわからないと思いますが、肉眼に近い見え方が約600万画素と言われていますので、それを考えると576万ドットというのは一眼レフの光学ファインダーを覗いているのと同じような感覚なのです。
実際、私もファインダーを覗いて撮影しましたが、本当に高精細で見やすく、眼が疲れることもなく、快適にそして撮影していてモチベーションがあがる、そんなファインダーです。
ちなみに他社のファインダーは上位モデルで約300万ドットです。S1RおよびS1のファインダーがいかに凄いかがわかります。
液晶は3軸チルト式液晶で、横位置撮影はもちろんのこと、縦位置撮影でもローアングル撮影できます。
バリアングル液晶の場合は、液晶を横に開いて撮影するため光軸とずれてしまい撮影しにくく感じることもありますが、S1Rに採用されている3軸チルト液晶は、角度を変えても液晶のほぼ中心に光軸があるためストレスなく撮影が行えます。
また液晶のドット数も約210万ドットと高精細で、実際に屋外での撮影も行いましたが、数値以上に見え方は抜群に良いと感じました。
同じ撮影場所で104万ドットクラスのカメラも同時使用しましたが、差は歴然。S1Rの液晶の見やすさを体感いたしました。
シャッターについて。
カタログやネットでは、シャッター耐久以外についてはあまり書かれていないように思いますが、使用して感じたのはシャッターを押した時の感触が心地よいこと。
これは、すでに発売されているマイクロフォーサーズ機「DC-G9 PRO」と同じような感触で、シャッターショックが少なく、軽快で心地よい感じはどんどんシャッターを押したいという気持ちにさせてくれます。
心地よいだけではありません。これだけの高画素のカメラなのでシャッターブレも気になるところですが、S1Rのシャッターなら手持ちでも大丈夫と思わせるほどの仕上がりになっています。
操作系では背面に配置されたジョイスティックがフォーカスポイントを変更する上で非常に便利です。
このジョイスティックもDC-G9 PROにも搭載されていましたが、S1Rではほんの少しですが配置場所が変更され、より操作がしやすくなっています。
作例
新緑の中、咲き誇っていた山藤。朝の光の中で撮影しました。シャドー部からハイライト部まで階調豊かな再現をしてくれました。これもフルサイズ機の魅力のひとつです。
ここでやはり気になるのは画質。4730万画素の実力はどれほどのものなのか。
ピントの合わせた手前の藤の花の部分を拡大してみます。
まるで葡萄のように咲く藤の花がきめ細かく再現されています。これが4730万画素の実力なのでしょう。
実際、ここまでの画素数は必要ないのかもしれませんが、画素数が大きいことで撮影後に大幅なトリミングをしても大きな画素数が残っているというメリットもあります。
もちろん大きなプリントをされる場合に有利なのは言うまでもありません。
大きなブナの木を見上げて手持ちで撮影しています。シャッタースピードは1/40秒と少し遅めでしたが、ボディ内手ブレ補正機構とレンズ内補正機構が連動して補正してくれる「Dual I.S 2」のおかげで手ブレすることなく撮影できました。
この写真も中央部分を拡大してみます。
手ブレしていないのがおわかり頂けると思います。葉脈までしっかりと描写されています。
今回使用しました「LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S」との組み合わせでは、約6段の手ブレ補正効果が得られます。
この写真は中央部分の拡大ですが、画像周辺の描写も文句なしの解像度で、レンズの描写性能の良さも感じます。
新緑の森が映り込む池。
このような風景写真ではS1Rの実力が発揮されます。対岸の木々の葉っぱまでキレイの描写されています。
今回は使用しませんでしたが、S1Rには「ハイレゾモード」というピクセルを少しづつ動かしながら8回連続撮影し、カメラ内で合成する機能があります。
そのハイレゾモードを使用することで得られる画素数は、なんと1億8700万画素相当にもなります。
もともと画素数の多いカメラですので、そこまで必要ないかもしれませんが、一度は試してみたい機能です。
動いている被写体に対してのオートフォーカスはどうか。飛行機を被写体に選び、AFモードをAF-Cにセットして撮影してみました。
結果は、向かってくる飛行機はもちろんのこと、写真のような後追い撮影でもまったく問題なく撮影できました。このほかにも撮影しましたが、ピントをはずしている写真はごくわずかで、追尾性能も優秀でした。
あえて不満点を挙げるなら、連写性能が少し遅いこと。AF-S時やMF時では9コマ/秒ですが、AF-C時は6コマ/秒と遅くなってしまいます。この連写性能でも十分撮影できますが、もう少し速ければ言うことなしです。
そしてもう1つこの写真で見ていただきたいのが、夕日と言えど、まだ太陽の位置が高く非常に強い逆光状態です。しかしながらゴーストやフレアはまったく発生されていません。
レンズ性能もあるかと思いますが、S1RのセンサーにはAR(反射防止)コーティングが施されており、ゴーストやフレアを抑えた描写を可能にしています。
日没後の空港。この写真も後追いで狙いました。
S1Rのオートフォーカスは-6EVという低照度でもオートフォーカスが可能です。西の空にはまだ少し赤味が残る時間帯ですが、撮影現場はかなり暗い状況でした。
しかし、-6EVまでのオートフォーカスが可能なS1Rには、この程度の明るさなら迷うことなくしっかりAF追従してくれました。
※-6EVは、ISO100換算、F1.4、AFS時の性能です。
そして高感度性能についてですが、ISO100からISO25600までが常用で、感度拡張でISO50、ISO51200にすることも可能です。
この写真はISO6400で撮影しています。拡大して良くみると少しノイズが出ていますが、個人的には許容範囲と言えます。
画素数の多いカメラなのでで画素ピッチが狭くなり高感度は弱いかなと思いましたが、予想以上の高感度性能を発揮してくれました。
でも、本当にキレイな画質を求めるらISO3200までに抑えて撮影すると良いでしょう。
まとめ
LUMIX S1Rを初めて見た時は「大きい」「本当にミラーレス?」と思ったのが本音で、実際にカメラを手にしてみて「重い」と感じたのは私だけではないと思います。
しかし実際に使用してみると、確かに大きくて重いのですが、ホールディングの良さは抜群で1kgを超えのボディであることを忘れさせてくれました。
今回使用したレンズ「LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S」とのバランスはとても良く感じました。
フルサイズ機になれば、ボディは小さく軽く出来ても、レンズはそれなりの大きさ重さになってしまいます。
そのような事を考えると、S1Rのようなボディサイズのほうが、バランスがとれて良いのかもしれません。
そして機能面ですが、やはり画素数が示すように描写力は一級品で、ローパスフィルターレスというのも効いていると感じました。そのおかげでクリアでヌケのよい写真を撮ることができました。
オートフォーカスも優秀で満足できるものでした。今回は顔や瞳を検知する自動認識AFを使用しての作例はありませんが、実際人物にカメラを向けるとしっかり瞳認識をしてくれますので、モデル撮影などではかなり有効かと思います。
最後にファインダー。これは上でも書きましたように、とにかく高精細で見やすく、撮影のモチベーションが上がります。モチベーションが上げれば、作品のレベルもあがること間違いなしです。
色々書きましたが、一言で言うなら「写欲を沸かせてくれるカメラ」です!
ここまで画素数がいらない方には、2420万画素の「LUMIX S1」もオススメです。
今後はレンズのラインナップも増えるとのことですので、これからもパナソニック製品から目が離せません。
【共通撮影データ】
フォトスタイル:スタンダード
記録形式:JPEG ※撮って出し
この記事に関するお問い合わせは・・・カメラ担当 池田まで